人類最強の俳優は誰だ。とりもなおさず鈴木亮平である。これ以上のベストアンサーはない。
鈴木の演技は、なぜ多くの視聴者、観客たちを引き付けるのか。
不屈のドクターを熱演する『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系、2021年)と『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』(全国公開中)に、すべてが語られている。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、“カッコいいの超人”だと信じて疑わない鈴木亮平について解説する。
出現率が高い俳優・鈴木亮平
鈴木亮平の出演作品は多い。あれ、こんなところにも、あんなところにも、という具合に、映画、ドラマ問わず、さまざまな作風の作品に出演している。うっかりしていると、気づかないこともあるかもしれない。それくらい出現率が高い俳優だ。
この間、吉高由里子主演の『東京タラレバ娘』(日本テレビ系、2017年)を見返していたときにも、思わぬ出現が。同作は、放送当時にリアタイしていたはずなのに、鈴木が出演していたことをすっかり忘れていたのだ(なんてことだ!)。
まぁ、先入観がなかったから、より素直に驚けたのだが、これだけ視聴者に毎回新鮮な感覚を抱かせる鈴木亮平は、驚きにみちた人ではないか。
完璧かつ、ワイルドな芸当

画像:関西テレビ/フジテレビ『エルピス ―希望、あるいは災い―』公式サイトより
ジャケットスタイルにメガネ。相手の女性を連れてくるのが、居心地がよく、気取りすぎないイタリアン。なるほど、完璧。それでいて、一品目のムール貝を無邪気にレコメンドして、ワイルドに食べてみせる。
確信犯的な流れをなんともさりげなく、でも隙なく演じてしまう。鈴木にしかできない芸当だ。隙のなさでいうと、『エルピス-希望、あるいは災い-』(関西テレビ・フジテレビ系、2022年、以下、『エルピス』)での大人の色気ムンムンのスーツ姿も、完璧かつ、ワイルドな好例だった。
救急救命医療のプロフェッショナルに様変わり

『エゴイスト』(2023年)でも、華美で優雅なファッションをまとっていた姿が印象的だったが、基本的にジャケットやスーツスタイルの鈴木は、無敵になる。各作品の衣装に合わせた丹念な役作りとも言える。
そんな鈴木がある衣装を着るとさらに無敵、いや無双状態にすら入る作品がある。白を基調とした無菌加工の制服をひとたび着衣すれば、あっという間に救急救命医療のプロフェッショナルに様変わり。
そう、2021年に放送された『TOKYO MER~走る救急救命室~』(以下、『TOKYO MER』)だ。担ぎ込まれても、この人の手にかかれば、絶対に安心。医療ドラマは数あれど、これだけ安定した佇まいのある医師役を体現できた例は、あまり多くはない。
完全ノックアウト作品『TOKYO MER』

ドラマ第1話では、冒頭からはつらつとした演技で視聴者を魅了していた。鈴木演じる喜多見幸太は、東京都が知事直属組織として新たに発足させた「TOKYO MER」のチーフドクター。白い制服ジャケットを羽織り、「よしっ!」と言って、ドクターの名札を左胸にペタッとする。
たったこれだけで、カッコいい。でも単にカッコいいんじゃない。“カッコいいの超人”なのだ。
実を言うと、筆者はこれまで特に鈴木のファンではなかった。が、『エルピス』でうなり、『エゴイスト』でたまげて、そして『TOKYO MER』で完全にノックアウト。
ちょうど過去作から順を追うかたちになったわけだが、それだけに遅ればせながら、鈴木亮平という俳優の奥深さを痛感したのは確か。完全ノックアウト作品『TOKYO MER』の劇場版ともなると、鈴木の魅力にさらなる磨きがかかり、どれだけ恐ろしかろうと思ったものだ。
人間界最強、強靭な複合体のような俳優

ドラマから映画へ確かにスケールアップしている。ドラマから引き続き、喜多見の口癖「ですね!」も快調だが、一方で、彼のキャラクターは、より人間的な人物像を浮き彫りにしている。
「TOKYO MER」のチーフドクターであり、再婚し、妊娠している妻がいる夫でもある。人命救助か、妻・高輪千晶(仲里依紗)の命か。喜多見は、苦渋の決断を迫られる。
人間として弱い部分をさらけ出しながら、それでもなお、強さへと昇華させようとする演技は、観客の心を揺さぶる。
鈴木亮平、40歳。俳優として脂が乗りきっている頃合い。あのたくましさ、軽妙さ、洗練された色気、鋼のような肉体などなど、あらゆる要素をまぜこぜにする。
まさに人類最強クラス。強靭な複合体のような俳優ではないか。
<文/加賀谷健>
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