【○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.17】
猫と人の間に絆が芽生えるように、一緒に暮らしていると犬と猫も深い繋がりで結ばれることも。今回は絵本作家、あんのくるみさん(@kurumi0422a)の愛猫マロンくん(14歳)と、亡き愛犬シンディちゃんの友情を取材しました。
猫嫌いの猫が見つけた友達は「犬」
今から13年前、ゴールデンレトリバーのホワイトちゃんと暮らしていたあんのくるみさんは子猫を迎えたいと思い、ある日、地域の犬猫保護センターを見学。
そこで目にしたのが、ご飯を食べる数十匹の猫たちから離れ、ひとり、ただじっと床を見つめているマロンくんでした。
他の猫に馴染めず、ひとりだけ廊下に出てご飯を貰うマロンくんを見たとき、頭に浮かんだのは遠い日の自分。
「私は学生時代、学校に馴染めず、休み時間がとても苦手で読んでもいないのに本を広げたり、机をじっと見つめたりしていたことがあった。だから、自分とどこか重なるマロンを迎えたくなりました」
家にやってきたマロンくんはホワイトちゃんと仲良くなり、大の犬好きに。2人の交友はホワイトちゃんが13歳で亡くなるまで続きました。
飼育放棄されていた大型犬のシンディ
その後、あんのくるみさんはご近所さんから「とんでもない飼い方をされているグレートピレニーズを見つけた」という話を聞きました。その子は汚いプレハブ小屋に繋がれており、やせ細っていたそう。心配になったご近所さんは警察や犬猫センターに通報し、犬は保護されました。
そこは、なんと偶然にもあんのくるみさんがマロンくんを引き取ったセンター。
「当時、マロンには治療中の疾患があったので、メールでセンターの方に経過報告をしていました。だから、保護した大型犬のことも尋ねてみたんです」
すると、送られてきたのは痩せて泥まみれになった犬の写真。爪は散歩をしていないせいで丸くなるまで伸び、首輪周辺の皮膚は変色していました。
当時、ホワイトちゃんを無くして半年ほどだったあんのくるみさん宅には大型犬の首輪や布団、おもちゃ、ストックしていたフードなど、捨てられない「愛犬の生きた証」がたくさんあったため、余計にその大型犬のことが気がかりに。
「大型犬じゃ、センターさんも大変だろう」とお父さんが口にすると、「うちみたいに大型犬用品がそろっているわけじゃないだろうしね」とお母さんも共感。あんのくるみさんが「目がホワイトに似てる」と言う頃には、お父さんは車のキーをもって立ち上がり、連絡を入れてセンターへ。その後は獣医師さんと相談し、マロンくんの健康も考慮しつつ、家族に迎える日を検討していきました。
マイペースだった猫が愛犬を守る「兄貴」に
おうちに迎えた日は、ちょうど歌手のシンディ・ローパーが来日していたことから、「彼女のように明るくなってほしい」という願いを込め、大型犬の名前は「シンディ」に。
犬好きのマロンくんは初めから興味津々でしたが、シンディちゃんのほうは目をそらしていたのだとか。「ストレスにならないよう、あまりにもマロンがしつこくする時は離していましたが、人間が近くにいる時より、シンディがリラックスしているように見えたので過度な配慮はしませんでした。」
一方、マロンくんのほうはすぐに「シンディ」という言葉が新しくやってきた子を示すのだと理解し、名前を聞くだけでとんでくるように。マイペースだったマロンくんには庇護欲も生まれ、シンディちゃんを守ろうとする姿が、日常の中で多く見られるようになりました。
なかでも、あんのくるみさんの印象に強く残っているのが、雷の日の出来事。雷がとにかく怖いシンディちゃんが窓から離れて尻尾を丸めると、マロンくんはすかさず、窓とシンディちゃんの間に立ちはだかったのだそう。「小さいながらも凛々しい背中でシンディを守っていました。毛が逆立っていたので、本当はマロンも怖かったんじゃないかと。勇敢な兄貴です。」
また、往診の獣医師さんに見てもらった後に、家族みんなでシンディちゃんを思いっきり褒めるときには、マロンくんも「よく頑張ったね」と言うように顔をペロペロ。
きょうだいのように仲が良かった2匹は、師弟関係のような絆でも結ばれていました。
大好きだった心友を今も想い続ける…
しかし、それから3年後、迎えた当初からあまり健康状態がよくなかったこともあり、シンディちゃんは肺疾患のため、この世を去りました。急激に弱っていくシンディちゃんを前に、マロンくんは動揺することなく、しっかりとそばに寄り添っていたそう。別の部屋で眠るシンディちゃんを心配し、夜中に何度も様子を見に行くこともあったと言います。
「でも、亡くなった日は容態が急変したときに呼んでもマロンは絶対にシンディの部屋に来ませんでした。まるで亡くなる瞬間を見たくないと言っているかのようで。もしかしたら、前日のうちに彼なりのお別れを済ませていたのかもしれません」
また、シンディちゃんが亡くなった後、マロンくんはシンディちゃんがいた部屋に一切入らなくなったのだそう。
「一緒に遊ぶときはリビングが多かったので、マロンにとってシンディの部屋は病に苦しんでいた場所だと記憶に残ったのかもしれません。」
犬と猫はよく、比較されやすい動物ですが、当人たちはお互いの個性を尊重し、内面を認め合いながら生きていることも多いもの。そんな姿勢から、私たち人間が学ぶことはたくさんあるような気がします。
種族が違っても信頼関係を築いていた2匹
「同種族だと、自分の体を大きく見せて威嚇するとよく聞きますが、種族が違うとそれはあまり関係ないのかもしれないと思いました。大型犬と猫では、体の大きさに圧倒的な差があります。でも、シンディはマロンの勇敢な姿勢や自分に対する優しさを感じとって信頼し、関係を築いていました。種族が異なることで比べる基準がなくなり、彼らなりに『内面を重視』していたように見えました」
劣悪な環境で飼育放棄され、愛されることを諦めていたシンディちゃんにとって、ありのままの自分を無条件に受け入れてくれたマロンくんの存在は、かけがえのないものであったはず。汚いプレハブ小屋で人知れずに亡くなるのではなく、家族に見守られ、かわいがられながら最期を迎えられたことも、絶望の中で生きてきたシンディちゃんにとっては大きな意味があったように思います。
「シンディを散歩していたときによく、子どもたちから『シロクマ』だと言われたので、似ているのかなと思い、マロンにシロクマの映像を見せたら、異常な食いつきを見せました。だから、今でもたまにシロクマの映像を一緒に見て、シンディを想っています」

同種族の中では心を許せる相手がなかなか見つけられなかったマロンくん。そんな彼が見つけたのは「犬」というかけがえのない心友だったようです。
<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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