男女の縁を結ぶマッチングアプリ。今やこのツールを使って恋活/婚活に励み、結婚へ漕ぎつける人たちも非常に多くなっているでしょう。
マッチングアプリ“出会い系”と称され、偏見を持たれていたのはもう昔の話。コロナウイルスの影響もあり、働く社会人たちの利用が一般化しているのです。
好印象のKさん、初デートは難なく終了

理沙子さん(仮名・33歳)も周囲にアプリ婚を果たす知人が急増し、自身も波に乗るべく早速登録。様々な男性と出会った中で、どうしても忘れられない方が1人いるのだそう。
マッチングしたKさん(仮名・34歳)は最初の印象が良く、彼女も恋愛関係になることを望んだものの……。どうしても心に引っかかる出来事が起きたのです。
Kさんは「動画編集などで収入を得るフリーランス」。ルックスはそこそこ良く、柔らかい雰囲気が理沙子さんにとって好印象だったそう。初デートのお店選びも良く会話も盛り上がり、楽しいひと時を過ごしました。
誠実な発言に心をときめかす
アプリ登録後は複数の男性と会っていましたが、彼女にとってKさんが一番のヒット。控えめで落ち着いている部分に心を惹かれたと言います。
残念ながらマッチングアプリには体の関係だけを希望する人や、最初から遊び目的である人が多く隠れているもの。
Kさんからはガツガツさが一切感じられず、彼自身も「先に体の関係を持つのは個人的になしだと思っている。ゆっくりと恋愛を進めたい」と言っていました。
この発言により誠実さを覚えた理沙子さんはさらに心がときめきます。二度目のデートの予定もすぐに立て、彼との連絡が毎日の楽しみになっていたのです。
積み重なっていった妙な違和感

しかし、数回Kさんとデートを繰り返した頃、理沙子さんの中では拭い去れない疑念が芽生えていました。共に過ごす時間は非常に楽しかったのですが、ところどころ彼の発言は矛盾が生じるのです。
フリーランスなはずなのに「出社」という発言が出たこと、彼女いない歴の年数が途中で変わっていることなど、とにかく挙げたらキリがありません。
最初は「会社に常駐しているタイプのフリーランスかな?」と思って質問をしたところ、彼は明らかにバツが悪そうに濁します。
このあたりから理沙子さんは妙な違和感を覚え、Kさんが発した言葉たちを思い返すことに。
発言のズレに違和感、ツッコむと機嫌が悪くなり……
すると様々な部分で疑問が湧き上がります。子どもの頃好きだったテレビ番組は明らかに上の年代が観ているもので、出身地の話がとても曖昧。
喋りに地方特有の方言は混ざりませんが、なぜか実家の話になると逃げるような姿勢を見せます。思い返せば濁している部分があまりに多すぎたのです。
「歳の離れた兄弟がいるとは言っていたんですけど、『それにしても観ていたテレビ番組が違い過ぎない?』って感じで。ツッコんだら“地方だから放映が遅れている”と言われたんですけど、納得がいきませんでした。
出身地もこの辺り、とは言うんですけどなんか怪しいんですよね。色々と過去の発言とズレが生じてて、段々と彼に対して『アレ?』と感じることが増えちゃったんです」
本人も覚えていない嘘の数々

「ただアプリは本人確認書類の提出もあるし、年齢詐称は少し考え難いと思ったのですが……。調べると、どうやらちょっとザルなアプリもあるらしいんですよね。ってことは、もうどうとでもなりそうだと」
会うたびに疑問が増えていくせいで、信じようにも信じられません。その後もデートを重ねましたが意識は嘘ばかりに集中してしまい、Kさんとの時間を心のから楽しめなくなっていました。
Kさん自身も嘘を覚えていないのか、段々とボロが出始めます。
フリーランスと言っていたものの、稼ぎが少ないために会社を辞められていないことや、出身地や血液型がアプリのプロフィールと違ったことが明らかになりました。
ついにオオカミ少年状態へ
会話の最中に発覚したようで、指摘すると本人がハッとした表情を浮かべたそう。「まずい」と言わんばかりの表情に、理沙子さんは確信を得たとのことです。
Kさんはその後取り繕うかのように会話を続け、「今後も会いたい」と言っていましたが、ここまで矛盾が生じると何を信じていいのかが分かりません。理沙子さんは遂に全てを疑うようになり、まるでオオカミ少年状態に!
彼女が気になったのはKさんが意図的に嘘をついているよりも、“本人も何が何だか分かっていなさそうな部分がある”という点でした。
なんだか可哀そうな人…

「全体的に『私を騙してやろう!』『遊んでやろう!』という雰囲気が一切なかったのが逆に怖かったんです。多分、年齢詐称とかは故意でしょうけど、遊ぶ気満々ならすでに体の関係を持っていてもおかしくはないはず。ずっと高校生みたいなピュアなデートを繰り返していただけですから(笑)
なんだろう、本気の虚言癖っていうか……かなり大したことがない嘘までついてましたし、自分自身でもどこまで嘘をついたか把握しきっていない感じでしたよ。
本当の自分を知られるのが怖かったのかな。よく分からないけど、なんだか可哀そうな人だなって思っちゃいました」
彼も嘘に気付かれて気まずくなったのか、徐々に連絡が減っていったそう。結局付き合う話も出ずに、現在はすっかり疎遠になっているとのことです。
気軽に使えるからこそのリスク
何もかも偽れるマッチングアプリ。入念な注意をはらった利用を彼女は今回の件を経て、マッチングアプリの怖さを学びます。
「たまたま今回は気持ち悪いだけの虚言癖だった、というだけですけど、ここから危険な目に遭う可能性もゼロではなかったと思います。もしかするとKさんも、時間をかけて私をどうこう……と考えていたのかも。
考えすぎかもしれませんが、嘘まみれだといくらでも嫌な方向に頭を働かせられますよ。アプリって気軽に人と出会える利点がある分、怖いことも起きるかもしれない。この事件をきっかけに、利用の仕方には気を付けようと思いました」
アプリは共通の知人・友人がいないことから、いくらでも経歴を偽れるのです。便利で気軽に使えるそのウラには、恐ろしい側面があることを忘れてはならないもの。
アプリを利用する際は十分に気を付け、怪しいと思った時点ですぐに身を引くくらいの潔さが必要なのでしょう。
<文/たかなし亜妖>
たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター。業界卒業後は一般企業へ入社。ゲーム制作に携わった過去を持つ。好きな物は漫画、アニメ、映画、美容、占い。そろそろ顔面課金額が数百万円を超えるとか。日刊SPA!等多方面で活躍中。
Twitter:@takanashiaaya
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