小さい子がいると、育児を助け合えるママ友の存在は貴重です。ですが度を超えると、自分の生活リズムまで狂ってしまうようです。
矢口乃愛さん(37歳・仮名)は、幼稚園で同じクラスのママ数人と仲良くなり、誘われるままにお互いの家でよく集まるようになりました。
子どもの誕生日会が憂鬱
手料理を持ち寄って、お互いの誕生日パーティを祝ったり、クリスマス会をしたり、それはそれはイベント盛りだくさんで、忙しくも楽しい日々でした。ですが徐々に、そのイベントが過度になってきます。
「4人グループで仲良しだったのですが、お互いの子どもの誕生日会をやるので、年に4回誕生日会があります。しかもオシャレなママが取り仕切ってプレゼントを決めるのですが、やけに高いブランドの子ども服をプレゼントすることになるので毎回数千円の出費。わが子の誕生日にもやけにオシャレな服をプレゼントされるのですが、すぐ大きくなってしまうので高い服にあまり興味がなく、なんとなく無駄な出費だなぁと思っていました」
一品料理持ち寄りルールにモヤッ

さらに、イベントごとにそれぞれ一品料理を持ち寄るという暗黙ルールも矢口さんを苦しめます。
「持ちより料理と言っても、デリで買うとかではなく、実質は料理の腕を競うようなマウンティング要素が入ります。みんな見栄えがよく、オシャレな料理を持ってくるので、自分だけ『きんぴらごぼう』というわけにはいかないんですよ。一品ずつといっても、一品では済まず、その日のためにレシピ本を見て『映える料理』を必死で作りました」
小さな子どもも一緒なので、可愛くカップに入れた一口サイズのお寿司や、彩り鮮やかで可愛らしく、かつ栄養満点のブロッコリーとミニトマトをあしらったポテトサラダを可愛く小分けにして飾ったり、イベントごとにパーティごはんに時間を取られて大変だったとか。
そのパーティは、楽し気な写真とともに「ママ友最高!」とインスタで投稿。子育て楽しんでます!のアピールに使われるのもなんだかモヤモヤしたそうです。
「過度な助け合い」に疲れ果てる
そうして繰り返されるイベントにも少し疑問を持つようになったころ、あるママの家が一家全員インフルエンザにかかってしまいました。

すると周りのママがLINEで「おかずと、暇つぶしのマンガを届けるよ!」といって、病気のママのためにみんなで一品ずつ料理を作って持っていくことに。マンガ雑誌などもあれこれ買って届けることになり、矢口さんはそこまでするの?と驚いたのだとか。
「誰かに何かがあると『即出動!』となるんです。わたしも親子で風邪を引いたことがありましたが、やはりお惣菜などを届けてくれました。自分が病気の時は助かると言えば助かりますが、ものすごく気を使うし、うちは両親も近くにいるので頼れるし、『助け合い』に疲れてしまいました」
卒園を機に、距離を置こうと決意

子どもはそれなりに喜んでいたので、しばらく頑張ってはいましたが、小学校に上がってもこのノリで続けるのはもう無理だと思い、矢口さんは、そのママ友グループとは子どもの卒園と小学校入学を機に距離を置こうと決めました。
幸い、ママ友のうち2人とは小学校が離れるので、もうあまり会うことがないかなと思い、今が距離を置くチャンスだと思い、両親の不調を理由に、忙しくなるのであまり参加できないと伝えました。
その後は目論見通りママ友グループから離れることができた矢口さん。ですが今でもインスタには「毎日充実!」「小学生でもズッ友!」と楽し気な投稿が流れてきます。
成績でマウントを取り合っているママ友たち
ですが久しぶりに会った一人のママによると、内情は、どこの塾に行くとか、英語を習わせるとか「お勉強マウンティングバトル」で大変なのだとか。
「まだ小学校の低学年なのに、成績の小競り合いがあったりと、いろいろ大変みたいでした。早く抜けて正解でした」
小学校ではパートをはじめて、ママ友との付き合いもほとんどなくなり、すごく楽になったという矢口さん。育児の大変さを分かり合え、助け合えるママ友はとても貴重な存在ではありますが、自分の負担にならない程度のおつきあいにとどめたほうが良さそうです。
―シリーズ「春のトホホ」―
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<文/塩辛いか乃>
塩辛いか乃
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako
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