パリの屋根裏部屋に住む70歳のマダム、ナタリー・ジョルジュさん。『セゾン・ド・エリコ』VOL14(2021年10月)で紹介し、ビューティーガールでも取り上げたところ、大反響がありました。
最小限のモノでエレガントな暮らし
30年前から愛用しているシャネルの服をシックに着こなし、髪をエレガントにまとめたナタリーさんは、豊かな、そしてちょっといたずらっ子のような笑顔がとても魅力的です。アパルトマンの最上階、6平米の小さな屋根裏部屋で仕事をし、料理をし、親しい友人たちと語り合う……。
2020年にナタリーさんが出版したレシピ本『La cuisine du 6è étage』(「6階の料理」の意味)はフランスでとても話題となりました。
そんなナタリーさんの姿をもう一度見たい! というラブコールにお応えして、『セゾン・ド・エリコ』VOL16では、中村江里子さんがナタリーさんのお部屋を訪問。ナタリーさんに素敵なおもてなしを受けました。
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(写真はすべて『セゾン・ド・エリコ』VOL16より)。
木のらせん階段を6階まで上がる
ところで。6平米といっても、すぐにはその大きさが想像できない方も多いことでしょう。6平米は約3.3畳~4.2畳。畳は京間、江戸間など種類によってサイズが異なるのですが、だいたい畳3枚から、4枚ということになります。ナタリーさんはパリのアパルトマンの最上階6階にある、この小さな部屋を2部屋借りて暮らしています。
最上階と聞くと、つい、ペントハウスのような豪華な部屋を想像してしまいますが、それとは違って、昔は住み込みのお手伝いさんたちが生活したところ。インターフォンもエレベーターもありません。
エレベーターがないので使いこまれた木のらせん階段を上るのですが、中村さんはちょっと息があがり始めて……。ピンヒールでこれを上がるナタリーさんすごい!
床に置いた一口コンロ、ピンヒールでしゃがんで…
水場やトイレはフロア共有で、部屋にはキッチンはありません。コンロや流し台といったもの自体ないのです。部屋の風通しのよい窓辺が野菜置き場であり、調理台でもある。その部屋でナタリーさんは、床に直接一口コンロを一つ置いて、魔法のようにおいしい料理を次々と仕上げていきます。
食卓の後ろには段ボールを利用した臨時のサイドテーブルが。友人のアーティストの作品を飾って洒落たコーナーになっています。
そんなナタリーさんと中村さんの出会いは、偶然のたまものだったとか。中村さんに話を聞きました。
中村江里子さんとナタリーさんの出会いは
──ナタリーさんとの出会いは偶然だったとか?
「はい。私がナンパしたんです!(笑)」(中村さん、以下同)
──えっ? ナンパですか?
「以前も少しお話ししましたが、もともとは、夫(バルトさん)がパリで大評判になっていたナタリーさんの著書を『あなたも読むといいよ』と渡してくれたんです。すっかり魅了されて、日本の『セゾン・ド・エリコ』の読者の方にも紹介したい! と思っていました。
ある日、マルシェでナタリーさんのお姿を拝見して、なんと素敵なタイミングって(笑)。『ナタリーさん!』と思わず、お声がけしていました」
──『セゾン・ド・エリコ』内の「コンロ1つ、オーブン1台でつくるエレガントな食卓」というキャッチが気になります。
「ナタリーさん、近々お引越しをなさるということで、その前にぜひまたいらっしゃい、とお招きをいただきました。それで、ナタリーさんのお好きな赤ワインを持って、準備もお手伝いをするつもりで出掛けました。
お引越しの準備で、部屋の前の廊下にはすでに段ボールが所狭しと並んでいて、その奥にオーブン、そばに一口コンロが一つ。真っ赤なワンピースにオレンジのバックストラップのピンヒール姿のナタリーさんは、白いエプロンの紐をキュッと結んで、真っ白な大判の布巾をひょいと肩にかけてテキパキと動く姿が圧巻(笑)」
調理台は段ボール!
