光熱費に食費。値上がりラッシュは加速するばかり。もはや頼れるのは自分だけ。
今こそ立ち上がるべき! と背中を押してくれるのが、『はじめ時はいつも今 主婦にやさしいお金の増やし方BOOK』KADOKAWAです。主婦兼投資家のりりなさんが、主婦だからこそできる家計管理と投資術をおしえてくれますよ。
どんどん厳しくなっていく世の中だから
本書いわく、最初にチェックすべきはお金の流れ。今の家計がどうなっているのかきちんと把握するのです。
「家計簿は自分にベストマッチな方法で」と本書がいうように、エクセル家計簿でも手書きでもOK。りりなさんは家計簿アプリのユーザーですが、実は私も家計簿アプリで管理しています。クレジットカードや銀行口座など、初期設定で連動しておけば自動で更新してくれますし、データはグラフでも確認できます。
現状を把握したら、次はお金の見直し。水道光熱費など固定費や、食費や交際費などの変動費を洗い出します。携帯電話を大手キャリアから格安SIMに変更する、不要なサブスクを解約するなど、家計の改革をはかりましょう。
最後に、お金の流れを整えます。「給料は自動的に『使う口座』『貯める口座』『増やす口座』にお金を分ける」と本書から大胆な提案が。でも、しっかり分類することで、お金の在り方とともに意識も明確になりますよね。
めんどうくさい!と思うなかれ。ここまでやれば、必ずお金はあなたのために働いてくれるのです。
「経済圏」って何?
「経済圏」とは、「クレジットカード、電気・ガス、携帯料金、銀行、証券会社など日常生活で利用するさまざまなサービスを楽天やauなど、ひとつの会社で統一すること」です。まとめてしまえば驚くほどポイントが貯まります。
りりなさんが攻め込んだのは楽天。楽天市場に楽天銀行、楽天モバイルなど、日常生活をほぼ網羅しているといってもいい楽天でサービスを一本化した結果、「5年間で1002773Point=100万円以上!!」貯まったというから驚愕です。これはもう無視できません。
今年こそ「ふるさと納税」にチャレンジ
一度は聞いたことがある「ふるさと納税」。ズボラな私は、手続きを考慮するだけで二の足を踏んでしまいます。とはいえ、お得だから猛プッシュするのであって、これらもやはり無視できないのです。
しかし、本書ではわかりやすく解説されています。まず、最初にやるべきは「いくら寄附できるか? シミュレーションする」。年齢や家族構成によって寄付の上限額があり、自己負担金が増えないよう調整する必要があるのです。上限額の把握するためには複雑な計算が必要ですが、心配はいりません。「さとふる」や「ふるなび」などのふるさと納税サイトで簡単にできます。
あとは、自分が気になる自治体を選び、サイトから寄附するだけ。
その際、りりなさんが要注意だと警告するのは、「年収が変わる可能性もあるので、シミュレーションの金額よりやや少なめに寄附する」ことと「サラリーマン向きの『ワンストップ特例制度』を利用する場合、申請書の送付を依頼」すること。きちんと申告すれば、寄付した額から2000円を引いた金額が戻ってきます。
改めて「つみたてNISA」のおさらい
すっかりカジュアルになった投資ですが、なかでもデフォルトなのが「つみたてNISA」ではないでしょうか。
ここでおさらいですが、つみたてNJSAとは「2018年1月からスタートした、国がみんなに『投資をしてほしい』と思って作った制度」。最大のメリットは非課税という点。
銀行に預けていても、普通預金の年利率は大手銀行で0.001%というのが現実です。つみたてNISAは小額からはじめられるとはいえ、投資なので元本の保証はありません。が、「長期間で資産形成をするなら、リスクの少ない、負けにくい投資が可能」といえるそうです。
つみたてNISAの3ステップは、「①口座を開設する」「②銘柄を選ぶ」「③購入する」。口座はネット証券にすればポイントが貯まりますし、「毎月積み立てる金額を一度設定すれば、あとは自動的に毎月購入される」と本書ではおすすめしています。
自分のために、家族のために、お金を閉じ込めておくのではなく、お金に働いてもらうのが賢いやりかたではないでしょうか。
「新しいNISA」が開始。待ったほうがいい?
2024年からスタートするのが、今までのNISAを拡大させた「新しいNISA」。なんと「投資で得た利益に税金がかからなく、その非課税運用期間は無期限、投資可能期間も無期限、投資できる上限額もアップ」というのです。貯める気もやる気もくすぐられる案件じゃありませんか。
現在、「つみたてNISA」と「一般NISA」の併用は不可ですが、新しいNISAになると「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用可になるといいます。
ここで浮かんでくるのが、「つみたてNISAをはじめるより、新しいNISAを待ったほうがいいのか」という疑問。本書の答えは「今すぐはじめたほうがいい!」。
「つみたてNISAをはじめたら、その分も非課税枠で運用でき、新しいNISAの非課税枠ももらえます」。1000円でもはじめられる、つみたてNISA。18歳以上なら、専業主婦でもはじめられます。とくかく即座に、可愛いお金に旅をさせましょう。
お金の学びは、人生を潤す
少し前まで、日本でお金の勉強できる機会は限られていました。幼少期から金融教育を組み込んでいる海外とはかなりの差がついています。しかし、2022年から高校で金融教育の必修化がスタート。さらに小学生が金融知識をつけたいと願う親御さんも増えたのだとか。
お金は使ってなくすのではなく、使って生かす時代。日々変わりゆく情報を駆使して、景気に負けない基盤を、本書と一緒に作っていこうじゃありませんか。
※投資はご自分の判断と責任に基づいておこなってください。
<文/森美樹>
森美樹
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx
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