【いまどきの男を知る会 ファイルNo.38 マイナースマホ男子】

数々のラジオ番組で活躍する実況アナウンサーの清野茂樹さん。古舘伊知郎さんに憧れてプロレスを伝える仕事に就き、さらに古舘さんが歌った曲をカバーしてレコード化するクラウドファンディングも話題ですが、もう一つ追いかけているものがありました。
それは……マイナーなスマホです。2017年に清野さんのラジオ番組「真夜中のハーリー&レイス」に呼んでいただき、私もBlackBerryという同じ機種を使っていたので、その時点でシェアが0.0481%のマイナースマホ仲間としてトークが盛り上がりました。
それから時を経て、清野さんのBlackBerry KEY2(2018年9月発売)が通話不能になり、新たなスマホの買い替えを検討している、という噂を聞きました。ついに清野さんもiPhoneかGoogle Pixelに乗り換えるのかと思ったら、「今、バルミューダフォンかKEY2を再び買うかで迷い中」とのこと。まさかその道を突き進むとは……と清々しさを感じ、「マイナースマホ男子」として取材を申し込まさせていただきました。
BlackBerryから乗り替えたスマホは?
結局どのスマホに買い替えたのかと伺うと「バルミューダフォン」と、期待を裏切らないチョイスが。拝見すると、白くて小ぶりで奥ゆかしいスマホです。

「バルミューダフォンはネットの評判はあまり良くなさそうだったし、直前までGoogle Pixelと迷ってました。家電量販店に行って聞いたら、バルミューダフォンは在庫がないと言われました。店員さんが『ここだけの話なんですけど、在庫ありません。人気ないんです』って。『私の口からは言えないんですけど、バルミューダフォンで検索してみてください』とまで言われました。テンションが下がりつつも、その日のうちに秋葉原の携帯ショップを調べたら中古の未開封品があったんです。値段は19000円で、これいいや、って思って翌日買いにいきました」
聖書の言葉に「狭き門から入れ」という句がありますが、スマホに関しては狭い道を歩んでいる清野さん。最初、在庫がなかったことが気持ちを燃え上がらせ、運命感を高めたのでしょうか。
「実際検索したらほめてる話ってほとんどなかったけど、ダメならいつでも別のスマホに行ける。でも、別のスマホの良さを知ったら多分こっち(バルミューダ)には行かないと思って。一応こっち通るかって」と、悔いのないスマホ人生を選んだ清野さん。
BlackBerryのおかげで、バルミューダフォンでも便利
12年間の付き合いだったBlackBerryとの別れは淋しかったそうです。BlackBerryというクセがあって、動きもそんなになめらかではないスマホを使って来たからこそ、バルミューダフォンでも便利に感じられる、と清野さんはおっしゃいます。
「携帯で決済する使い方もやってこなかったし、動画を観る習慣もないのでこれで十分です。バッテリーが減るのが早いですが、小さいから当然ですね。ネットを見たら、計算機に億とか兆の単位があるからいらないって文句言ってる人がいましたけど、そんなの使わなきゃいいだけじゃないですか」
現代人は画一的で便利なスマホに慣れすぎてしまい、少しの不便でも文句を言うようになってしまったのでしょう。その点、不便でもっさりした動作で故障しやすいスマホに慣れていると、少しの便利さでもありがたく思えてきます。
マイナースマホは外車に乗ってる感覚
これまでの清野さんの携帯&スマホ遍歴を伺ってみました。
「携帯を持ったのは遅くて30歳すぎてから。まずはエリクソン、ノキア、モトローラときて、BlackBerryです」
90年代に人気だったマニアックでおしゃれな機種を通ってきているようです。2010年前後は、オバマ大統領が愛用していたこともあってBlackBerry全盛期でした。
「BlackBerryは、Bold、9900、Passport、KEY1、KEY2、KEY2 LEと6代に渡って使い続けました。iPhoneより安いのも魅力ですが、BlackBerryの良さは圧倒的にデザイン。見た目が9割ですから」
たしかに物理キーボードと小さめサイズの画面のバランスが絶妙で、裏面のロゴもかっこいいです。当時、外資系金融マンが活用しそうな有能オーラにあふれていました。
「何かの機会にスマホを出すと、『それなんですか』って言われる。その優越感がたまらなかったです。珍しいのですごい言われました。例えると、外車に乗ってる感覚です」
20代の頃はデザイン重視で外車を選んでいたという清野さん。その車欲がスマホ欲になったのでしょうか。経費削減でかなり経済的な趣味です。
新型があまり出ないから、ずっと最新機種のまま
「おしゃれでマイナーなスマホを持っていると人と違う個性を出せる。便利さとかじゃないんです。特に今は皆iPhoneなので、違う方いきたいなーって思って最終的にこっちの道へ……。iPhoneは新型よく出ますよね。あれで騒いだり一喜一憂したりするのが好きじゃないんです。踊らされるの好きじゃない。自分が踊りたくて踊るのはいいけど」
たしかに発売日にアップルストアに並んでハイタッチしている人とか、妙な陽キャ感があってなかなかBlackBerry派とは相容れない感じがします。
「iPhoneはアップデートが早いから、買ってもすぐに最新機種じゃなくなって引け目を感じるようになる。でも、BlackBerryは新しくならないですから! ずっと4年間、最新機種っていうのが良かったですね」
新機種が出ないどころかOSもサポート終了。このまま消えてしまいそうな文明です。もしかしたら希少価値が生まれて、いつかエモいアンティークスマホとして骨董価値が出るかもしれません。昔のガラケーが某骨董品屋に売られていたという話も聞いたことが。マイナースマホの今後の値上がりに期待です。
「写真も画質悪くてね、よくこんな小さい画面で、って思いますよね」
と、慈愛を漂わせた瞳でBlackBerryに触れる清野さん。もしかしたらまたBlackBerryに回帰することもあるかもしれません……。
スマホが便利で汎用性があればあるほど、人は依存してしまい、電池とギガとエネルギーを吸い取られる……。スマホのデザインを視覚的に楽しむくらいが、まだ人間の方に主導権があって、理想的な関係性を保てそうです。マイナースマホ男子の取材で、スマホとの適度な距離感を教えられました。
<文/辛酸なめ子>
(エディタ(Editor):dutyadmin)


