迷子になってしまった丸顔の飼い猫マルルと、迫力十分のハチワレのボス猫ハチのコンビが、絆を育みながら厳しい現実を生き抜いていく様を描いて、大きな反響と強い支持を集めている漫画『ツレ猫 マルルとハチ』(講談社)。
刊行済みの1~2巻が重版に次ぐ重版となり、4月6日には、第3巻の発売が予定される人気シリーズを手掛ける漫画家・園田ゆり先生(@sonoda_yuri)へのオンラインインタビューが叶いました。
現在、ミルクから育て上げたという2歳弱の三毛猫とキジ猫姉妹と暮らす園田先生に、『ツレ猫』誕生のきっかけなどを前後編にわたって聞きます。





人気漫画家の愛猫は、生後約3日から育て上げた三毛とキジ
――先生は以前、ハムスターを飼われていたと思いますが、今は後ろに猫ちゃんが見えますね。
園田ゆり先生(以下、園田)「猫もずっと飼いたかったのですが、飼えなくて。『ツレ猫 マルルとハチ』の連載が決まってから、ちょうど縁があって子猫を飼い始めたんです。今1歳半を過ぎた三毛とキジの姉妹です。生後3日くらいの赤ちゃんのときから急に飼うことになったので大変でした」
――そうなんですか!!
園田「譲渡会にも行ってたんですけど、ずっとダメだったんです。独り身で、仕事も不安定ですから、当然だと思います。審査が厳しいといった声も聞きますが、厳しくていいと私は思います。ただプライベートなことをかなり審査されて、結局落とされたりすると、ショックなのは事実なので、ほかにいいシステムがないかなぁとは思います。とにかく、私の家のなかは、すでに猫を飼う準備が万端でした(笑)。でも成猫だろうと思っていたので、子猫は焦りましたね。ミルクをあげたこともないし、本当に大変でした」
――でも無事に育ってくれましたね。今もすごく元気に後ろで駆け回っています(笑)。
園田「そうですね(笑)。未経験なことだらけだったので、ハードでしたが。体力的なことだけでなく、自分のせいで死んじゃったらどうしようという恐怖がすごかったです。私のところの子たちは、1カ月で離乳してくれました。でも、障害を抱えていたり病気がある子、毎日排泄介助のいる子もいます。お金も必要ですが、やっぱりお金の問題だけじゃないなと思います」
短編から連載ものへ。マルルとハチにはモデルがいた
――さて、『ツレ猫』について教えてください。世の中には癒し系の猫漫画が溢れていますが、『ツレ猫』は、絵柄はすごく可愛く、読みやすくありながら、シビアな現実を描いています。最初に話題になったのは『野良のボス猫が保護されようとする話』という短編ですね。




園田「以前住んでいたところがすごく猫の多い地域で、酷い状態の猫をよく見かけて、自然と描きたい気持ちになっていきました。最初はコピー用紙にボールペンで描いた漫画だったので、こんなにバズるなんて思っていませんでした」
――『ツレ猫』連載にあたって、どういった変更を意識しましたか? マルルとハチにはモデルがいるのでしょうか。

園田「最初の読み切りではどちらも野良猫でしたが、バディものとして連載するなら正反対の属性にしようと思いました。ペットショップの温室育ちの子と、野良の厳しい世界で育ったボスで、どちらの面もクローズアップできるようにしたほうが漫画の幅が広がるだろうと。エサやりの認知症のおばあさんにもモデルがいますが、マルルとハチにもモデルがいます。ハチのモデルはすごく警戒心が強いオスのボス猫で、おばあちゃんからエサをもらっていたハチワレです。マルルは、保護猫カフェにいた異常に人馴れしていた愛嬌のある子がモデルです」
――保護活動をしているキャラクター・やすおが、猫には怖い存在として映るのが「なるほど」と思うと同時に新鮮です。
園田「猫にいいことをしようとしている人間が猫には嫌われてしまうというのは、よくあることなんですよね。獣医さんもそうですし、保護団体やボランティアの方が保護する際にも、猫からすれば何をされているか分かりませんし、捕獲機に閉じ込められて訳の分からないところに連れていかれるわけですから。猫が大好きで、猫のためにしているんですけど、猫は環境の変化が大嫌いなので、そういう嫌な思いをしたり、仲間を取られてしまったりしたら、猫には好かれないというのはよくあることなんだと思います」
動物について調べるのは、小さいころの未練があるのかも
――ジョウロのエピソードが、現実の厳しさをダイレクトに伝えます。
園田「ジョウロの話は、結構よくあることみたいですね。今は蓋のパーツが外れるジョウロが多くて、そこだけネックレスみたいにひっかかったままになる子もいます」
――ちなみに、園田さんは以前住んでいたところでも野良猫たちの様子をよく見ていたようですが、いろんなことを観察したり、調べたりといったことが、昔から好きなんでしょうか。
園田「そうですね。オタクです。それと好きに加えて、小さい頃の未練みたいなものも手伝っているのかもしれません。自分の世代って動物愛護の意識がまだ薄かったんです。気持ちはあっても、親世代も学校の先生も、正しい飼育の方法を分かっていなかった。インターネットもそんなに普及していないので、簡単に調べられもしないし。なので、『ちゃんとした飼い方をしていたら、もっと長生きさせられたかもしれないのに』とか、『もっとこうしたかった』といった気持ちがどこかにあるのかなと」
漫画を読んでまずは知ってほしい
――本作にも外飼いの犬が登場しますが、愛情がないというより、知識がないが故の結果という感じでした。
園田「すごい虐待犯とか悪意がある人というのも確かにいて問題ですが、悪意なしに、なんとなくやばいことをしている人のほうが絶対的に多いと思うんです。漫画で社会を変えようなんて大それたことは思ってませんが、漫画を読むことによって、『あ、そうなんだ』『こういうこともあるんだ』くらいに思ってもらえたら嬉しいです。『ツレ猫』は、あくまでもエンタメ作品なので」
明日公開予定の<後編>では、第3巻の内容や、現在の保護猫ブームに思うこと、園田先生おススメの猫漫画などについて聞きます。
<取材・文/望月ふみ>
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
(エディタ(Editor):dutyadmin)






















































