ここ数年で大きく変わったことのひとつに「働き方」があります。2019年より施行された「働き方改革」、そして新型コロナ流行によるテレワーク促進などによりワークライフバランスの改善が促進され、自分の趣味や自己啓発のために使う時間が圧倒的に増えたという人も多くいます。
今回、令和の働き方についての「ある出来事」を、現在フリーランスのWebデザイナーとして働く、元会社員の酒見さん(仮名・30代/女性)に語ってもらいました。
フリーランスへの転身を視野に副業を開始
酒見さんは新卒で大手保険会社の営業職として入社し、バリバリ仕事をこなすキャリアウーマンとしての道を歩み始めます。しかしここ数年でよく耳にするようになった、時間や場所・組織に縛られない「フリーランス」という働き方に関心を持つようになりました。
「コロナ禍になって私の周りにも少しずつ副業をはじめたり、独立を目指して準備したりする人が出てきたことが、フリーランスに関心をもちはじめたきっかけです。当時の恋人と遠距離恋愛をしていたこともあって、結婚を視野に入れて彼のところへ行くことを考えると、場所を選ばない働き方が理想だとも思ったんです」
そんな風に考えていたタイミングで酒見さんの会社でも働き方が見直され、残業の撤廃や副業・兼業の解禁がおこなわれたのだとか。
「残業が減ったことで、平日の夜などに自分のために使える時間が増えました。そこで私も通信スクールでWebデザインの勉強をはじめたんです。スキルがある程度身についてからは、クラウドソーシングで案件を受注して実際に副業もはじめました」
両親に相談すると、猛反対されて口論に
自分のために使える時間が増えて約1年が経ち、Webデザインのスキルも習得できたと実感した頃、酒見さんは退職してフリーランスのWebデザイナーとして働くことを決意しました。
そしてタイミングを見て地元に帰り、久しぶりに会う両親へ話をすることに。Webデザインを勉強したことや、結婚を視野に入れた上でフリーランスになることを伝えたのですが……

「独立どころか『ひとつの会社で長く働き続けることが大事でしょ』の一点張りで、全く賛同が得られませんでした。そもそも、副業をすること自体にも理解を得られない状況で。『彼氏さんの住むエリアにも会社の支店があるんだから、異動させてもらいなさい!』と言われて口論になってしまいました」
昔と今で働き方も仕事に対する考え方も変わっているから、親がそう言うのも無理はない。そんな気持ちもあったものの、自分の理想の働き方ややりたい仕事に賛同してもらえなかったことで「親は頭が固すぎる!」とモヤモヤとしてしまう結果に。
フリーランスになって、両親が大喜びしたワケ
そのまま半年後に、フリーランスのWebデザイナーとして新たな働き方をスタートさせた酒見さん。
「両親の意見に逆らってしまったこともあったので、安心させるために地元にも頻繁に帰るようにしました。会社勤めの頃は忙しくて帰省できても年に1~2回だったんですが、フリーランスになったおかげで回数を増やせました。働く場所を選ばないので、仕事を休まなくても遠方に帰省できるんですよね」
娘が実家に帰る機会が増えたことで、独立に猛反対していた両親も大喜びしたそうです。今では「便利な働き方になったもんだね~」と、半年前の口論はまるで嘘だったかのような歓迎ぶり。

現在、酒見さんは遠距離恋愛だった恋人のところへ引っ越して同棲を開始しています。Webデザイナーとしての仕事も順調で、地元企業の案件も受託し、地域貢献できる仕事にもやりがいを感じていると話します。
「結果的に、理想の働き方が実現できてとても満足しています。両親と顔を合わせる機会が増えて喜んでもらえたことが、フリーランスになって一番良かったなと感じています」
多様な働き方が存在する令和。働く側だけでなく、働き方を受け入れる側の理解も必要なのかもしれませんね。
副業・兼業がますます認められる令和
2018年、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表。同時に同省が公表していた「モデル就業規程」の中からは副業禁止規定が削除されました。

今年1月に株式会社リクルートが働く個人2072名および企業人事担当者1648名それぞれに実施した「兼業・副業に関する動向調査2022」によると、兼業・副業を実施している人の割合は9.9%、従業員の兼業・副業を認める人事制度があると回答した割合は51.8%。後者は年々増加の傾向で、受け入れを実際にした企業のうち、64.3%が「業績・生産性向上につながっている」、また74.2%が「事業推進上プラスの効果があったと感じている」と回答しています。
今後もますます副業・兼業や起業が注目されそうな令和。酒見さんのように自由な働き方を求める選択が、働く個人と起業の双方にプラスの影響をもたらしていくといいですね。
<取材・文/萩ゆう>
萩ゆう
住むところは中国地方や関西など、全国各地を転々と暮らすWebライター。温泉メディア、女性メディアなどで執筆中。特技はマラソンでフルマラソン3時間ギリの記録をもつ。
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