コロナ禍に入ってから、耳にすることが増えた“ホテルステイ”という単語。

『おひとりさまホテル』(C)まろ マキヒロチ/新潮社
今回は“ひとりホテルステイ”をテーマにした漫画『おひとりさまホテル』(原案:まろ 漫画:マキヒロチ/新潮社)の原案者であり、Instagramでおひとりさま情報を発信するまろさんにインタビュー。1話の後半の内容とともに紹介します。
【インタビューはこちらから】⇒原案者まろさんが語るホテルステイの魅力
【インタビュー前編】⇒SNSで“ひとりホテルステイ”の楽しさを発信したら、まさかの漫画化『おひとりさま。』の魅力とは
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ホテルステイをはじめたきっかけ

原案者のまろさん
まろさん(以下まろ):そうですよね。旅先で聞いた話ですが、昔は「女性の一人旅=ワケアリなんじゃないか」みたいなイメージもあったようで。老舗の旅館で「大丈夫ですか?」って言われることや、予約を断られてしまうこともありました。
でも、行ってみると一人で来ているお客さんが結構多かったり、お宿側もウェルカムなところが増えてきていたりして。最近はひとりでホテルに訪れる方に向けたプランがある宿もありますね。
――そうなんですね!まろさんは、たまにホテルステイをするにとどまらず、日頃からホテル暮らしをしているそうですが?
まろ:月曜~金曜の平日は都内近郊のホテル、土日は実家に行ったり旅行に出たりしています。コロナ禍になる前からはじめたので、もう3~4年ほどです。
――ホテル暮らしをはじめたきっかけについて教えてください。
まろ:実家を出ようと思い、最初は一人暮らし用の賃貸物件を探していたんです。でも、行ったことも住んだこともない街でいきなり暮らすって、私にはハードルが高く感じられて。しかも、東京でずっと暮らしているのに、全然行ったことないエリアがたくさんあって、もっと東京のいろいろなエリアを知りたいと思ったのがきっかけです。
それにホテルステイだと、掃除などの家事をしなくて済むというのも魅力ですね。家具や備品を揃える必要もないからミニマルに暮らせますし。そういうところも魅力です。
――平日と土日で、泊まるホテルの区分けはあるんでしょうか?
まろ:平日は仕事をしながらホテルステイするので、椅子やデスクが完備されていて、かつ個室であることはマストです。週末は時間があるので少し足を伸ばすくらいで、あまり明確に決めてはいないですね。
「長期滞在したいホテル」と「一泊で満喫したいホテル」
まろ:あと、私のなかの基準ですが「連泊したいホテル」と「一泊で十分なホテル」があるんですよ。
――詳しく聞かせてください!
まろ:長期滞在で暮らすとなると、部屋の動線が大事になってきます。ゴミ箱の位置やバスタオルを掛ける場所など、欲しいところに欲しいものがないと、人はストレスを感じますし、その小さなストレスがチリツモになっていくんですよね。反対に1泊とか、短い間だからこその魅力があるような、ハイセンスなホテルもあるんです。
――考えもしなかった着眼点です。連泊のおすすめポイントってありますか?
まろ:15時チェックイン、翌日の11時チェックアウトのホテルが多いですよね。そのちょうど間の12~14時くらいの日差しが綺麗なホテルって、意外と多いんです。その景色は連泊しないと見られないものなので、フルにホテルを楽しむなら連泊もおすすめですよ。
――これまでホテルステイしてきたなかで、心に残っているエピソードはありますか?
まろ:とあるホテルでいただいた、非売品のお菓子がとってもおいしかったんです。それを伝えて「また食べにきますね~!」って話したら、帰り際に包んで持たせてくれたんですよ。しかも、お手紙付きで。私の些細な言葉を覚えてくれていたことが嬉しかったんです。
そうやって「また行きたい」と思うホテルが増えるのは、うれしいですね。帰る場所がたくさんあること、増えることって、こんなに安心させてくれるんだって思えました。ひとりだと、ホスピタリティがより染みて、心打たれるんですよね。
締めのお米に感動!山形のホテル
――『おひとりさまホテル』や、まろさんのInstagramを見ていると、食事も重視されていますよね。これまでの食事で一番美味しかったのは?
