年に一度の誕生日は、特別な日。しかし、田中恵津子さん(仮名・34歳)にとっては夫の冷徹さを思い知る、嫌な日になっています。
「毎年、誕生日が近づくたびに今年も嫌な思いをするんだろうな……って憂鬱な気持ちになります。特別なことをしてほしいなんて期待しないから、せめて平和に過ごさせてほしいです」
何かにつけて自宅へ呼ぶ義父母に辟易
夫のカズさん(仮名・35歳)は昔から、イベント事が大好き。カズさんの両親もイベント事が好きで、恵津子さんは結婚前から家族でのBBQや誕生日パーティーに呼ばれていました。
「正直、ずっと居心地が悪かったけれど、お義母さんたちといい関係を続けていきたくて我慢しながら参加していました」
義父母はお祝いごとがなくても、月に2回は必ず恵津子さんに自宅へ来るように連絡。「おいしいお肉で焼き肉するから来なさいよ」や「ケーキ作るから、みんなで食べましょうよ」などと誘ってきました。
しかし、娘が生まれ、毎日がより忙しくなってきたことで恵津子さんはその集まりを負担に感じるように。休日にリラックスできない義父母の家で、月に2回以上も過ごさなければならないことに苦痛を感じるようになっていきました。
「だから、夫に相談したんです。体力的に辛い時は、あなただけ行ってきて、と。でも、夫は納得してくれなくて……。『うちの親は良かれと思って招いてくれてるんだから、好意を無下にするな』と言われてしまいました」
義母主催の誕生日会を断ったことで夫が激怒

そんなある日、恵津子さんは胃腸風邪を患い、ダウン。自宅療養を経て、ようやく体調が落ち着いたのは1週間後のことでした。
同時期、義母から「恵津子さんの誕生日会をやりたいんだけど、1週間後の週末はどう?」との連絡が。体調が回復したものの、まだしばらく自宅でゆっくり過ごしたいと思った恵津子さんは事情を説明し、「今年は申し訳ないですが、誕生日会はなしでお願いしたいです」と義母に頼みました。
「義母は『わかった、お大事に』と言ってくれたので、納得してくれたんだ……とホッとしたんですが、その夜、夫からものすごく怒られました」
実は義母、納得などしていなかったよう。恵津子さんと話した直後、カズさんに連絡をし、「あなたの嫁は礼儀知らずね!こんなにもよくしてあげてるのに、好意での誕生日会を断るなんて何様のつもりなの?」と激怒したのです。
恵津子さんが事情を説明しても、カズさんの怒りは収まらず。「前から、つまんなそうな顔して俺の実家に来てたもんな! だったら、もう二度と来なくていいよ! うちの親には、そう言っておくから」と言われ、恵津子さんは義父母宅に呼ばれなくなってしまいました。
“主役抜き”の誕生日会を開催するようになった夫と義父母

その後、恵津子さんは毎年、誕生日になると夫と義父母から嫌がらせを受けるように。義父母はなんと、主役である恵津子さん抜きの誕生日会を自宅で開催するようになったのです。
「毎年、誕生日前には義母から夫に『恵津子さんの誕生日を祝うから、恵津子さん抜きで孫を連れてうちにおいで』と連絡が入ります。夫は義父母の味方なので、ホイホイ行く。帰宅後は夫から、家族みんなで私の悪口で盛り上がったんだと聞かされます」
毎年、そんな思いをするのが辛くて、恵津子さんは冬のある日に一度、義父母宅へ謝りにいったそう。しかし、義母から「こんなに寒い日に外へ出ていたら、また体調が悪くなってしまうから早く家に帰ったほうがいいわよ」と門前払いされてしまいました。
夫に仲を取り持ってほしいと頼んでも、「内心、気を遣うことが減ってよかったと思ってるだろ?うちの親の気配りを自分の都合で拒否したこと、俺は一生恨む」と言われ、取り合ってもらえなかったそう。
「まったく義父母宅に呼ばれなくなって楽ではありますが、こんなにも仲がこじれてしまい、夫からも冷たく当たられるようになり、辛い。今年も誕生日が来るのが怖いです」
とんでもない誕生日会を開き続けるカズさんたち。そのおかしさに、当人たちが気づく日は来るのでしょうか……?
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<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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