鍋つゆ選びで迷わないために。
こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。
鍋料理が恋しくなる季節がやってきました。スーパーやコンビニでは恒例の「鍋つゆ」がずらりと並び、どれにしようか迷ってしまうことってありますよね。
価格・形状だけでおいしさは判定できない
はじめに伝えたいのは、市販の鍋つゆのレベルは年々レベルアップしていて、どれも本当においしいということです。
秋冬シーズンにおける家庭料理のド定番である鍋。鍋つゆが欠かせないと考える人は年々増えていますから、その需要にこたえるべく、メーカー各社はしのぎを削って商品開発をしているのです。
スーパーなどの売り場を見てみると、しょうゆ、味噌、とんこつ、キムチ以外にも塩や坦々、名店コラボまで、多彩な商品がずらりとそろい、シーズン中は飽きずに楽しむことができます。
私は1年間で200食以上の鍋料理を食べていて、今年はすでに100種類以上の鍋つゆを試食しています。そこで気がついたのは、おいしい鍋つゆは必ずしも価格と連動しないこと。またストレート、濃縮、キューブなど形状の違いでおいしさが決まるわけではないことも実感しました。
それではいったい、どんな基準、どんな視点で選べばいいのでしょうか? 今回はそんなお話をしながら、選んだ鍋つゆをもっとおいしくする工夫についてもご紹介していきたいと思います。
①つゆはちょっと物足りないくらいがオススメ

そしてここで確認したいことは、完璧においしい鍋つゆであることが全体としておいしい鍋になる必須条件ではないということです。
そもそも鍋料理は、具材の旨味や風味がつゆに染み出て混ざり合うことで完成する総合料理。食材が持つ旨味も加わり、食べる時にポン酢やゴマダレが用意されているのであれば、最初のつゆの段階ではちょっと物足りないくらいのあっさり感がオススメなのです。
②贅沢鍋は、鍋つゆに頼るのが正解
基本的には「鍋つゆは、どれを選んでもハズレなし」というのが私の持論ですが、ここからは知っておくともっと鍋料理の幅が広がる、コスパが良くなる工夫についてご紹介していきたいと思います。
まずは食べたい味やフレーバーを選ぶ際に、しょうゆや味噌などの“定番味とは違う世界”を知っておくと選択肢が広がります。
ここでオススメなのが、自作では難しい香辛料たっぷりの火鍋や海外スープ。はまぐり、カニ、エビなどの高級食材をエキスとして調合した商品です。
ひと手間かかる味や調達しにくい食材は鍋つゆに頼ってみると、コスパよく手軽にその雰囲気を味わうことができます。
③寄せ鍋とちゃんこ鍋の違いは?
また知っておくと便利なのが、「寄せ鍋」と「ちゃんこ鍋」の違い。
いずれも味ではなく“出汁の種類”に違いがあります。寄せ鍋は昆布やカツオ節をメインに出汁をとったスープであり、ちゃんこ鍋は鶏ガラベースになります。
鍋つゆでガッカリする瞬間は、おいしさではなく、想像した味と違うことの方が深刻ですから、わからない場合はパッケージの裏をみて、味と出汁の確認をすると安心です。
④鍋つゆは安くて十分。物足りないときは?
選んだ鍋つゆがどうしても物足りないと感じてしまう場合には、料理酒もしくは塩昆布をちょい足しするのがオススメです。
料理酒はコクや風味を出す役割の他、食材の臭みを消す働きもあります。塩昆布は昆布に含まれるグルタミン酸やアスパラギン酸などの旨味成分を手軽に強化できる便利アイテムです。
そして最後に……。どうしても鍋つゆにお金をかけたいと思う人には、「タレをレベルアップさせる」ほうがオススメです。いつものポン酢やゴマダレのグレードを上げてみると、おいしさの違いをはっきり実感できるでしょう。
ということで、鍋つゆ選びは心配ご無用です。気になる鍋つゆを自由に選びながら、おいしい鍋料理を気軽に楽しみましょう!
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
スギアカツキ
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。ビューティーガール連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
(エディタ(Editor):dutyadmin)






