今の位置(Current Position): ホームページ(HomePage) > ライフスタイル >

がんの初期症状ってどんなもの? 必ず知っておきたい“若い世代のがんの特徴” | ビューテ

時刻(time):2023-04-16 08:40源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
AYA世代(15歳~39歳)でがんを発症する人は毎年約2万人ほどいます。高齢者に比べて割合は少ないですが、AYA世代は人生の中で最も変化が激しい時期で、就学や就職、結婚、妊娠・出産など、沢山のライフイベントが発生します。 がんの治療のために通学や通勤が困難になったり、同世代のがん患者が少ないために孤独感を抱えやすい など、AYA世代特有の問題を抱えること

AYA世代(15歳~39歳)でがんを発症する人は毎年約2万人ほどいます。高齢者に比べて割合は少ないですが、AYA世代は人生の中で最も変化が激しい時期で、就学や就職、結婚、妊娠・出産など、沢山のライフイベントが発生します。がんの治療のために通学や通勤が困難になったり、同世代のがん患者が少ないために孤独感を抱えやすいなど、AYA世代特有の問題を抱えることがあります。

落ち込む女性

※画像はイメージです(以下、同じ)

2010年以降、AYA世代のがん患者や医療者から声が上げられ始め、必要な支援について研究が行なわれるようになりました。

一般社団法人「AYAがんの医療と支援のあり方研究会」理事長であり、医師の清水千佳子先生(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター がん総合診療センター/乳腺・腫瘍内科)に、AYA世代のがん患者が抱えがちな問題について詳しくお話を聞きました。

【前回記事】⇒若いがん患者から、医師が一番よく聞く“困りごと”とは?他人事なんかじゃない






15歳~39歳のがんの研究で、見えてきた問題とは


――AYA世代のがん患者の問題は、なぜ注目されるようになったのでしょうか?

清水千佳子先生(以下、清水):AYA世代は15歳~39歳までとされていますが、海外ではこの世代のがんが、15歳未満の小児のがん、40歳以上のがんと比べて生存率の改善が鈍いという統計が出て、注目されるようになりました。

国内では、15歳未満の小児期にがんを発症したがんは小児科医、AYA世代に発症した場合は主に成人の臓器別の専門の医師が治療しており、それぞれの領域で患者さんが抱えている問題は認識されてきました。しかし、医療者が自分の診ている患者さんだけをイメージしていると、他のAYA世代の患者さんの問題を見逃してしまうのですよね。

清水千佳子先生の写真

清水千佳子先生

――AYA世代び抱える問題を、まとめて捉える機会がなかなかなかったのですね。

清水:2016年に国が行ったAYA世代がんの研究事業に、小児科の領域や、我々のような成人がんの専門医、また生殖医療の領域からも医師が参加しました。その時に行った調査で、AYA世代の患者さんが非常に多様でそれぞれの悩みが多面的であること、そして医療従事者も、AYA世代の患者さんが少ないために情報がなく、対応に困っていることが分かってきました。

そこで、2018年に実態調査を行った研究班のメンバーを中心に、AYA世代のがんの医療と支援を向上させていくための団体、一般社団法人「AYAがんの医療と支援のあり方研究会(AYA研)」を設立し、活動を始めています。






「子どもが欲しかったのに、治療の副作用で難しくなった」


――具体的には、どんなことに対して支援が必要されているのでしょうか?

清水:例えば私の場合は乳がんが専門なのですが、がんの治療成績が良くなる一方で、「子どもが欲しかったのに、治療の副作用で難しくなってしまった」という声を多く聞くようになりました。

最近は不妊治療の技術を使って、がん治療の前に、精子・卵子や受精卵を凍結して保存する方もいます。がん治療で卵巣や精巣への影響の免れない治療をする場合、希望のある人にはがん治療後に子どもを持つ可能性を残す選択肢を提供できるようになってきました
子どもが欲しいと考える若い患者さんは少なくなく、難しい決断をするための支援や、心理的なサポートが必要です。














子どもの世話、親の介護に、治療費の問題も


――他にはどんな問題がありますか?

点滴を受ける女性
清水:そのほかにも、仕事をどうしたらよいか、子育て中の方にはお子さんのことをどうしてあげたらいいのかという問題、また少し上の世代では、がんになったことで親の介護の役割を果たせなくなってしまうという問題もあります。

子育てや家のローンでお金がかかる年齢なので、治療費を払うことで経済的にも大変になってしまいます。20歳まではがんは「小児慢性特定疾病医療費助成制度」の対象で医療費がかかりませんが、20歳を超えると医療費が3割負担になります。
またがんの末期に40歳以上は介護保険を利用することができますが、保険料を払っていないAYA世代はその制度を利用することができず、家で過ごしたくても経済的な負担があってそれがかなわないということがあります。





一人暮らしだと、一人きりでがんと向き合う場合も


――小児がんの経験者の方からは、どんな声が挙がっているのでしょうか。

清水:例えば小児がんの場合、これまでは治療が困難だったがんの治療法が確立されたため現在では生存率が向上しています。小児がんの経験者の中には、治療で学業が続けられなくなったり、後遺症を抱えていて、就職に苦労したりしてしまうケースがあります。

