今の位置(Current Position): ホームページ(HomePage) > ライフスタイル >

小学生の頃から全家事をになうヤングケアラー、自分を押し殺し続けた反動とは<漫画>/

時刻(time):2023-06-18 16:26源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
2022年12~2023年2月、女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「大反響漫画」ジャンルの人気記事です。(初公開日は1月22日 記事は取材時の状況) ========== 家庭内で大人が担うべき家事を背負わされ、子供時代を奪われてしまう「ヤングケアラー」の問題が、ここ数年注目されるようになってきました。しかし当事者が助け

2022年12~2023年2月、女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「大反響漫画」ジャンルの人気記事です。(初公開日は1月22日 記事は取材時の状況)

==========

家庭内で大人が担うべき家事を背負わされ、子供時代を奪われてしまう「ヤングケアラー」の問題が、ここ数年注目されるようになってきました。しかし当事者が助けを求めることはまだまだ難しく、悲惨な事故や事件につながるケースもあります。

水谷緑『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』(文藝春秋)

水谷緑『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』(文藝春秋)

水谷緑さんの著書『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』(文藝春秋)は、複数の元ヤングケアラーに取材を重ね、そのエピソードを主人公・ゆいちゃんの体験として描いたコミックエッセイです。

ゆいちゃんは精神疾患を抱える母親、仕事優先の父親に代わり、幼稚園の頃から家族の世話を全て負担しています。周囲の大人に一切弱みを見せず、友達との関係も良好に保つ努力をします。子供の頃から周りのために自分を押し殺し続けたゆいちゃんは、自分から感情を切り離すようになっていきます。

ここでは1話と2話を紹介。後半では著者の水谷緑さんに、ヤングケアラーの家庭の実態や、精神疾患の患者を支える家族の苦しさなどについてお聞きしました。

ヤングケアラー1







ヤングケアラー2







ヤングケアラー3







ヤングケアラー4






ヤングケアラー5





ヤングケアラー6






ヤングケアラー7







ヤングケアラー8







ヤングケアラー9







ヤングケアラー10







ヤングケアラー11






ヤングケアラー12






ヤングケアラー13







ヤングケアラー14







ヤングケアラー15







ヤングケアラー16







ヤングケアラー18







ヤングケアラー19







ヤングケアラー20







ヤングケアラー20







ヤングケアラー21













「怒りを感じることができない」元ヤングケアラーの苦しみとは


――今回ヤングケアラーについて描くことになったきっかけは何だったのでしょうか。

水谷緑さん(以下、水谷):編集者の方が、精神疾患の親を持つ子供達に興味を持たれたことからヤングケアラーについて取材することを提案してくださったんです。最初は「子供がかわいそうな目に遭う話を聞くのは辛いな……」とあまり乗り気にはなれませんでした。でも元ヤングケアラーの方達は面白い人が多くて、お話が興味深いと思いました。

これまで他の作品で取材してきた精神疾患の当事者とはまた違う感じがしました。私がお話しした元ヤングケアラーの方達は、自己憐憫があまりなかったり、どこか冷めている人が多かったです。「絆を大切にする」「みんなでワイワイ楽しく」みたいな感覚を持っていないことが多くて話を聞くのが新鮮でした。

――取材された元ヤングケアラーは、どんな方が多かったのでしょうか?

水谷:医療関係の方、看護師さんや心理士さん、精神保健福祉士の方もいて、はたから見れば社会人として活躍する普通の人達だと思います。

でも皆さん、心に苦しさを持っていました。カウンセリングを受けたり本を読んで勉強して、ご自身で過去の体験に向き合いながら言語化している人が多かったです。長年自分の感情を押し殺してきたので今も感情がなかったり、「怒りを感じることができない」という方もいました。

水谷緑さん (画像提供/文藝春秋)

水谷緑さん (画像提供/文藝春秋)

――本書で、ゆいちゃんがロボットになり切って恐怖を感じないようにする描写がありました。あんな風に感情を切り離している人は多かったのでしょうか。

水谷:自分で何も感じないと決めていた人もいれば、ハッキリと意識していなかったけれど大人になってから感情がなかったり、感受性が低いことに気づいた方もいました。子供の頃から、しんどい現実に対処する術としてなんらかの形で感情をオフにしていたのだと思います。





ヤングケアラーを生み出す家庭での「父親の不在」


――ヤングケアラーの家庭にはどんな特徴があるのでしょうか?

