突然ですが、なぜさつまいもを食べると、おならの回数が増えるの!? と、皆さん一度は考えたことがあるのではないでしょうか。静かな部屋や、密室にいる時に来る「おなら」ほど怖いものはないですよね……。
実は、おならが増える原因や臭くなる原因については、さまざまな研究がされており、ある程度のことが判明しています。今回は、おならがなぜ増えるのか? なぜ臭くなるのか? その原因を解説した後に、対策についてもお伝えできればと思います。ぜひ参考にしてみてくださいね。
おならが多くなる2つの原因
実は、「おならが多くなること」と「おならが臭くなること」の主な原因は異なります。まずは、おならが多くなる原因について見てみましょう。主に以下の2つが考えられます。
【おならが多くなる原因】
①早食い、よく噛めていない(*1)
②オリゴ糖の摂りすぎ(*2)
それぞれを簡単に解説しますね。
①については、早食いやよく噛めていないことによって、空気を過剰に飲み込んでしまうためです。通常であれば、飲み込んだ空気は胃にとどまり、口の方から出ていきます。いわゆる、ゲップのことですね。ゲップが多すぎるのも、これまた問題なのですが……。
しかし、飲み込む空気が過剰になると、その空気の一部は胃から腸の方に移動し、「おなら」になります。また、早食いやよく噛めていないこと以外にも、体が緊張していると無意識に飲み込む空気が増えるのです。

時間がない時はどうしても、早食いになったり、よく噛めなかったりすることもありますよね。筆者も気をつけていますが、正直急いでいる時はあまり噛めていません……(笑)。食事の時間に余裕がある時は、「1食20分は時間を確保」「1口30回は噛む」など、自分にできることを意識していきましょう。
腸に良い食材が、かえっておならを増やす!?
②の「オリゴ糖」とは一体何なのか、ご存知ですか?「腸に良い!」「便秘に効く!」などの表現で紹介されることが多いかもしれません。オリゴ糖とは糖質の一種で、整腸作用や腸内細菌を増やす作用などが報告されています。
【腸内細菌とは?】
人の腸内には、乳酸菌など1.5kg~2kg程度の細菌が住み着いていることが分かっています。
人はオリゴ糖を吸収することがほとんどできないので、太りにくい糖質とも言えます。整腸作用があって、さらに太りにくいなんて最高ですよね。でも、このオリゴ糖には、落とし穴が1つあるのです。
それが、今回の主題である、おならの原因になることです。上記で、オリゴ糖は「腸内細菌を増やす作用が報告されている」とお伝えしましたよね。実は、この時に、おならも一緒に増やしちゃうのです。
オリゴ糖でおならが増えるメカニズム
具体的には、次の流れでおならが増えていきます。
① オリゴ糖が豊富な食材を食べる
↓
② そのオリゴ糖が腸内細菌の餌になる
↓
③ 腸内細菌が「短鎖脂肪酸」と「ガス」を作り出す
短鎖脂肪酸とは、「便秘や下痢の改善」「腸の粘膜を健康にする」「ミネラルの吸収を促す」などの効果を持つ成分のことです(*3)。なので、オリゴ糖は健康のために大切なのですが、摂りすぎるとガスが過剰に発生。その結果、おならが多くなる原因にもなるのです。
では、おならが臭くなる原因は?
おならが多くなる原因の次は、臭くなる原因も知っておきたいですよね。おならが臭くなる原因は、主に2つあります。
【おならが臭くなる原因】
・お肉や卵の食べ過ぎ
・便通が悪い

