身の回りのことから、知性を磨く。
こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、スーパーマーケットやコンビニグルメ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。
毎日の育児、本当におつかれさまです。みなさんは自分の子どもがどのように育って欲しいと願っていますか?「勉強が得意になって欲しい」、「大人になってから困らないように、最低限の基礎学力は欲しい」と考えている人は少なくないと思います。
前回のコラムでお話させていただきましたが、東大出身の私が断言できるのは、幼少期からの塾通いやガリ勉は、高学歴を作るための必要条件ではありません。
【前回の記事を読む】⇒東大卒ママが子どもの塾通いより「一緒に料理すること」を大切にする“2つの理由”
今回は、子どもと一緒に楽しみながら料理をすることは、確かな学力アップにつながることを、私自身や我が子のエピソードを交えてご紹介したいと考えました。料理と言っても時間がかかる本格レベルではなく、誰でもカンタンに試せるものばかりです。
具体的な事例をご紹介しながら、結果として学力アップにつながる秘訣などを一緒に考えていきましょう。今回は“算数”という科目に絞ってみたいと思います。
我が家には小学2年生になる男の子がいます。2歳のときから料理をはじめたのですが、最初は野菜や果物を洗って並べるという簡単なお手伝いが基本でした。もちろん子どもにとっては簡単ではなく、すべてのことが新しい経験でチャレンジ。焦らずに応援してあげましょう。
食材や水に触れて手を動かすこと。さまざまなカタチを感じたり数を数えて頭を使うこと。これがとっても重要です。
気がつくと、息子は自分で食材の数を数えるようになっていました。さらに、3つに分ける、種類を組み合わせる、のような作業も自然と習得。カニカマボコを手でさいて、何本に分けられるかというのも遊びながら楽しむようになりました。ちなみに好きな科目を聞くと、体育、図工、算数とのことです。
私自身も幼少期から母と料理を楽しむ家庭で育ち、気がついたら算数や数学が得意になっていました。自分で気がついたのは小学5年生あたりです。特別な勉強をしなくても、テストは常に100点。数字を自由に扱って、頭の中で考えることが得意であることに気がつきました。これはまぎれもなく料理のおかげだと実感したことを、今でも鮮明に覚えています。
「料理なんてしなくても、他のことで学力は高められる」と考えている方もいるでしょう。私が料理を大切にする理由は、自分の体験だけではありません。塾や習い事のように経済負担がかからず、継続性を持たせやすいからです。
また、親と一緒に取り組みやすいメリットもあります。ですから、ここでお話したコツやポイントを料理以外の手法で実践していただいてもOKです。大切なのは、手法ではなくて考え方。さあ、次のエピソードに移りましょう。
料理だけでなく、スーパーマーケットでの買い物中に出逢えるのが、“単位”の世界です。
算数の世界は数そのものを扱えるだけでは得意にはなりません。例えば文章題に登場するのが、単位の概念です。食の世界は、重量、長さ、温度、日持ち、時間といったさまざまな単位の宝庫。買い物や料理を楽しむことで、無理なく親しむことができるようになります。
我が子は、野菜や魚介の数え方が異なることをリアルな日常で知ったおかげで、「これはどう数える?」という好奇心を自分で生み出すようになりました。
あくまでも私個人の考えではありますが、親の使命は子どもに勉強や知識を教えてあげることよりも、興味の世界を広げてあげることのほうが有意義だと思います。
ある日、遠足で収穫してきた野菜の重さを測っていた息子を見て、私は息子を近所のパン屋さんに連れて行くことにしました。そのパン屋さんには大きな「はかり」があって、パンの値段が重量ごとに決まるのです。それを見た息子は、重さや大きさに強い興味を持つようになりました。
こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、スーパーマーケットやコンビニグルメ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。
毎日の育児、本当におつかれさまです。みなさんは自分の子どもがどのように育って欲しいと願っていますか?「勉強が得意になって欲しい」、「大人になってから困らないように、最低限の基礎学力は欲しい」と考えている人は少なくないと思います。
前回のコラムでお話させていただきましたが、東大出身の私が断言できるのは、幼少期からの塾通いやガリ勉は、高学歴を作るための必要条件ではありません。
【前回の記事を読む】⇒東大卒ママが子どもの塾通いより「一緒に料理すること」を大切にする“2つの理由”
今回は、子どもと一緒に楽しみながら料理をすることは、確かな学力アップにつながることを、私自身や我が子のエピソードを交えてご紹介したいと考えました。料理と言っても時間がかかる本格レベルではなく、誰でもカンタンに試せるものばかりです。
具体的な事例をご紹介しながら、結果として学力アップにつながる秘訣などを一緒に考えていきましょう。今回は“算数”という科目に絞ってみたいと思います。
