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坂口健太郎による“衝撃映像”の数々…異色の主演作に胸のザワザワが止まらない « ビュー

時刻(time):2023-04-16 15:04源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
こんなに胸がザワザワする日本映画を久しぶりに見た気がする。2023年4月14日(金)から公開中の映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』は、これといって何か特別な事件が起こるドラマではない。にもかかわらず、本作は、主演の坂口健太郎による“衝撃映像”の連続だった。 坂口の顔、表情、歩き方、手元。どれもこれも美しいとしか言いようがない。恋人役の市川実日
 こんなに胸がザワザワする日本映画を久しぶりに見た気がする。2023年4月14日(金)から公開中の映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』は、これといって何か特別な事件が起こるドラマではない。にもかかわらず、本作は、主演の坂口健太郎による“衝撃映像”の連続だった。

 坂口の顔、表情、歩き方、手元。どれもこれも美しいとしか言いようがない。恋人役の市川実日子、元恋人役の齋藤飛鳥の表情もふるえるほど素晴らしい。

「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、坂口健太郎が静かに伝える不思議な美しさを解説する。








初っ端からただならぬ雰囲気を漂わせてしまう


©2023『サイド バイ サイド』製作委員

©2023『サイド バイ サイド』製作委員

 いきなり坂口健太郎の横顔。バスの車窓は、風景が激しく移ろう。彼の顔は背景から浮き出る。浮き出た横顔をじっくり眺める。ややくせっ毛のもみ上げから目線を上にすべらせる。

 パーマがあてられたマッシュヘアは、坂口、ただひとりのためにだけスタイリングされるべき髪型のように思える。横顔とヘアスタイルだけでただならぬ雰囲気を漂わせてしまう坂口健太郎。これは、ヤバいぞ。

 そのあと、車内では、横顔から正面、後ろ姿が順番に映る。前を向く真顔や揺れる肩など、さまざまなアングルから坂口を眺め回しているうち、バスは到着する。何ともとらえどころのない表情で停車場からすたすた歩く足取りもたまらなくいい。





昼の横顔と夜の横顔


©2023『サイド バイ サイド』製作委員
 夜の縁側で寝そべる場面でも横顔が映る。昼の横顔と夜の横顔。どちらも素晴らしい。近寄ってきた女性がカメラのシャッターを切る。未山(坂口健太郎)は動じず、黙って自分のことを素材のように相手に差し出す。

 昔の写真を取り出して見せられるが、未山はどこか違うところ(部屋の隅の方) を見つめる。薄闇に坂口の横顔がうっすら浮かぶ。彼女が部屋を出ると、やっと視線を写真の方へやる。箱の中の一枚には、上半身裸の未山の白黒写真が。

 映画がはじまってまだ10分も経っていない。それなのに、坂口の昼の横顔と夜の横顔をいくつか見られただけで、すでに満足してしまっている。とてもとても不思議な作品である。













完璧にそこに存在する力


©2023『サイド バイ サイド』製作委員
 未山は、基本的に歩く人である。表情ひとつ変えずにずんずん歩く。ゆるやかにカーブする坂道を上ってきた彼の前に、一頭の乳牛が立ちふさがる。エキセントリックなシチュエーションだが、未山は動じない。「行こう」と静かに言って牛をあやしながら、連れていこうとする。

 この場面は、固定したカメラによる長回し(カメラを回し続ける長いショットのこと)。同じ点景を見ているうちに、あれ、何か見たことあるなと感じてくる。ある絵画の風景である。フランスの画家コローの「森辺で牛を飼う農夫」で、森の中で女性と牛が見つめ合う空気感に似ている。おそらくこの絵画の再現ではないけど、さっき横顔にシャッターが切られたことといい、フレーム(画面)の中の坂口が、完璧にそこに存在する感動がある。

 ただそこにいたり、座ったり、歩いたりするだけで、ぐんぐん迫ってくる感じ。当たり前かもしれないが、そういう力のある俳優は意外とすくない。特殊な力を持つ未山を不思議な気配で演じる坂口健太郎は、俳優としてすごい域に入りつつあるのかもしれない。





衝撃映像を見ているときの胸のザワザワ感


©2023『サイド バイ サイド』製作委員
 放牧中に脱走した牛を知り合いの酪農場に送り届けた次の場面では、また横顔。しかも今度は朝の寝顔。朝日が部屋中にまろやかに行き届いていて、顎のラインや喉仏からふさふさ生えたうぶ毛がまぶしい。

 未山の寝顔を捉えたカメラがゆっくりズームバックする。ここぞというタイミングで薄目を開け、何となく部屋の空気に合わせて呼吸する。これが息を呑む美しさなもんだから、これで映画がもうクライマックスでいいとすら思った。

 いや、待てよ。そのあともまだとてつもない場面が続く。テレビでアニメ番組を見る美々(磯村アメリ)の隣に座り(あぐらがまたいい) 、「おはよう」とロートーンで言う。台所のシンクでキュウリ、赤黄のパプリカとトマトを洗う手元。坂口に洗われると、こんなに野菜の原色が鮮やかに感じるものか。

 食卓で美々が差し出したパンを大口でハムっとする横顔が、画面上手からヌッと飛び出す瞬間は、衝撃映像を見ているときの胸のザワザワ感を覚える。













フレームの中の坂口健太郎


©2023『サイド バイ サイド』製作委員
 ところが、齋藤飛鳥扮する莉子が登場したあたりから、未山の横顔より正面の顔が強調されるようになる。高校時代に恋人だった莉子の存在も不思議な雰囲気を漂わせる。現在の恋人である詩織(市川実日子)の提案でなぜかみんなで同じ家で暮らしはじめる。すると、ベッドに横になる未山をカメラが俯瞰(正面)の位置から捉えるようになる。

 横だろうと正面だろうと、坂口の顔の美しさに変わりはない。美々に「美しい」の意味を聞かれた未山が、「今から、探しに行ってみる?」と言う場面は、もっとも素晴らしい瞬間のひとつ。右へ左へキョロッと目を動かして、美々の顔をまじまじと見つめる正面の表情も息を呑む。

 みんなで森に散策に出かけ、焚き火をする場面が続く。莉子の方を向く未山の正面は、一度見たら忘れられない顔だ。焚き火の炎に照らされ、齋藤の顔と交互に映る坂口の表情は、ゾクッとする。

 芸術家である莉子が制作した作品が完成すると、モデルになった未山が作品のフレームにすっぽり収まるのも衝撃的。映画、写真、絵画、どれでもフレームの中の坂口健太郎は、格別に美しい。作品を見終わったあとも尾を引く美しさと静けさにザワザワがとまらない。

<文/加賀谷健>


音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu



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