水谷:親が精神疾患を含む病気だったり、心身に障害があって家事ができない代わりに子供が負担するようになったりします。虐待があることも多いです。「精神疾患の親に暴力を振るわれた」という話もよく聴きました。機能不全の家庭で、子供が家事を頑張って回している感じでした。

――本書の主人公は女の子ですが、家事を担わされるのは女子が多いのでしょうか?

水谷:私が取材した10人中8人が女性で、「お兄さんがいたのに自分ばかり家事をやっていた」という人もいました。でも妹の世話を含めて家事をしていたという男性や、うつ病のお母さんの代わりにずっと料理をしていた一人っ子の男性もいました。

いずれにしても違和感があったのは「父親の不在」です。父親がいるのに、子供に全てを押し付けて家事に全く関わろうとしないのが不思議でした。関わらないだけではなく、離婚して父親が家を出てしまうケースも結構ありました。その場合、経済的に苦しくなってしまう家庭もありました。













精神疾患の家族を支える難しさ


(画像提供/文藝春秋)

(画像提供/文藝春秋)

――主人公・ゆいちゃんの母親は統合失調症を患っていますが、病院に行きたがらないため治療を受けられません。当人が拒否する場合は治療する手段はないのでしょうか。

水谷:大抵の人が最初は「精神科を受診したくない」と言うと思います。漫画の舞台になっているのは1990年代なので、今より偏見や差別が強かったのでハードルが高かったと思います。

本人が「自分は病気だ」と認めるのは、まずとても難しいことだと思います。なんとか病院に行けと足しても、自分に合う医療者に出会えるかどうかは運の部分が大きいです。

周りの人が「あなたは病気だから治しなさい」という態度だと、当事者が拒否してさらに悪化するかもしれません。個人的には、当事者が大切にしていることを尊重する関わり方が大事だと思います。なるべく対等な関係や状況を作って、安心を感じてもらうことができれば、当事者の中で変化が起こったり、自ら話をしてくれる可能性があると思います。

精神疾患に関する差別や偏見は昔に比べれば少なくなっていると思うのですが、まだ自分から受診する人は少ないかもしれません。





ずっと微熱や頭痛、腹痛、不眠があったという元ヤングケアラーも多かった


――患者さんを支える家族が受けられる支援はあるのでしょうか?

水谷:今のところ、決まったものはないと思います。ただ、主人公もそうなのですが、ヤングケアラーの方は小学校低学年くらいからずっと微熱や頭痛、腹痛、不眠があったという人が多かったです。今は各学校にスクールカウンセラーがいるので、子供がそういった症状を訴えた時に話を聞いてあげられるといいと思います。

また、精神科の医療者が患者さんだけではなく「家族を丸ごとケアする」視点を持つことが重要だと思います。医療者が家に来てくれて、家族の皆さんと話をする機会を作ってくださると理想的です。実際にそういう取り組みをしている訪問介護ステーションはあるのですが、人件費などのハードルがあると思いますし、余程の熱意がないとやらない方法だと思います。

この本の舞台は90年代から2000年代前半なので家族に対するサポートがほとんどなかったようです。でも今は親子を支える団体、当事者がグループディスカッションできるような場が増えてきています。書籍の最後に、精神障害の親や家族を持つ人、ヤングケアラーの支援団体の連絡先をいくつか掲載しています。ぜひご相談していただければと思います。

(C)水谷緑/文藝春秋
<取材・文/都田ミツコ>
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。



(エディタ(Editor):dutyadmin)
    顶一下
    (0)
    0%
    踩一下
    (0)
    0%
    ------分隔线----------------------------
    コメント(comments)
    Please observe the policies and regulations of the Internet.

    コメント(comment):
    気持(Expression):
    ユーザ:パスワード:
    認証コード:点击我更换图片

    最新コメント コメント詳細画面へ>>
    ランキング(Ranking)