子どもが小さい頃は、ママ同士で育児を助け合うなど工夫も必要。けれどそれは、“お互いさま”が成り立つ範囲でのこと。
岩崎和美さん(仮名・38歳)は、仲良くなった幼稚園のママ友と、家が近所だったこともありお互いの家を行き来するようになりました。
パートを始めたママ友の助っ人を申し出る
ときどき作りすぎたおかずを分け合ったり、急な用事のときは子どもを少し預かり合ったり、とても充実したママ友ライフを送っていました。ですが、そのいいバランスが徐々に崩れ始めます。
「ママ友がパートを始めることにしたそうなのです。小さい子どもがいることにも理解がある職場で、幼稚園の預かりを利用しつつ働くということで、やる気になっているママ友を心から応援する気持ちで『なにかできることがあったら言ってね』と伝えました」
子どもに理解があるというものの、職場はアパレル。時間通りに帰れず、幼稚園のお迎えも遅れることもしばしば。幼稚園は家から近かったので、ママ友の子どもも一緒にお迎えして、園庭で遊ばせて待っていることも多くなってきたそうです。
次第にお迎えするのが当たり前に

子ども同士も仲良しだったため、自分の子どもが喜ぶからとお迎えをしてあげていたのですが、徐々にそれがなんとなく当たり前な雰囲気になってきました。
「以前はお迎えの時間に間に合わないと、ダッシュで駆けつけてきていたのですが、わたしがどうせお迎えしておいてくれると思ったのか、だんだん『今日も仕事なんだ』とLINEが来ると、わたしがお迎えするのが当たり前になってきました」
最初は幼稚園の預かり保育を利用してパートすると言っていたはず。ですが、ママ友によると、幼稚園はできるだけママがお迎えに来たほうがよいという方針で、頻繁に預けるとあまりいい顔をされないとのこと。預かり保育にお金を払うより、少しくらいなら岩崎さんがお迎えして遊んでいてくれるだろうと思ったのか、預かり保育もだんだん利用しなくなっていき、ママ友が仕事の平日は当たり前にお迎えするようになっていました。
休日に突然「預かって!」のLINE
そしてある日の休日の朝、突然ママ友からLINEが。仕事先でシフトに入れなくなってしまった人の代わりに出勤しなくてはいけないらしく、子どもを預かってほしいとの連絡でした。

「パパはサービス業で週末はほとんど不在なのは知っていたので、驚きましたが大変だろうと思って預かりました。子どもを連れてショッピングモールに行く予定だったので、ママ友の子どもも一緒に連れて行って遊ばせたり、フードコートでランチを食べさせたりしました。休日までわたしが預かることにモヤっとしましたが、子どもも楽しかったようだし、とりあえずよしとしました」
しかし、この一件から徐々に岩崎さんの家が“託児所化”していきます。
もはや託児所扱いで憂鬱

岩崎さんが快く預かったのがいけなかったのか、しばらくしてまた休日の朝に仕事が繁忙期で出勤しなくてはならず、預かってほしいとの連絡がありました。しかも、以前は同じクラスの子どもだけでしたが、今回はなんと妹も一緒に預かってほしいというのです。
「以前は下の子を保育園の一時預かりに預けていたのに、いよいよ保育園に預けるのも惜しくなったんですかね。さすがにモヤモヤが止まりませんでした。でも至急で預け先がないと聞くと断れなくて…また預かってしまいました」
いくら仲良しの子とはいえ、他人の子どもを預かるのは気を使いますし、予定が狂います。自分の子どもに何か食べさせようと思えば、お友達にも出してあげないといけません。同じようなことが何度か続き、疲れ果てた岩崎さんは、ついにママ友のお願いを断ろうと決意します。
「急に預かってと言われると断りにくいので、義両親の調子が悪いことにしました。ちょくちょく病院に連れて行ったり、様子を観に行かねばならず、今までのように預かれなくなってしまうと伝えたんです。実は義両親はピンピンしていますが、少し離れたところに住んでいて会うこともほとんどないので、言い訳に使わせてもらいました」
それ以降、預かりの連絡はなくなり、ほっとした岩崎さんですが、ある日他のママから衝撃の発言を聞いてしまいます。
確信犯のママ友に愛想が尽きた
「よく預かり保育を利用しているママから、そのママ友が土曜日も預かり保育に来るようになったと聞きました。彼女いわく『預け先がなくなっちゃってさぁ、預かり保育にするしかなくなっちゃったのよね』と言っていたと聞いて、怒りに震えました。預け先って、わたしの家じゃないですか! うちはボランティアの託児所じゃないし、本当に腹が立ちました」

ママ友は岩崎さんの好意に甘えて、本来なら預かり保育が使えるのに使っていなかったことが判明して、一時期は人間不信に陥ったという岩崎さん。
「世の中には図々しいママっているんだなぁ、と勉強になりました。仲良くしていたママ友だし、大変だから助けてあげたいと思ってやってあげたのが、逆によくなかったんですね。今後は誰かに頼まれても、断ろうと思います」
子どもを通じて知り合うママ友とは、ママ同士の関係が、子ども同士の関係に影響を及ぼすのでは…といい顔をしがちですが、大事なところはきっちり線引きする必要がありそうですね。
―シリーズ「SNSトラブル」―
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<文/塩辛いか乃>
塩辛いか乃
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako
(エディタ(Editor):dutyadmin)
