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「いつも1人でいるやつを見つけては、一緒にいてあげた」“ぼっち”を利用した27歳男性の

時刻(time):2023-11-16 09:09源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
木曜劇場『いちばんすきな花』© フジテレビ 年齢も性別も育ってきた環境も、それぞれに全く違う4人が巡り合い、その人生を重ねていくドラマ『いちばんすきな花』。 塾講師の潮ゆくえを演じる多部未華子、出版社勤めの春木椿を演じる松下洸平、美容師の深雪夜々役の今田美桜、コンビニで働きながらイラストレーターとして生計を立てようと夢を追いかけ続ける佐藤紅

木曜劇場『いちばんすきな花』

木曜劇場『いちばんすきな花』© フジテレビ

年齢も性別も育ってきた環境も、それぞれに全く違う4人が巡り合い、その人生を重ねていくドラマ『いちばんすきな花』。

塾講師の潮ゆくえを演じる多部未華子、出版社勤めの春木椿を演じる松下洸平、美容師の深雪夜々役の今田美桜、コンビニで働きながらイラストレーターとして生計を立てようと夢を追いかけ続ける佐藤紅葉役の神尾楓珠による、クアトロ主演も話題の、それぞれの感情を丁寧にすくう物語である。第5話では、紅葉がフィーチャーされた。

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「孤独を感じたことはない」は、逆説的な言葉


紅葉によるモノローグ「生まれてから一度も、孤独を感じたことはなかった。周りにはたくさんの友達がいて、みんなで仲が良かった」の始まりから、違和感を覚えた。

第1話で、紅葉は「2人組に縁がなかった」と告白。「誰も好んで自分のことを選ばない。1対1で向き合ってくれる人はいない」と本音を明かしていた。そして、とても印象的だった、4人の子ども時代に始まる1話の幕開けで、紅葉は、1対1で向き合いシーソーで楽し気に遊ぶ2人を見つめ、次は僕の番だと空いたシーソーの片側に座るも、向かいにはもう誰もいないという描写がされていた。

「孤独を感じたことはない」とは、逆説的な言葉だといえる。

だからといって、裏返しとして、常に孤独を感じているというワケではない。紅葉は、孤独を恐れるあまり、端から孤独をシャットアウトしているのではないだろうか。






自分の中に卑しさ、浅ましさを感じて、苦しんできた紅葉


だから大勢の輪に入っていくし、求められたい。でも「目立つやつと一緒にいて」輪に埋もれれば埋もれるほど、「いいように使われて」いるだけの自分を感じて、隣に孤独があることを察知し始める。だから、ひとりぼっちを見つけては、“利用”してきた。裏切られない、傷つけられない確証があるから。孤独にならずに済む。

「いつも1人でいるやつを見つけては、一緒にいてあげた」という言葉も、本当は、自分を裏切らない相手に、一緒にいてもらったのだろう。でも自分は目立つやつらの中に入ることもでき、入れない“ぼっち”とは違うという気持ちもある。あのうなされ様からも、紅葉は自分の行為を、「優しいふり」などという表現では留まらない、卑しさ、浅ましさだと感じて、ずっと悪夢に苦しめられてきたのではないだろうか。

でも誰にだって打算はある。友達になろうとするのにだって、「寂しかったから」も至極まっとうな理由だ。「ぼっちなら、裏切られないと思ったから」という気持ちがあったとして、それが浅ましいことなのだろうか。篠宮(葉山奨之)やゆくえの言う通り、相手が優しさと感じたなら、それは優しさでいい。













友情と夢、やっかいな両方に不意打ちに


だからこそ、篠宮に罪悪感を一方的に明かしてしまうシーンは、胸がつぶれる思いだった。しかもその告白が、篠宮を傷つけることは紅葉にも分かっていたはずだ。それでも口から出てしまった、いや、あえて吐き出したのは、篠宮が画家として成功していたこと、そして黒崎と今でも友達として繋がっていたことの両方に不意打ちされたからだろう。

紅葉からは孤独への恐怖とともに、自信の無さが伝わってくる。高校時代、黒崎を呼ぶ篠宮を見かけたとき。あのときの紅葉には、2人が友達になって嬉しそうな顔と、自分が選ばれなかったと感じた寂しそうな顔、でも自分には「もっと目立つ友達がいる」という気持ち、いろんな表情が入り混じって見えたが、もし紅葉が自分に自信を持っていたら、篠宮と黒崎に声をかけて3人組になることだってできただろう。

イラストレーターとしての自分にも、紅葉が自信を持っていたなら、有名画家のシノさんからのコラボレーションのオファーを知って、いくらジャンルが違うとはいえ、もっと嬉しそうにして良かったはずだ。

篠宮のほうにも多少なりとも紅葉への優越感があったはず。高校時代、紅葉に話しかけられ、嬉しかったのは本当だろうが、それが人気者からの同情によるもの、どこか下に見ている気持ちがあるのだろうといった思いはあったのではないだろうか。でも、そうだとして、自分の絵を本気で褒め、あのブランコでの思い出のように、誰も見ていない場所で、わざわざ一緒に絵を描いた紅葉が、特別な存在だったのは間違いない。

でも、紅葉のイラストがいいと思ったからではなく、同級生だからという理由でのコラボは紅葉にとって屈辱以外の何物でもない。サプライズは篠宮が思う以上に紅葉にダメージを与えた。ブランコの絵を篠宮が塗りつぶすシーンは、思い出を上塗りされた思いと同時に、自分も紅葉を傷つけたことも含まれた苦しみの筆だったのではないだろうか。






ここにきて、友情ものに留まらない予感が


辛いシーンだったが、高校時代に紅葉が篠宮の絵を「すごいね、上手いね」と誉めたこと、黒崎を「仲良くなれると思うから」と紹介したこと、いずれも篠宮の今に繋がっているのは事実。すぐにでなくていい、「バイバイ」から、いつの日か紅葉と、篠宮、黒崎が再会できる未来が待っていてくれたら嬉しい。

そして触れられなかったが、紅葉に椿がいてくれて本当に!よかった。

さて、ゆくえと赤田(仲野太賀)、椿と純恋(臼田あさ美)、夜々と母(斉藤由貴)、紅葉と篠宮と、これまで別れを描いてきた物語とも言える本作だが、第5話でふたたび赤田が登場。さらに第6話の予告編でも赤田が登場するなど、何やら騒がしくなってきた。

さらに、これまでとても丁寧に、それぞれの個人の思いとともに、徐々に近づいていく4人と、育まれていく友情を見つめてきただけに、ほんの少し恋愛色が漂うだけで「え、マジで!」と思い切り心がザワザワしてしまうが、友情のみを描こうとするのも、無菌室に彼らを閉じ込めようとしているようなもの。ここにきて、友情ものに留まらない予感がしてきた。ならば、とことんザワザワさせてもらおう。

<文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi




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