1.食材を洗って並べる⇒数に対する好奇心が高まる
我が家には小学2年生になる男の子がいます。2歳のときから料理をはじめたのですが、最初は野菜や果物を洗って並べるという簡単なお手伝いが基本でした。もちろん子どもにとっては簡単ではなく、すべてのことが新しい経験でチャレンジ。焦らずに応援してあげましょう。
食材や水に触れて手を動かすこと。さまざまなカタチを感じたり数を数えて頭を使うこと。これがとっても重要です。
気がつくと、息子は自分で食材の数を数えるようになっていました。さらに、3つに分ける、種類を組み合わせる、のような作業も自然と習得。カニカマボコを手でさいて、何本に分けられるかというのも遊びながら楽しむようになりました。ちなみに好きな科目を聞くと、体育、図工、算数とのことです。
私自身も幼少期から母と料理を楽しむ家庭で育ち、気がついたら算数や数学が得意になっていました。自分で気がついたのは小学5年生あたりです。特別な勉強をしなくても、テストは常に100点。数字を自由に扱って、頭の中で考えることが得意であることに気がつきました。これはまぎれもなく料理のおかげだと実感したことを、今でも鮮明に覚えています。
「料理なんてしなくても、他のことで学力は高められる」と考えている方もいるでしょう。私が料理を大切にする理由は、自分の体験だけではありません。塾や習い事のように経済負担がかからず、継続性を持たせやすいからです。
また、親と一緒に取り組みやすいメリットもあります。ですから、ここでお話したコツやポイントを料理以外の手法で実践していただいてもOKです。大切なのは、手法ではなくて考え方。さあ、次のエピソードに移りましょう。
2.食材を知る、測る⇒さまざまな“単位”の世界に出逢える
料理だけでなく、スーパーマーケットでの買い物中に出逢えるのが、“単位”の世界です。
算数の世界は数そのものを扱えるだけでは得意にはなりません。例えば文章題に登場するのが、単位の概念です。食の世界は、重量、長さ、温度、日持ち、時間といったさまざまな単位の宝庫。買い物や料理を楽しむことで、無理なく親しむことができるようになります。
我が子は、野菜や魚介の数え方が異なることをリアルな日常で知ったおかげで、「これはどう数える?」という好奇心を自分で生み出すようになりました。
あくまでも私個人の考えではありますが、親の使命は子どもに勉強や知識を教えてあげることよりも、興味の世界を広げてあげることのほうが有意義だと思います。
ある日、遠足で収穫してきた野菜の重さを測っていた息子を見て、私は息子を近所のパン屋さんに連れて行くことにしました。そのパン屋さんには大きな「はかり」があって、パンの値段が重量ごとに決まるのです。それを見た息子は、重さや大きさに強い興味を持つようになりました。
3.トッピングや盛りつけをする⇒カタチを捉えるセンス、立体感覚を養える
そしてもう一つは、算数で必要とされる空間認識力に通じるエピソード。我が家では定期的にケーキ作りを楽しんでいます。まずは無理なく、安全に、楽しみの中でやってみることが大切。親が大変だと感じたら本末転倒ですから、スポンジ部分は自分で焼かなくても良いと思います。
大切にすべきは、子どもと一緒に楽しく考えること。きれいに重ねるためにはどうしたらいいか? 何をどう重ねるか? ケーキを切ったら断面はどうなるのか? 進めていくとさまざまな発見が得られるでしょう。立体感覚はレゴブロックや砂遊びで、というのも賛成ですが、手段は多様化してもいいはずです。
先日、ローストビーフ専門店に食事に行ったときのこと。ローストビーフの塊を薄く切って、きれいに盛り付ける体験をさせてもらいました。1ミリに切って折りたたんで並べていく。息子はこの工程を通して、扇形に並べることや、折りたたむ面積の割合を楽しそうに考えていました。その姿に親が気づいてあげることは、子どもの満足度にもつながります。
食育や教育を考えるにあたり、時間がないからという理由であきらめてもらいたくありません。自分ですべてやろうとすると大変ですし、むしろ親ではない人から学ばせてもらう時間にこそ、視野の広い学びが潜んでいると思います。
今回のコラムを通して、お伝えしたエピソードはほんの一部です。親として、自分や子どもに合う料理体験やレベルは違いますから、まずは楽しめそうなところからはじめてみてくださいね。
子どもが真剣に取り組む姿は、家族にとっても次への大きなモチベーションになるはずです。そして最後に、もっとも重要なことを……。
学力を上げるために料理をするのではありません。どうか親子が同じ目線で、純粋に料理を楽しんでみてください。必ずや確かな知恵や感性がついてくるはずです!
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
スギアカツキ
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。ビューティーガール連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
(エディタ(Editor):dutyadmin)







