【いまどきの男を知る会 ファイルNo.40 天使系男子】
2023年、ウィーン少年合唱団が4年ぶりに来日し、6月まで全国各地で天使の歌声を披露,疲れた日本人の心を癒してくださっています。
コロナ禍の苦難を乗り越え、4年ぶりに日本へ
コロナが拡大しはじめた2020年から公演が休止が相次ぎ、ここ3年間で700公演も飛んでしまったそうです。収入の3分の1が消え,資金難に陥り、寄付を募ったこともありました。(個人的に、天使の歌声に精神的に助けられてきたので寄付させていただきました)
感染を防ぐため、屋外の水の入っていないプールの中でお互い距離とって練習したことも。そんな苦難の日々を乗り越え、昨秋頃から海外ツアーができるようになったようです。

先日都内のホテルで開かれた、ウィーン少年合唱団の記者会見に行ってきました。ジャパン・アーツの方々、ウィーン少年合唱団の団長や指揮者、芸術監督といった大人の関係者に続いて、天使系男子たちが入場。ブルーの襟のセーラー服と帽子が名門感あふれています。
お行儀よくじっとしている少年たち
1955年以来、定期的に来日をしているウィーン少年合唱団。日本で一大ブームを巻き起こし、60~70年代の少女雑誌にもたびたび取り上げられました。もしかしたら今でいうK-POPアイドルのような存在だったのかもしれません。チケットを買えば会いに行ける天使です。
2017年にはオーストリアのユネスコ無形文化遺産にも登録。世界の少年少女合唱団の中でもトップの人気とブランド力です。ふだんはウィーン北部の宮殿で全寮制の共同生活をしながら、ストイックに歌と勉強に励んでいます。
今回来日公演をするのは約24名の「ハイドン組」で、日本人が3名、ウクライナ出身の団員も1名いて、国際色豊かです。

今回一緒に来日した芸術監督は「私も少年の時、団員でしたが、日本公演は憧れの的でした、今年も少年たちは来日できることを喜んでいます」と話していました。
おとなしく座っている少年たちは、一見テンションが低めですが、内心は日本に来ることを楽しみにしてくれたのでしょうか。座っているときは、基本的に手を前で重ねる、という決まりごとがあるのか、皆さんお行儀よくじっとしています。ハイドン組の特徴は、エネルギッシュで個性が強い、とのことです。
少年たちの将来の夢とは?
パンフレットには、少年たちのポテンシャルが感じられるQ&Aコーナーも。
「将来の夢を聞かせてください」という質問の答えを見ると「プロのピアニストになりたいです」「歌手になるのが夢です」という子もいますが、「弁護士になりたいです」「医師になって病気を治したいです」「絶対に建築家になりたいです」「経済学の先生になりたいです」「ビジネスマンとして成功したいです」「宇宙飛行士になりたいです」など、無限の可能性と知性と意識の高さを感じられました。将来の夢はユーチューバーとか言ってる子はいませんでした。
「宇宙飛行士になりたい」という子が3人もいて、世界の次は宇宙が視野に入ってくるのかもしれません。音楽の道に進むのは約3分の1で、あとは趣味として音楽をたしなむ人が多いそうです。ウィーン少年合唱団のOBが入れる合唱団があるとのこと。少年の瞳をしたおじさま方の合唱団も素敵です。
ぜひ最前列で、歌声とともに飛び交うDNAを吸収したい
会場でリアルな質疑応答の時間になり、日本人の団員に「学校ではどんな言葉でコミュニケーションしますか?」という質問がされたのですが「学校ではドイツ語で、日本の家族とは日本語で話します。僕は英語を話すのが好きなので普段は英語で話しています」と、ポテンシャルが高すぎる答えが。
こんな彼らが同じ空間で歌を歌ってくれると思うとありがたく、ただ音楽を聴かせてくれるだけでなく、生き方においても啓蒙(けいもう)してもらえそうです。最近、空気中から人のDNAを採取して検証できる、というニュースを見ましたが、ウィーン少年合唱団のコンサートでは、ぜひ最前列で、歌声とともに飛び交うDNAを吸収したいところです。

記者会見では、ヨーゼフ・シュトラウスの「ポルカ・フランセーズ」と、日本の「ふるさと」の2曲が披露されました。
魂を浄化し、頭頂部のチャクラを開き、松果体(しょうかたい 脳にある小さな内分泌器)を活性化させてくれるような天使のハーモニー。ポルカは細胞が踊りだしそうでしたが、ふるさとも、聴く人それぞれのふるさとの思い出が瞬時に浄化されそうでした。少年たちが歌う「水は清き~」というフレーズで、透明度が高い川のビジョンが見えました。ドイツ語なまりのふるさとも新鮮です。
過去のコンサートでは、もらい泣きするお客も
今回のコンサートはブログラムがAとBにわかれていて、Bはどちらかというと正統派、Aはインドの宗教歌やニュージーランドの労働歌が入っていたりしてマニアックです。
過去に何度かコンサートを拝見した記憶だと、ウィーン少年合唱団は見せ方がうまくて、フォーメーションを変えたり、衣装チェンジがあったり、体でリズムを取ったり、お互いの帽子をかぶせ合ったりなど、素敵な演出の数々が。
ある年などは、女性アイドルグループのように、入団4年目の少年数人の卒業が発表され、少年たちの涙にもらい泣きするお客さんがいたくらいでした。
天皇、皇后両陛下と愛子様がコンサートをご鑑賞
コロナ禍でずっと海外公演ができなかったぶん、4年ぶりのコンサートは萌えと感動のボルテージがすごいことになりそうです。
ちなみに5月4日には、天皇、皇后両陛下と愛子様がコンサートをご鑑賞。パンフのQ&Aコーナーで「日本のイメージ」を聞かれて「天皇陛下」と答えている子が何人かいて、さすがもと宮廷合唱団。やんごとなき身分の方と相性が良いようです。
才能と品格を兼ね備えた天使たち。地球の未来は彼らがいれば安心なので、祈るような気持ちで応援していきたいです。
<文・イラスト・写真/辛酸なめ子>
(エディタ(Editor):dutyadmin)