お肉や卵には、3大栄養素の1つである「タンパク質」が豊富に含まれています。先ほど、オリゴ糖が腸内細菌の餌になるとお伝えしましたが、このタンパク質も腸内細菌の餌になるのです(*4)。そして、厄介なのは……タンパク質が腸内細菌の餌になった時は、臭いガスが発生してしまうこと。
オリゴ糖によって発生するガスの成分は、基本的に無臭です。しかし、タンパク質によって発生するガスの成分(インドールやスカトール)は、非常に臭い特徴があります。そのため、お肉や卵などタンパク質が豊富な食材を食べすぎると、おならが臭くなる可能性があるのです。
便秘がちだとおならが臭くなる
タンパク質の摂りすぎによって臭いガスが発生するとお伝えしましたが、その臭いガスを作っているのは腸内細菌です。つまり、腸内細菌の種類によって、「臭くないガスを作るのか」「臭いガスを作るのか」が異なります。
そして、腸内細菌は、食事や生活習慣などによって日々変化をするのですが、便秘の時は「臭いガスを作る」腸内細菌が増えてしまうのです。具体的には、ウエルシュ菌や病原性大腸菌など、いわゆる有害な細菌です。

その他、ニンニクやネギなど匂いが強い食材を食べすぎると、おならが臭くなることもあります。その時は、タンパク質の食べ過ぎとは異なる、独特の匂いがするのが特徴です。どんな食材も、食べ過ぎには気をつけたいですね。
「おならが多すぎる、臭い」を防ぐ3つの対策
ここまで、おならが多すぎたり、臭くなってしまう原因をお伝えしました。続いては、その対策についても簡単に見ていきましょう。具体的には、次の3つがポイントです。
【おならの出すぎや臭いへの対策】
(1)オリゴ糖の量を減らす
(2)お肉や卵、魚を食べ分ける
(3)便通を良くする
1つ目の「オリゴ糖の量を減らす」に関しては、上記で解説したおならが多くなる原因を単純に減らす方法です。具体的には、「玉ねぎ」「さつまいも」「ごぼう」「きな粉」などに多く含まれているため、食べすぎていないか見直してみましょう。
おならが臭い時に見直したいこと
2つ目と3つ目は、主におならの匂いの対策ですね。「お肉や卵、魚を食べ分ける」とは、1日3食に分けて、お肉や卵をバランスよく取り入れる方法です。
お肉や卵などを「一度にたくさん」食べてしまうと、おならが臭くなる原因になります。なので、例えば……
・朝食に目玉焼き
・昼食で豚肉の生姜焼き定食
・夕食でサバの煮物
このように、タンパク質が豊富な食材を分けて取り入れてみましょう。
最後のポイントは、便通を良くすることです。お伝えした通り、腸内に便が長く溜まると、おならを臭くする大きな原因になってしまいます。それでは、便通を良くするには何が大切なのか!?

それは沢山ありすぎるので、今回だけではお伝えできませんが、最も重要なのは「食べ物」と「飲み物」の両方から水分を適度に摂取することです(*5)。飲み物からの水分は、1日1L~1.5Lを目安に。食べ物からの水分は、「果物」「葉物野菜」など特に水分含有量が多い食材を意識してみてくださいね。
腸活で腸内環境を整えて、おならの悩みも解消しよう!
おならが多くなる原因と、臭くなる原因。そして、それぞれの簡単な対策についてもお伝えしました。ちなみに、おならがたくさん出るのは、「腸が活発に動いている証拠」とも言えます。
なので、多すぎることは悩ましい問題ですが、そこまで気にしなくても良いかもしれません。逆に、おならが臭い時は、腸が「SOSサイン」を出している可能性も……。ぜひ、腸活で腸内環境を整えて、おならの悩みを解消していきましょう!
出典(*1)American College of Gastroenterology 「Belching, Bloating, and Flatulence」(2022)
(*2)Peter R Gibson「Evidence-based dietary management of functional gastrointestinal symptoms: The FODMAP approach」(2010)
(*3)原 博「プレバイオティクスから大腸で産生される短鎖脂肪酸の生理効果」(2002)
(*4)内藤裕二、 髙木智久、井上 亮「慢性便秘症と腸内細菌学」(2018)
(*5)吉良いずみ「便秘ケアとしての水分摂取のエビデンスに関する統合的文献レビュー」(2013)
<文/腸活の研究家ざっきー>
腸活の研究家ざっきー
腸活の研究家。「健康と体作りを後回しにしない」をモットーに、フォロワー11万人のInstagramでは、論文を元にした腸活情報や腸が整うレシピを発信中。Instagram:@zakii312、Twitter:@chokatu_zakii
(エディタ(Editor):dutyadmin)
