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「若い人はがんの進行が早い」はウソ。あなたは大丈夫?意外と多い“がんへの誤解” | ビ

時刻(time):2023-04-17 08:40源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
AYA世代と呼ばれる15歳~39歳で、がんを発症する人は年間約2万人ほど。患者数が少ないため、これまではAYA世代のがん患者が抱える様々な問題があまり注目されず支援が少ない状況がありました。 この世代は 就学や就職、結婚や妊娠・出産などのライフイベントが集中する時期 のため、がんになることで同世代から取り残されたように感じることがあります。また、 小児や

AYA世代と呼ばれる15歳~39歳で、がんを発症する人は年間約2万人ほど。患者数が少ないため、これまではAYA世代のがん患者が抱える様々な問題があまり注目されず支援が少ない状況がありました。

この世代は就学や就職、結婚や妊娠・出産などのライフイベントが集中する時期のため、がんになることで同世代から取り残されたように感じることがあります。また、小児や高齢者と違い医療費の助成が手薄なため経済的な困難を抱える人も少なくありません。2010年頃からAYA世代のがん患者や元患者の声が挙げられ始め、医療者が連携して治療や支援の研究が行なわれてきました。

病室のベッドに座っている女性

※画像はイメージです(以下、同じ)

今回は、一般社団法人「AYAがんの医療と支援のあり方研究会」の理事長であり、医師の清水千佳子先生(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター がん総合診療センター/乳腺・腫瘍内科)に、私たちが意識しておいた方がいいことなどについて話を聞きました。また、20歳でがんを経験した、AYA世代の女性にも取材しています。

【前々回記事】⇒若いがん患者から、医師が一番よく聞く“困りごと”とは?他人事なんかじゃない
【前回記事】⇒がんの初期症状ってどんなもの?“お年寄りの病気”じゃない、若い世代のがんの特徴






若い人はがんの進行が早いって本当?


――AYA世代のがんについて、一般的に「若い人のがんは進行が早い」というイメージがあるのですが本当なのでしょうか?

清水千佳子先生(以下、清水)若いからといって、必ずしもがんの進行が早い、予後が悪いということはありません。実際には、がんの種類や見つかったときの進行度合、治療への反応性など、個人の状況によって異なります。全体としては、がんの治療成績が良くなってきており、がんを発症しても長く生きられる方が増えています。

「若い人のがんは進行が早い」という漠然としたイメージから、周りの人から「若いのに可哀想に」と過剰に気の毒がられたり、腫れもののように扱われたりすることで、AYA世代の患者さんは傷ついています

清水千佳子先生の写真

清水千佳子先生

――若い患者さんは、症状や治療以外にも精神的な辛さも大きいのでしょうか?

清水:実際、がんやその治療の影響で、思い描いていた将来像を変更せざるを得なくなることも多いです。今までの自分と変わってしまうような気持ち、周囲に置いていかれるような気持ちから、アイデンティティーの危機に陥り、適応障害やうつを併発するケースもあります

しかし一方で、がんの患者仲間や医療者、家族や友人など支援してくれる人との出会いを通して、新たな発見があったり、生き方を見つめ直す機会となったと、がんを「ギフト」と肯定的に振り返ることができるようになる人も少なくありません
もちろんがんにならないに越したことはないですが、多くの人ががんについての正しい知識を持ち、がんの経験をひとつの個性として考えられるような社会となれば、患者さんの精神的な辛さを少しでも軽減できるのではないでしょうか。






「まさか自分が」20歳でがんになった女性の経験談


一般社団法人「AYAがんの医療と支援のあり方研究会」のスタッフで、20歳で甲状腺がんを発症した女性・Aさんにもお話を聞きました。

Aさん:当時は地元から離れた大学に通っていました。学生生活は何かと忙しく、大学の健康診断は毎年サボっていました。でも3年生の時たまたま友人に誘われて健康診断を受けたところ、甲状腺の異常を指摘されたんです。

それで近くの病院で再検査を受けたんですが、「腫瘍は良性だと思うから大丈夫だよ」と言われました














看護師の母が「心配だから、がん専門の病院で診てもらおう」


Aさん:看護師である私の母にも相談したら、「心配だから、がん専門の病院で診てもらおう」と、わざわざ別の県にある病院にセカンドオピニオンに連れて行ってくれました。
そこで検査を受けたところ、悪性だとだと分かりました。腫瘍は4cmくらいまで大きくなっていました。それまで大きな病気をしたことがなかったのですごく怖かったし、どうしていいか分かりませんでした。

不安そうな女性と寄り添う女性
――お母さまが別の病院へ連れて行ってくれたのには、何か理由があったのでしょうか?

