金融機関の書類やクーポン、レシートに健康診断の結果に仕事や学校の書類……。家の中のあちこちが「紙や書類」であふれてしまっていませんか?
「大事そうだから捨てられない!」とついつい紙をため込んでしまう方は、決して少なくないはずです。収納グッズを駆使して“とりあえず”収まっていても、いざ書類が必要になった時に「見つからない!!」なんていうことも。
独自のメソッドでこれまで約1000人もの人の片づけを成功に導いてきた片づけアドバイザー・石阪京子さんが著した『人生が変わる 紙片づけ!』(ダイヤモンド社刊)は、とにかく“紙”に特化し、「家の中の紙の片づけ方」だけを記した本です。お金が貯まって時間も増える、石阪式「紙片づけ」とは? 本記事では、そのエッセンスを紹介します。
以下は、石阪京子さん著『人生が変わる 紙片づけ!』より抜粋・再構成したものです。
誰も教えてくれなかった「家の中の紙の片づけ方」
多くの片づけに悩む方と向き合う中で気づいた事実があります。それは、布団一枚を捨てるよりも、実は、紙一枚を捨てるほうが難しいということ。
「万が一、必要になったらこわいから捨てずにおこう」と溜め込んだ紙や書類が、ダイニングテーブルの上や本棚、押入れの奥など、あらゆるところに山積みになっているお宅を何百軒も見てきました。中には、箸やスプーンと同じ引き出しから、大事な保険証券が出てきたお宅もありました。

紙一枚は薄いです。でも、その価値は洋服一枚とは比べ物にならないこともあります。
家のどこかにあるはずなのに、大事な紙を見つけられないせいで保険金をもらえなかったり、督促状に気づかずにブラックリスト入りをしたり……。
紙は、その人の人生を握っていることもあります。だから、重要な紙が不要な紙に埋もれないように、しっかり管理することが大事。よくわからない、忙しいと先延ばしにせず、まずは目の前の紙と向き合うことが実はとても大切なのです。
残すのはズバリ「金目の紙」と「使う目的がある紙」だけ
まず、声を大にしてお伝えしたいのは「ほとんどの紙は捨てられる」ということです。
仕事の書類は、そうはいきませんが、家庭内の紙や書類で、紙として残さないといけないものは、実はほとんどありません。残すべき紙は、「金目の紙」と「使う目的がある紙」だけです。
「金目の紙」
「金目の紙」とは、請求書や保険の証券などお金にまつわる書類です。
例えば、控除の紙。これは、年末調整をして、お金を返してもらうための、まさに「金目の紙」だから必要です。
では、保険会社から届いた手紙は?
一瞬財産に関する「金目の紙」に見えますが、こういう場合は、よく読んでみてください。保険に入り直しませんかという、ただのお知らせのことがほとんどです。これは「金目の紙」ではありません。また、保険の見直しをしたいと思っていないなら「お知らせ」は「使う目的がある紙」でもないですよね。もし見直しをしたいならその紙を後で読むのではなく、手帳に「保険の見直しをする」と書いて自分で情報を集めればいいでしょう。
「使う目的がある紙」
では「使う目的がある紙」にはどんな紙があるでしょう?
例えば、この間、家に選挙の紙が届きました。これは別に、「金目の紙」ではありませんが、投票する時に使います。なので絶対に必要ですね。また、粗大ゴミを出す時に貼るシールも、お金を生む紙ではありませんが、その紙がないと粗大ゴミを出せないから必要です。
では、自治体から届く、「永久保存版」のような冊子は? その中身は、ただの「お知らせ」のことが多いので、使う目的がないなら取っておく必要はありません。「重要」とか「永久保存版」と書いてあってもそれは、相手側の価値観です。それがあなたに必要だとは限りません。だから、まずは自分の頭で考えるんです。「これは、本当に使う目的がある紙なのかな?」って。
紙には、必ず答えが載っています。必ず中身をしっかり読んでみてください。
紙片づけの第一歩は、まずは紙と向き合って、ちゃんと読むということ。そして、「この紙は、いったい何に紐づいて、どんな行動の時に必要になるのか?」を考える。そうすれば「金目の紙」や「使う目的がある紙」かどうかはわかります。
「紙」自体が必要なのか、情報だけが必要なのか
そして、ここで大事なポイントがあります。
「使う目的がある紙」というのは、「その紙自体が必要になる紙」だということ。
どういうことかと言うと、例えば、取扱説明書って、きちんと保管されている方が多いですが、同じものをネットやアプリで見られるなら、紙の取扱説明書は必ずしも必要ないですよね。たしかに、取扱説明書は使う目的がある紙です。でも、その情報をネット上などでデータとして見ることができるなら、紙自体は不要ということ。
このように、「紙自体」が必要なものと、その紙に書かれている「情報」に価値があるものがあることを覚えておいてください。
何を捨て、何を残す? 石阪式「紙片づけ」
それでは具体的に、日々入ってくる紙をどうやって処理するのか、お伝えしていきます。
分類の仕方って迷いますよね。家族別にしようか、銀行からの手紙、学校のお便りなどのジャンル別にしようか。
でも、もうお気づきでしょうか? 今申し上げた分類法は、収納することが前提の分け方です。「何を残すか」を考えていませんよね。
そこで、石阪式「紙片づけ」ではこう分類します。
① すぐに捨てる
② 確認して捨てる
③ データ化して捨てる
④ ファイリングする
入ってきた紙は4つに分けて処理
① すぐに捨てる
・DM
・チラシ
・ネットで見られるもの
…etc.
② 確認して捨てる
・金融機関からのお知らせ
・ねんきん定期便
・保険会社からの契約内容変更のお知らせ
・その他色々なお知らせ
…etc.
③ データ化して捨てる
・名刺
・学校の年間行事予定表
・月間行事予定表
・連絡網
・行きたいお店
・レシピ
・パスワード
・取扱説明書…etc.
④ ファイリングする
・年末調整に必要な紙
・確定申告に必要な紙
・制服申込書
・願書
・月謝袋
・入校証
・予防接種の紙
・健康診断の申込書
・保証書
・ポイントカード
・クーポン…etc.
「何を捨てて何を残すか」
「何を捨てて何を残すか」を考える石阪式「紙片づけ」の導入部分を紹介しました。『人生が変わる 紙片づけ!』では、日々入ってくる紙の撃退法やデータ化のコツをはじめ、大事な紙をなくさず5秒で取り出せるようになるための考え方が満載です。
紙片づけでは、「紙が家に入ってきた時」の初動がとても重要。忙しくて今すぐ片づけに手を付けるのは無理という方も、まずは日々家に届く手紙やDMを“4つに分類”することから始めてみませんか?
<文/石阪京子>
石阪京子
片づけアドバイザー。宅地建物取引士。JADPメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。独自メソッドによる片づけアドバイスで、これまで約1000人もの人が片づけに成功。現在は、収納監修、片づけレッスンほか、全国各地でのトークイベントやオンラインセミナーを開催。著書に『一回やれば、一生散らからない「3日片づけ」プログラム これが最後の片づけ!』、『人生が変わる 紙片づけ!』(ともにダイヤモンド社)など。
(エディタ(Editor):dutyadmin)



