「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンを豊富に含み、寝付きをよくする効果があると期待される「ナイトミルク(night milk)」。海外では既に製品化もされています。睡眠導入剤より安心・安全だと考えられている、ナイトミルクの秘密とは?
最新の研究で示された、夜の寝付きの改善のヒント夜、寝付けない時には温かなミルクをコップ一杯。欧米ではそんな風にいわれていますが、不眠に悩む人の中には「ミルクを飲んだからといって眠れる訳じゃない」という声もあるようです。
しかし、そのコップの中身が「ナイトミルク(night milk)」だったとしたら、眠れるようになるのかもしれません。『Journal of Medicinal Food』誌に掲載された論文に、そうした可能性が指摘されているのです。
「ナイトミルク」って、どういうもの?ナイトミルクとは文字通り、夜間に牛から搾乳されたミルクのことです。睡眠導入や不安解消の効果を持つとされる「睡眠ホルモン」メラトニンと、メラトニンの生成を促すアミノ酸の一種であるトリプトファンを豊富に含んでおり、高い鎮静作用を持つことが期待されています。
マウスを用いた研究から実証された鎮静作用韓国の三育(サムユク)大学の研究者たちは、日中と夜間に搾乳したミルクを乾燥させたパウダーをそれぞれ別のマウスに与え、行動を観察したり、血液中のホルモン濃度を測定したりして効果を検証しました。
その結果、夜間に搾乳したミルクのパウダーを与えたマウスの血液中では、日中搾乳したミルクパウダーを与えたマウスと比べて、トリプトファン量は24%高く、メラトニン量も10倍多くなっていたことがわかりました。
また、活動量の低下も見られ、抗不安薬投与時のような行動も観察されたということです。
しかし、これはあくまでも動物実験の結果であり、ナイトミルクが人体に及ぼす効果を検証するような実験は、まだ行われていません。
ドイツでは既に「ナイトミルク」パウダーが製品化2010年にドイツの企業、Milchkristalle社が「nocturnal milk」という名称でナイトミルクの特許を取りました。午前2時から4時の間に搾乳されたミルクをパウダー状に加工したもので、メラトニンを豊富に含んでいます。
不眠症と不安に悩まされていた人がこのパウダーを摂取したところ「睡眠薬を飲まずに寝付くことができ、深く眠れてすっきりと目覚められたようだ」と語ったそうです。
「眠れない人には、睡眠導入剤よりずっと良い」と米研究者米コロンビア大学で睡眠の研究を行うカール・ベイジル教授は、ナイトミルクの効果について当初は懐疑的な姿勢を取っていました。
しかし、睡眠障害への対処にはプラシーボ効果(偽薬を薬だと思い込むことによって得られる効果)を利用することもあります。
ナイトミルクの飲用自体は健康に害を及ぼさないので、睡眠の習慣を作るため取り入れることに問題はない、とベイジル教授は考えています。そして、ナイトミルクが人間の寝付きを改善する効果や、日中に搾乳されたミルクとの違いについては、さらなる研究が必要だろうと語りました。
「ともあれ、人々が睡眠導入剤に頼るよりは、ナイトミルクの方がずっと良いでしょう」今後は、夜に眠れないという悩みを抱えた人々の間でナイトミルクの摂取が流行するのでは、とベイジル教授は予想しています。
photo by vinnie
