この世の中、普通に考えたら変だとわかりそうな「トンデモ論」にハマる人がけっこういるようです。
清水かりんさん(42歳・仮名)の友人はなんと「子宮系」と呼ばれるトンデモ論に傾倒してしまったそう。
自分探しの起業セミナーへ
「子どもがまだ小さくて、子育てに手いっぱいになると、自分が消えていくような不安に襲われることがあります。そんな自分探しをしていた頃、SNSで知った起業セミナーに参加したのがNさんと出会うきっかけでした」
参加者は、なにか自分らしいことを見つけたい主婦ばかり。同じセミナーに参加していたNさんとは、なんとなく気が合いそうだったので、連絡先を交換。ときどきLINEのやり取りをしたりしていました。
「SNSやブログを使って起業しようというセミナーだったので、その後から頻繁にSNSを使うようになりました。主にFacebookでの投稿で、認知を広げるというやり方だったので、Nさんの投稿も頻繁に見かけるようになりました」
Nさんはイラストが上手で、フリーでイラストの仕事をしたいとSNSで投稿を開始。SNSをやっているとお互いの近況も分かるので、コメントをしあったりして、交流をしていたそうです。
友人の投稿内容が徐々におかしく…

ですが徐々に、Nさんの投稿が徐々に変化していきます。
「ときどき妙な投稿を見かけるようになりました。『わたしが弾けられなかったのは、性への抵抗があったから』などと、謎のつぶやきをしたりして、変だなと思い始めました。そのうちいわゆる『子宮系』と言われるトンデモスピリチュアルなお茶会に参加している写真などの投稿も流れてくるようになりました」
「子宮系」とは、女の幸せは子宮を大事にすることだというスピリチュアルの一種。女性特有の臓器、子宮が女性の幸せを左右するとし、子宮を温めたり、性行為やマスターベーションで性器を積極的に使う「おまたケア」の推奨、そして一番トンデモなのが“子宮の声”つまり自分の欲望に正直になって生きようという方針を訴えています。
子宮系スピリチュアルにどっぷり傾倒
本音をため込むと子宮に悪いので、悪口暴言は言いまくり。わがままを極めて自分らしく生きれば愛される、さらに「子宮を温めるとお金周りがよくなる」などという医学的根拠ゼロの情報発信など、聞いているだけでおかしな内容。

ですが、その子宮系が発信する「常識や固定観念に縛られず、自分の欲求に従って好きなことだけやればいい」という方針は、我慢することが多い育児の日々でストレスを溜めた主婦にとって、キラキラした自分らしさを取り戻せるような気になってしまうのかもしれません。
そんな「子宮系」にハマったNさんは、徐々に過激な投稿もしはじめます。化粧っ気がなくナチュラルな彼女が、いきなり胸元を強調した服を着て自撮りを投稿したり、「子宮をかわいがるために、一人でしました」といったトンデモ投稿をしはじめました。
心配になりメッセージを送ると
「ちょっと変だな、とは思っていたのですが投稿を見て、これはマズイと思いました。しばらくメッセージのやり取りはしていなかったのですが、『最近なんか雰囲気変わったけど、何かあったの?』とメッセージしてみました」
すると彼女からは長々とメッセージの返信が来たそうです。内容は、ざっくりこのようなことが書いてあったそうです。
「今まではずっと自分に自信がなかったのだけど、それは自分が子宮を大事にしてこなかったからだと気づいたの。師匠の〇〇さんにそう指摘されて、長年の悩みの原因がこれだったんだと気づいて。もう自分のやりたくないことは無理しない、やりたいことだけやっていこうと思ってる」
高額セミナーに参加、止まらない暴走
すっかり子宮系の自由奔放な方針に心酔してしまったNさんは、まだ小さい子どもを夫に預けて、離島で行われる高額のセミナーに参加するなど、散財も加速していったそうです。

「そのセミナーがものすごく高額で、普通の主婦が払える金額ではないと聞いていたので、驚きました。きっと使ってはいけないお金に手を付けたのだろうと思い、『お金のほうは大丈夫なの?』とメッセージで送ってみましたが、『子宮が喜ぶお金の使い方をすると、循環してお金が入ってくるのよ』という、謎の返信がきました。これはもうわたしが引き留めてもムダだと思いました」
ついに家庭崩壊へ
その後、しばらくして、NさんのSNSの更新が途絶えてしまったとのこと。知人によると、子宮系に散財したことに夫がブチ切れて、ついに離婚に発展してしまったそうです。
「何を支持するかは自由ですが、自分らしく生きることと、周りの迷惑を考えずに好き勝手に生きることは違いますよね。やりたい放題やったツケは自分に還ってくると思います。これで目を覚ましてくれると良いのですが…」
いまだ、Nさんからは連絡はないそうです。
―シリーズ「SNSトラブル」―
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<文/塩辛いか乃>
塩辛いか乃
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako
(エディタ(Editor):dutyadmin)