相談できる窓口が少ないためにうまく支援に繋がることができず、諦めて学校からドロップアウトしてしまうこともあります。小児がんの経験者の人も、AYA世代で発症した人も、お話を聞くと、「周りに同じような人がいないので他の人はどうやって乗り越えているのか分からない」「参考になるような先輩の話を聞きたい」という声がありました。

――一人暮らしの方の困りごとには、どんなものがあるのでしょうか。

清水:一人暮らしをしていると、一人きりでがんと向き合わなければならないので、大変だと思います。コロナ禍では特に、家族や友人に助けてもらうことが難しく、孤独に戦わなくてはならない人もいました。若い時は「自分でなんとかしたい」と、ひとりで頑張りがちですが、治療の副作用で体調が悪かったり、食事が困難な時などに、ご家族や友人などサポートしてもらえる方がいないと日常生活がとても大変ですし、心細いことでしょう。












地方での“情報格差”も問題に


――「一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会」では、どんな活動をされているのでしょうか?

清水:私達の研究会では、AYA世代の医療や支援をよくしていくための学術的な研究や支援活動を推進するために、学術集会を開催したり、研究会誌を刊行したりしています。また、医療従事者や支援者を対象にAYA世代のサポートのための教育プログラムを行ったり、毎年3月上旬に行うAYA weekでは、AYA世代のがんに関する活動を行っているさまざまな団体とともに、社会啓発活動をしています。患者・家族など当事者の方向けには、研究会の公式LINEアカウントで情報発信しています。興味のある方はぜひ登録してみてください。

患者を励ます医師
――AYA世代のがん患者の支援は、情報がまだ少ないのでしょうか?

清水:地域格差があると思います。都会では情報が多いですし、若い患者さんの多い病院ではニーズに気がつきやすいので、AYA世代の患者さんを支援するプログラムの立ち上げが進みやすいです。しかし地方の若い患者さんが少ない病院では、医療者が支援に関する情報を持っておらず、若い患者さんに相談を受けても支援に繋げてあげられないこともあります
研究会としては、AYA世代の支援に関する最新の情報を全国に届け、患者さんがどこにいても、ひとりで悩みを抱えることのないようにしていきたいと考えています。






同じような境遇の人と話せる「患者会」


――がん患者の支援には、どんな相談機関があるのでしょうか。

清水:国の指定する地域がん診療連携拠点病院には、患者さんの療養のサポートのために「がん相談支援センター」が設置されており、AYA世代の患者さんの窓口になっています。利用するかどうかは患者さんの選択によります。
また病院以外の場所では、患者さんが自主的に運営している「患者会」があり、情報交換や、独自の支援活動をしている会もあります。患者会では、同じような境遇の方と話をすることができて、心の支えになったという声をよくききます。













「私だけは大丈夫」と考えず、ある程度想定しておく


――がんの症状や治療だけでなく、社会的な問題や精神的な辛さも大きな負担となるのですね。

清水:高齢者になるとがん仲間が増えます。でも若い方は同世代の大半が元気なので、悩む方は多いです。今までは未来を描いて暮らしていたのに、「治療や病気で未来が断たれるかもしれない」という状況に置かれることは非常に大きなギャップがあることでしょう。だからこそ「私だけは大丈夫」だと思わないで、人生に起こりうる危機としてある程度想定しておくことが大切です。






がんの初期症状とはどんなもの?


――がんを発症した人は、どんな初期症状を訴えることが多いのでしょうか?

喉に手を当てる女性
清水:前提として、同じ症状があったとしてもがんとは限らないので過剰に怖がらないようにしてください。初期症状としては、例えば甲状腺や乳がんは体表の臓器が腫れてきます。身体を触ると、手にグリグリとしたものが当たる時は特に体調不良がなくても一度病院で診察を受けた方がいいですね。

また、なかなか症状が取れないことがあります。風邪を引いたと思って1週間くらい様子を見ても症状が取れない時は、病院に行って診てもらいましょう。「体力で乗り切ろう」とか「今は疲れているんだ」と自己判断せずに、専門家に医学的に診断してもらうことが大切です。例えがんではなくても、体に何らかの原因があって症状が出ているはずですから、体調不良が続く時は、無理をせずに医療機関を受診することをおすすめします。

参考:小児慢性特定疾病情報センター 医療費助成について
「がん相談支援センター」とは(がん情報サービス)
一般社団法人「AYAがんの医療と支援のあり方研究会

【清水千佳子先生】
国立国際医療研究センター病院 乳腺・腫瘍内科診療科長。東京医科歯科大学医学部医学科卒業。国立がん研究センター中央病院での研修、米国のM.D.Anderson Cancer Center Medical Exchange Program短期留学を経て、同病院の医員、医長として勤務。平成29年10月より現職。専門は乳癌の薬物療法。AYAがんの医療と支援のあり方研究会 理事長のほか、日本乳癌学会評議員、日本臨床腫瘍学会協議員、日本がん・生殖医療学会理事などを務める。

<取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。




(エディタ(Editor):dutyadmin)
    顶一下
    (0)
    0%
    踩一下
    (0)
    0%
    ------分隔线----------------------------
    コメント(comments)
    Please observe the policies and regulations of the Internet.

    コメント(comment):
    気持(Expression):
    ユーザ:パスワード:
    認証コード:点击我更换图片

    最新コメント コメント詳細画面へ>>
    ランキング(Ranking)