まろ:う~ん! 難しいですね……選びきれないので、思いついた3つのホテルをご紹介させてください!
1つは「山形座 瀧波」でいただいた、ディナーコースの締めの白米です。
「山形座 瀧波」は、「箱根本箱」なども運営されている「自遊人」さんが再生のプロデュース&ディレクションを行ったお宿。「こんなに美味しいお米あるの!?」って思うくらい、お米だけで何杯もいけて、おいしすぎて感動して、自然と泣いてしまったんですよ(笑) 。締めという名のメインディッシュでしたね。
瀬戸内の季節の恵みを堪能
まろ:2つめは「LOG」という尾道のお宿。ここでは、料理家・細川亜衣さんが監修する、瀬戸内の季節の恵みをふんだんに取り入れたお食事をいただくことができます。素材をシンプルに生かしていて、優しく包まれるようなお料理で、ぜひ一度行ってみてほしいです。ちなみに、細川さんは京都にある「丸福樓」でもお料理を監修されています。
見た目はフレンチ、食べると郷土料理
まろ:漫画にも出てくる「白井屋ホテル」の創作料理も絶品です。
見た目はフレンチなのに、食べると郷土料理。「これで焼きまんじゅうの味なんて、するわけない!」って思う見た目なのに、食べたらちゃんと味がするのが不思議で。食事の見せ方がエンターテイメントで、とてもおもしろいんです。お宿のお食事も、ぜひじっくりひとりで集中して味わってみてください!
ホテルステイは自分の「好き!」をやり尽くせる
――まろさんがホテルに泊まるときのマイルールはありますか?
まろ:人がいなくなった夜の館内を「私はこの空間を所有している!」くらいのテンションで姫気分で散歩します。(笑)あとは、部屋で音楽を流して踊ったり、ルームサービスを堪能したり。わざわざ特別なことをするよりも、大きなテレビでNetflixを見たり、お酒を飲んだり、日常の延長線上にあるようなことを楽しんでいます。
――素敵ですね。改めて“ひとりホテルステイ”の醍醐味を教えてください。
まろ:“ひとりホテルステイ”と聞くとハードルが高いかもしれませんが、カジュアルなホテルにフラッと行くのもありだと思うんです。空間や食事を楽しんだり、歌ったり踊ったり、エクササイズしたり。最近はサウナでホテルを選ぶ方も多いですよね。自分の「好き」をとことんやり尽くせるのが、ひとりホテルステイの良いところ。ぜひ自分だけの「好きポイント」を見つけて、楽しんでほしいです。
【インタビュー前編】⇒SNSで“ひとりホテルステイ”の楽しさを発信したら、まさかの漫画化『おひとりさま。』の魅力とは
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【まろ】
1992年東京生まれOL。「ひとり時間の楽しさ」を多くの人に伝えたいと、2017年にひとり時間の過ごし方を提案するメディ『おひとりさま。』を設立。Instagramアカウント(@ohitorigram)のフォロワーは5.5万人超。ひとりでこそ行きたいお出かけ情報を日々発信し『Hanako.tokyo』では「ひとりホテルのすゝめ」を連載中。ホテルや飲食店とコラボして“ひとり向けプラン”の企画・プロデュースも手掛ける。
【マキヒロチ】
第46回小学館新人コミック大賞入選。ビッグコミックスピリッツにてデビュー。リアルな人間模様を描いたストーリー漫画から、時計専門漫画、ギャグエッセイなど幅広いジャンルで活動中。著作に『いつかティファニーで朝食を』『創太郎の出張ぼっちめし』(いずれも新潮社刊)『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』『SKETCHY』などがある。
<取材・文/北村有>
北村有
葬儀業界を経て2018年からフリーランス。映画やドラマなどエンタメジャンルを中心に、コラムや取材記事を執筆。菅田将暉が好き。
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