カエルの子はカエルということわざがありますが、その定義からいくとギャルが生んだ子どももまたギャルになるのでしょうか? 否。必ずしもそうとは限らないと、都内在住のライター・日名子さん(仮名・44歳)は語ります。
41歳の妹は、近所でも有名なギャルママでした
「私の妹の実和子(仮名)は今年で41歳になるのですが、彼女が女子高生だった頃は、まさにコギャルの全盛期。妹も例に漏れず、肌を黒く焼いて『egg』ファッションに身を包んだ、テンプレみたいなコギャルでした」
実和子さんは、高校在学中に妊娠が判明し、卒業してすぐにかなり年上だったお相手と結婚。18歳で女の子を出産しました。子どもが生まれてもファッションセンスが変わることなく、そのままギャル街道を爆走。年が若い上に恰好も目立つ実和子さんは、ご近所でも有名なギャルママだったそうです。
娘が高校を出るまでは、一緒にギャル服を楽しんでいた
「実和子は自分の娘の咲ちゃん(仮名)にも、自分と似たようなギャル系ファッションをさせるのが好きでした。咲ちゃんもそれがわかっていたのか、特に文句も言わずに実和子が買ってくるものや勧めるものをそのまま着てた感じで。
実和子は小柄でスレンダー体形なので、咲が高校に入る頃にはよく二人でお揃いの服を買ったり、服の貸し借りをしたりと本当に楽しそうだったし、仲の良い母娘だったと思います」
その関係が崩れ始めたのは、咲ちゃんが高校を卒業した頃でした。
咲ちゃんがある男性アイドルグループにハマり始め、ファッションの傾向がいきなりガラリと変わってしまったのです。
「一緒に歩くの恥ずかしいから、離れて歩いてよ!」
「レースやリボンがいっぱいついた、淡い色のフリフリ系……いわゆる量産型、というファッションでしょうか。これまでのギャル服とは全く違ったセンスに、実和子はかなり戸惑ったようです。咲ちゃんの服を見て『何なの、その恰好! ぜんぜん良くない!』『超ダサい!』と、面と向かって憤慨(ふんがい)していたのを見たこともあります」

しかし、咲ちゃんは実和子さんにそう言われても自分を曲げる気は全くなかった模様。着々と量産型ファッションを極めていく咲ちゃんに対し、実和子さんはついに「そんな恰好の女と一緒に歩くの、恥ずかしいから離れて歩いてよ!」とまで言うようになってしまいました。
推し活に精を出す娘は、元パンクの姉に懐きだした
「それに加えて、咲ちゃんが推し活に精を出しているのも気に入らないみたいです。実は、若い時の私と実和子はそんなに仲の良い姉妹ではなく……。特に私が中高生時代、バンドやアニメに夢中になっていた時なんか『意味わかんない』と冷たい視線を向けられたものです。でも今の咲ちゃんって、ほんとに当時の私とそっくりなんですもん。昔嫌ってた姉に娘が似てるってなかなかダメージあるんでしょうね」
ちなみに日名子さん、若い時はパンク系ファッションに身を包んでいたタイプ。ちょっと系統は違いますが、咲ちゃんの好きなファッションにも理解を示すためか、最近はすっかり懐かれているのだとか。

「実和子からすると、それも悔しいみたいですね。彼女も一緒に出掛けたり、買い物したりできる母娘でありたかったんだと思います。現在、私と実和子の関係性はそんなに悪いものではないので、たまにお茶したりしてますけど、『どうして日名子に似ちゃったのかなぁ……』と悪気なく愚痴られたりしますよ(笑)」
「もう、孫に期待する」
最近の実和子さんは、「もう、孫に期待する」と、咲さんが早く女の子を生んでくれることを待ち望んでいる様子だとか。しかし、それもまだまだ望み薄だろうと日名子さんは笑っていました。
「だって、咲ちゃんそっくりの私が44歳で未だに独身ですからね(笑)。きっと彼女も恋愛より推し活に比重があるので、しばらくは結婚なんて考えもしないんじゃないかなぁ……」
ギャルママの心、子知らず。
―シリーズ「ヤンキー・ギャル・コギャル」―
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<取材・文/もちづき千代子 イラスト/やましたともこ>
もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。度を超したぽっちゃり体型がチャームポイント。Twitter:@kyan__tama
(エディタ(Editor):dutyadmin)