「調理台はといえば、段ボールを利用して、センス良くナタリーさん流に楽し気に調えたものです。床に膝をついてコンロの火加減を見ていたかと思うと、すぐに立ち上がって、オーブンに入れたお肉の焼け具合を確認したり……。とにかく手際がいい。
加えて頭が超高速で回転していらして、次から次へと辛口なコメントやウイットに富んだ言葉が出てくる。そのお話がまたとっても楽しくて。テキパキ、チャキチャキの素敵なマダムなんです!
お手伝いするつもりでうかがったのに、ナタリーさんの言葉と動きにすっかり圧倒されていました。」
絶妙なサラダとローストボークが並んで
──屋根裏部屋で、しかもお引越し前となると、普通に考えると、人を招くなんて、躊躇しますよね?
「そうですよね。でも、フランスには自宅にお招きして、自分にできることで人をもてなすのが最上のおもてなし、という風潮があります。ナタリーさんはさらにその上を行く懐の深さ!
正直、この限られたスペース、最小限の調理器具でどうやってお料理をするのだろう? と思っていたのですが、あっという間に、レンズ豆とカリカリベーコンがアクセントのサラダの前菜に、ローストポークのじゃがいも添えのメインが並びました。これは前日から仕込んでいたブイヨンとバターをたっぷり使った、焼き加減が絶妙のものでしたね。
そしてデザートに、桃の赤ワイン煮とパイナップルのキルシュ風味。どのお料理も本当においしくて……」
「このとき教えていただいて以来、家族に人気のわが家の定番になったものもあるんですよ。しかもナタリーさん、たっぷりとお料理を用意してくださっていて、帰りには、『エリコ、今日はラクできるわよ~』って、持たせてくださいました。子どもたちも大喜びで、本当にラクをさせていただいちゃいました(笑)」
「モノに支配されちゃダメよ」
──ナタリーさんとは、どんなお話を?
「本当にいろいろなことを。この日もたくさんのことをお話ししました。かつてナタリーさんは、パリのオペラ大通りの大きな80平米のアパルトマンに暮らし、別に80平米の仕事部屋もあって、企業のインダストリアルデザインやテーブルアートのクリエーションの仕事で日本にも50回以上訪れていたそうです。
最上のリュクスと究極のミニマムを知るナタリーさんの言葉はすべてまっすぐで、心にズーンと響いてきます。『モノに支配されちゃダメよ』とか、『想像力と創造力を働かせるのよ』とか。ナタリーさんの言葉の一つひとつが、ときには私の心をグサッと突き刺し、ときには私を温かいエネルギーで包んでくれるんです。
70歳のナタリーさんの言葉や考え方は、いまの私には真似はできないけれど、さまざまな刺激を与えてくれます!」
屋根裏部屋で、幸せで満足している
屋根裏部屋で暮らして16年。この16年とても幸せで満足しているというナタリーさんの珠玉の言葉や、おもてなしメニューのレシピも『セゾン・ド・エリコ』VOL16で紹介しています。
「私にとって不可欠なのは、ネコと音楽と料理。そして食事の幸せな時間を人と分かち合うこと」というナタリーさん。エレガンスとは何か、を考えさせられますね。
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【前回の記事を読む】⇒69歳のパリマダム、狭い屋根裏部屋ぐらしがステキ。中村江里子が憧れるマダムたち
<文/女子SPA!編集部 写真/『セゾン・ド・エリコ』VOL16より>
中村江里子
本名:エリコ・バルト/1969年東京生まれ。フジテレビのアナウンサーを経て、フリーに。2001年にバルト氏(化粧品会社経営)と結婚、パリに暮らす。現在は3児の母で、パリと東京を往復しながら各メディアで活躍中。ライフスタイルブック「セゾン・ド・エリコ」シリーズ、近著『パリのおうち時間』 Instagram:eriko.nakamuraofficial
(エディタ(Editor):dutyadmin)