Aさん:母が医療従事者で、元々心配性だからだと思います。当時、私は体調不良もなく元気だったし、実際には腫瘍は大きくなっていたものの、人から指摘されないと自分では気づいていませんでした。
「甲状腺の異常」についても私は理解できていなくて、扁桃腺のことだと勘違いしていたんです(笑)。だから母が別の病院に連れて行ってくれたおかげで悪性だと分かって、本当に良かったです。





年1回の健康診断は大切。必要に応じセカンドオピニオンも


――どんな治療をされたのでしょうか?

診察を受ける女性
A:今では、甲状腺のがんの多くは取らなくても命を脅かすものではなく、手術はしなくてもいいと考えられています。でも当時は、親が心配して地元から私の下宿先に毎週通って世話をしてくれるのが大変だったこともあり、早く腫瘍を取った方がいいと思って手術を受けました。そこから10年が経ちましたが再発はなく元気にしています。

私の場合は友人に誘われて健康診断を受けてがんが見つかったので、年1回の健康診断は本当に大切だと実感しています。「健康診断なんてダルい」とサボっていたのは、若気の至りでした。そして一度目の検査で良性だと言われても不安な場合は、私のようにがん専門の病院でセカンドオピニオンを受けることも大事だと思います。













様々な支援があることに気づいてほしい


――ご自身の体験を通して、同世代の方に伝えたいことはありますか?

Aさん:情報を得ることはとても大切ですが、地方は情報格差があると感じています。私の大学のあった地方の県は情報が少なく、就職して大阪や東京で働くようになってからLINEやSNSでがん患者のための情報が発信されていることや、患者会というものがあることを知りました。

最近では地方でもAYA世代の患者のために情報発信をする動きが出ています。例えば富山県で患者会を作ろうとされている方や、長野県で活動をされている方もいます。そういった活動を後押しできるよう「AYAがんの医療と支援のあり方研究会」は活動しています。私もスタッフとして、AYA世代の患者さんに様々な支援があることに気づいてもらえるよう活動をしていきたいです。





まずはがんを恐れず、正しい知識を持って


――Aさんのように、若い年代は健康診断を受けない人が多いのでしょうか?

清水:AYA世代は学生や社会人、子育て中の方など、皆さん忙しい日常を送っているので健康のことが二の次になってしまうことが少なくないと思います。学生さんなど、体調が悪くても1人で病院に行かずになんとかしのごうという人もいるかもしれません。
そういったことは医療者からは見えにくいので、Aさんのようながんを経験した方のお話の中から教えてもらうことはすごく多いのです。そこをしっかりと聞き取りしないと、AYA世代の患者さんのケアを充実させられないと考えています。

講義を受ける大学生
――今がんになっていないAYA世代の人は、どんなことをしておいた方がいいのでしょうか。

清水:若くしてがんを発症することは、とても特殊なことのように感じるかもしれません。しかし、がんは日本人の2人に1人が発症するとても一般的な病気です。若いがん患者さんは、たまたま人より早くなってしまったという状況なのです

がんに対して怖いイメージを持っているかもしれないですが、今はがんの診断や治療が進歩しており、予後はよくなっています。しっかりと調べてみると元々持っていた印象が変わるかもしれません。まずはがんを恐れず、正しい知識を持つことが大切です。

――すでにがんを発症している方々に向けて、メッセージをお願いします。

清水:AYA世代の患者さんは少ないので、患者さんにとって必要な支援を作っていくためにも、皆さんと一緒に声を上げていけたらいいなと考えています。今の若い人は、SNSで情報収集をすることが当たり前になっていたり、生活様式がどんどん変わっていっています。頭の固い医療者が考えたものではなく、AYA世代の実態に合った支援をするためにも若い人たちの意見は大切です。もちろん体調が落ち着いた時に、少しだけ私達に知恵を貸していただけたらありがたいです。

【前々回記事】⇒若いがん患者から、医師が一番よく聞く“困りごと”とは?他人事なんかじゃない
【前回記事】⇒がんの初期症状ってどんなもの?“お年寄りの病気”じゃない、若い世代のがんの特徴

【清水千佳子先生】
国立国際医療研究センター病院 乳腺・腫瘍内科診療科長。東京医科歯科大学医学部医学科卒業。国立がん研究センター中央病院での研修、米国のM.D.Anderson Cancer Center Medical Exchange Program短期留学を経て、同病院の医員、医長として勤務。平成29年10月より現職。専門は乳癌の薬物療法。AYAがんの医療と支援のあり方研究会 理事長のほか、日本乳癌学会評議員、日本臨床腫瘍学会協議員、日本がん・生殖医療学会理事などを務める。

<取材・文/都田ミツコ>
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。



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