入学や進級の時期になると、小学生の子どもを持つ親たちが頭を悩ませるのがPTAの役員や委員決めではないでしょうか。
学校によってルールは異なるものの、子どもが在学中に一度は経験するといっても過言ではないPTA委員。あらゆる委員や係があり、親たちの間ではどの委員を希望するか、話題が付きません。
ママ友の「ラクな委員」という情報を信じ…

※イメージです(以下、同じ)
「毎年、PTA委員を決める時期になると、ママ友の間で“この委員がラクだった”という情報が出回るんです。保育園で一緒だったママさんは、上の子がいるのでもう委員を経験済みでした。
先生とクラスをまとめる学級委員や、広報誌を作る広報委員は出席しなければならない集まりが多く、大変と聞いていました。いろいろと聞いた上で、消去法でラクそうなベルマーク委員に立候補したんです」
意外と人気なベルマーク委員
しかし、ベルマーク委員になるのもラクではなかったと言います。
「コロナ禍でPTA委員を済ませてしまえば、学校で集まることも少ないと思ったママたちの自薦が委員数を上回って抽選になったんです。うちは1年生のときは抽選に漏れたのですが、翌年に選ばれてベルマーク委員になることができました」
そもそもベルマークとは「PTA・大学・生涯学習グループなどごとに集めて財団に送付すると、1点につき1円として、協力企業の学用品などが購入でき、購入金の1割が僻地や開発途上国・被災地などの学校への援助資金となる」(デジタル大辞林より)という運動のこと。
ベルマーク委員はベルマークを集めて集計したり、学校の備品を購入したりします。活動内容は地味ながら、正確さが求められるそう。
「大変だと聞いていた学級委員は、コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、茶会と呼ばれる先生との座談会などが中止となって、主な連絡はLINEで行っていました。
反対に、ベルマークの集計は対面で集まらないとできないため、必ず数ヶ月おきに学校に集まっていました。前年度のベルマーク係は、コロナであまり集まれなかったそうで、PTA室には前年度分のベルマークが未集計のまま袋に残っていました」
ベルマークの仕分けは重労働
実際にベルマークの仕分け作業が始まると、想像以上に苦行だったと言います。
「教室の中でマスクをした状態でベルマークを分類別に仕分けする作業はつらかったです。最初に、ベルマークの集計をしやすくするために、切り取り線よりも大きく切られたベルマークはハサミで切って整えるのですが、薄いビニールに印刷されたベルマークを切るのって面倒くさいんですよ。
最初に企業ごとにベルマークを仕分けし、今度は企業ごとに数えるのですが、これが1点、0.5点など点数がいろいろ混ざっていてとってもややこしいんです。
うちの学校では苺や卵の空パックの中にマークを点数別に入れていました。10枚ごとにまとめてセロテープで留めます。単純作業ですが、なかなか終わりが見えず、ついため息が出てしまっていました」
「ラク」の言葉を信じるんじゃなかった!
ただ、ベルマーク委員は平日の2~3時間で作業が済むため、パートタイマーのママたちにとって時間を合わせやすいため、密かな人気なんだとか。
「確かに、運動会などの行事の準備や手伝いでがっつりと時間を取られるような委員より、年に数回、ベルマークを集計すればいいのでラクと言えばラク。ただ、ひたすらマークを数える作業は、細かい作業が苦手だとつらかった。
ベルマークのメンバーでグループチャットが作成されて、前もって予定を確認してから日程が決まるので、欠席や遅刻がしづらいんです」
小学校に通う子どもがいると、避けて通れないPTA活動。1年間の任期を終えて、幸子さんはこう感じたと言います。
「ママ友からの“ベルマーク委員はラク”っていう話を信じなければ良かったです。みんなで集まる作業が好きな人もいるけれど、休みづらい雰囲気もあって気が重かったです。
ベルマークの集計のような作業は、実際にやってみないと合っているかわからない。本当は、事前にどういう委員なのか、体験できれば良いのですけどね……」
いよいよコロナによる規制も緩和が進んできて、学校行事なども復活しています。学校活動を円滑に行うために必要なPTA委員も、どんどん効率化されていくことを願います。
<文/池守りぜね>
(エディタ(Editor):dutyadmin)