全国に約670店舗あるホームセンター「DCM」の中でも、恵比寿にある体験に特化した都市型ホームセンター「DCM DIY place」で、“つっぱり棒博士”こと竹内香予子さんとのコラボキッチンが展示中です。
竹内さんは「つっぱり棒」のトップシェアを誇る老舗メーカー・平安伸銅工業株式会社の三代目社長で、自宅ではなんと70本ものつっぱり棒を活用しているそう!
そこで今回は「DCM DIY place」で、竹内さんにつっぱり棒のオススメの使い方を教えてもらいました。
つっぱり棒には2種類ある
――つっぱり棒には2種類があるそうですが、それぞれの違いについて教えてください。
「つっぱり棒には、『バネ式』と『ジャッキ式』の2種類があります。『バネ式』は、パイプの中にバネが内蔵されていて、バネを圧縮して元の形に戻ろうとする力で、ネジやくぎを使わずに固定することができます。100円ショップなどで売っているつっぱり棒は『バネ式』なので、こちらのほうが身近に感じる方も多いかもしれませんね」
「『ジャッキ式』は、ボルトとナットと同じような構造になっています。パイプを伸ばして、長さ固定ネジで固定してから、端のグリップを回して壁に圧力をかけて固定します。『ジャッキ式』のほうが『バネ式』よりも壁を押す力が強く、強度が高いのが特徴で、重いものを掛けるのに適しているんです」
「つっぱり棒=落ちる」は悲しき誤解
――服を掛けたつっぱり棒が、傾いたりたわんだりするのは服を掛けすぎているのでしょうか?
「『バネ式』『ジャッキ式』にはそれぞれ特徴があって、本来は目的に合わせて使い分ける必要があります。
正しい取り付け方が出来ていなかったり、軽い物を掛けるのに適している『バネ式』に重いものを掛けたりすると、期待している強度が出なくて傾いてしまいます。そういった間違いから『つっぱり棒=落ちる』という誤解が生まれてしまうので、つっぱり棒を正しく使ってほしいと思います」
知らない人が多い“正しい付け方”
――つっぱり棒を間違えて付けている人も多いのですね。それでは正しい付け方を教えてください!
「『バネ式』のつっぱり棒を、取り付けたい幅と同じ長さで設置している人が多いのですが、それだとバネがしっかり縮まなくて強度がでないんです。
本来は取り付けたい幅よりもつっぱり棒を数cm長めに調整して、まず細い方のパイプの端を取り付けたい位置にあてます。そして太い方のパイプを隙間に押し込むように取り付ける方法が正解です。そうするとしっかりバネが縮んで戻ることができ、つっぱり棒本来の強さを発揮できるんです」
「『ジャッキ式』も、太いパイプと細いパイプの2本で形成されていて、細い方のパイプを突っ張る面まで引き出し、長さ固定ネジを締めます。
長さ固定ネジがパイプをしっかり貫通するまで締めることがとても重要で、貫通する前に止めてしまうとしっかり固定できずに落ちてしまう原因になります。貫通させた後はパイプの端のグリップを回して、壁に圧力をかけることで本来の強度が発揮できるようになっています」
キッチンの引き出し収納テクがすごい!
――「DCM DIY place」で展示されている、つっぱり棒を使ったキッチンの引き出し収納テクニックもすごいですよね!
「つっぱり棒にはいろいろな種類があり、引き出し内をつっぱり棒で仕切ることで、フライパンを重ねずに収納することができます。一目で使いたいフライパンがどこにあるか分かるので、サッと取り出せて便利ですよ。
収納ケースなど既製品を使用するのもいいですが、幅や位置の調整がむずかしく、デッドスペースが生まれがちに。そこで、つっぱり棒を使えば、引き出しのサイズに自由に合わせられるので、スペース有効活用できちゃいます」
「お皿やタッパーなどサイズがバラバラの物を収納する場合も、つっぱり棒で仕切ることで、取り出しやすく間仕切りすることができます」
キッチンペーパーを収納したり、棚として使ったり

「キッチンペーパーを小さめのつっぱり棒で引き出し内に固定すると、取り出さずに使用できて便利ですよ。正しく取り付ければ、キッチンペーパーを取り出す際につっぱり棒が抜けてしまう心配もありません」
「棚として使用したり、棒にS字フックをつければトングや軽量スプーンなどをスッキリ収納できます。『つっぱり棒自体があなたの暮らしに合わせてくれる』というのがつっぱり棒の魅力だと思います」
暮らしのデッドスペースにピタッとはまってくれる

――つっぱり棒がこんなに便利なアイテムだったなんて知りませんでした! キッチン以外の場所でも使える応用テクニックがあれば教えてください。
「つっぱり棒の種類や大きさを変えることで、家中のあらゆるスペースを使いやすく工夫することができます」
「“引っ掛ける”以外にも物を置いたり、スペースを仕切ったりすることでつっぱり棒が生活に合わせてくれるようなイメージ。暮らしの中で余ったデッドスペースに、ピタッとはまる収納方法としても使いやすいのがつっぱり棒のよさですね」
賃貸でも使える、棚を簡単に増やせる「ラブリコ」って?
――つっぱり棒の他にも、壁を傷つけずに収納スペースを増築することができる「ラブリコ」というアイテムもあると聞きました。どのようなものなのでしょうか。
「『ラブリコ』は釘やネジを使わずに、柱を床と天井につっぱることができるDIYグッズなので、賃貸でも簡単に設置することができます。つっぱり棒は見えないところで使うことを前提に作られているので、魅せる収納となると生活感が出てやぼったくなってしまいます。
『ラブリコ』なら、木材をつっぱり棒のように突っ張って、そこに棚や好きなものを装飾することで、自分のこだわりを反映したオンリーワンの収納が作れるんです。木材を好みの色に塗ることでオリジナルのインテリアとして楽しむことも出来ますよ。キャットタワーとしても活用できます!」
つっぱり商品は定期的に確認を
――えっ、キャットタワーまで作れるんですか! すごいですが安全性が少し気になります……。
「つっぱり棒のメーカーとして長年の技術があった上で作られているので、しっかり倒れにくいような形状、構造になっています。安全面に関しては、取扱説明書で推奨している使い方の範囲内で、下地がしっかりした場所にお使いください。
取り付けた直後は、床が沈んだり天井が浮いてきたりすることもあるため、数日間は緩んでいないか確認してください。定期的に締め直したり、ゆすったりして確認していただくと安心です。
“仮固定”のつっぱり商品は、時間とともに緩んだり壁側が逃げてきてしまったり、つっぱる力が弱くなってくるのは避けられないので、定期的に確認していただきたいです」

――最後に、竹内さんにとって、つっぱり棒とはどんな存在ですか?
「私にとってつっぱり棒は、“暮らしの相棒”です!」
――ありがとうございました!
<取材・撮影/鈴木風香>
鈴木風香
フリーライター・記者。ファッション・美容の専門学校を卒業後、アパレル企業にて勤務。息子2人の出産を経てライターとして活動を開始。ママ目線での情報をお届け。Instagram:@yuyz.mama
(エディタ(Editor):dutyadmin)









