【○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.30】
ここ数年、猫をペットショップで買う人だけでなく、保護猫カフェやボランティア団体から猫を譲渡してもらう人も増えてきました。今日紹介する飼い主さん(@hi_pessimist)は動物愛護管理センター(自治体が野良猫などを一時保護する施設)から三毛猫を迎えようと考えていましたが、現在は1匹のサビ猫と暮らしています。
2人の間には一体、どんなドラマがあったのでしょうか。
動物愛護管理センターでサビ猫と運命的な出会い
8年前に一人暮らしを始めた飼い主さんは、ずっと猫を飼いたいと思っていました。しかし、仕事で家を空ける時間が長かったため、十分にお世話ができないだろうと考え、我慢していました。ところが持病の関係で休職し、孤立感が募ったことで猫と暮らしたい気持ちが高まっていったのです。
「持病があるのに猫の世話がきちんとできるのか、寂しさを埋めるために迎えてもいいのかと悩みました。飼わなくても、猫と触れあえば気持ちを抑えられるかもしれないと思って、体が動かせるときにペットショップや猫カフェへ行きましたが、余計に想いが募って……」
迎えるなら保護猫にしよう。そう考え、動物愛護管理センターの募集をチェックするように。そこで、目に留まったのが子どもの頃に飼っていた三毛猫の面影を感じさせる子。
絶対にこの子を迎えたいと思い、センターの見学へ行くため、譲渡登録申請書を提出。許可が下りるまでには1週間程度かかるため、他の人に決まりませんようにと毎日祈っていました。
「でも、残念ながら前日の夕方にホームページから写真が消えてしまっていて……。どうしてもっと早く書類を送らなかったのかと後悔し、落ち込みました」
そんなとき、頭に浮かんできたのが三毛猫の写真を見ていた時に出てきた、1匹のサビ猫。その猫になんとも言えない気持ちを抱き、せっかくならと思い、センターへ。実際に対面すると、あまりの愛くるしさにすぐに魅了されてしまいました。
「初めて見た緑色の瞳が、とても綺麗でした。私がケージ越しに指をかざすと、触ろうと手を出してきました。職員の方に軟便だからビオフェルミンを飲んでいたと聞き、私と同じだと親近感も湧きました」
我が家に来て幸せなのかと悩む日々
人懐っこそうな子……。センターではそう思ったものの、実際に連れて帰ると待ち受けていたのは、ミィちゃんと名付けたサビ猫との“コミュニケーションがまったく取れない日々”でした。

「実家で飼っていた三毛猫はどこでも触れたので、猫はそういうものだと思っていました。穏やかな時間を思い描いていたのに、現実はまったく違って、触ろうとすると逃げられてしまう。私などいてもいなくても同じではないかと思うこともありました」

そこで、怖い思いをさせないように努め、自宅で安心してもらえるように奮闘。嫌われない飼い主になるため、ネットの情報を読み漁っては実行し、おもちゃで遊びました。さらに、なるべく話しかけるように意識し、おしっこをしたときなどには「ミィちゃんは賢いね、かわいいね」と語りかけました。
けれど、心の中には不安もありました。
「ミィは生後3週間でセンターに保護され、譲渡に適した時期になるまで育成ボランティアさんのお家で過ごしていた子でした。私のところに来て幸せなのか、前にいた家のほうが良かったと思っているんじゃないか…と考えてしまい、苦しかったです」
ある日おこった、不思議なできごと
そんなある日、ベッドで横になっていると不思議なことがおこりました。
「私は霊感もないし、スピリチュアルに傾倒しているわけでもありませんが、『私はこの家に来るためにセンターにいたんだよ』という言葉が聞こえてきました。音を耳で聞くのではなく、言葉が心の奥深いところに強く届いたような感じでした」

その経験により、心から不安は消え、飼い主としての責任を果たそうとより強く思うようになったのです。
「ミィは私を飼い主として選んでくれた。幸せになるために来てくれたのだから、責任をもって応えないといけないなと改めて思わされました」
難病と闘い続ける日々に笑顔をくれたミィ
そんな気持ちが伝わったからか、ミィちゃんはその後、徐々に心を開いてくれるように。薬の副作用で飼い主さんが嘔吐してしまったときには、ずっとそばに寄り添っていてくれたこともありました。今では、後追いするほどの甘えん坊です。
「お風呂に入ると必ず覗いて、洗い場まで入ってきたり、浴槽の淵に登ったりします。トイレでは膝に乗ってくるので、飽きて降りるまで頭を撫でています」
また、通院などで数時間、家をあけて帰ると、少し怒ったような様子で鳴きながら、じゃれついてくるそう。たまにするイタズラにも、心を和まされています。
「基本的には食が細いのですが、過去にプチトマトと茹で栗を強奪されたことはあります。パクっとくわえ、床に降り立ったかと思ったら、プチトマトや栗を思い切り蹴りとばしていました(笑)」
コミカルな姿は見せますが、ミィちゃんは壁を引っ掻いたり、粗相をしたりしたことがないお利口さん。
「サビ猫は里親がなかなか決まりにくいと言われますが、とても頭がいい。私が帰宅すると、ミィは出迎えてくれた後に、洗面所へ先回りします。観察力もあるんですよね」
「ミィをお世話してくれた方にお礼を言いたい」

内面だけでなく、サビという柄自体にも飼い主さんは魅力を感じており、日々「こんな柄があったんだ」という発見を楽しんでいます。
「ミィをお世話してくださったセンターの方や育成ボランティアの方には心からお礼を言いたいし、こんなに立派になっていると伝えたい。あと、ミィ以外のサビ猫を実際に見たことがないので、他のお家のサビちゃんもこの目で見てみたいです」
そう話す飼い主さんの願いは、ミィちゃんが一日でも長く健康で生きていてくれること。
「私の持病は、治療法が確立されていない難病です。休職しても容態があまり変わらず、孤独で辛いと思う日々。生き続けているのが苦しかったです。でもミィを迎えてからは、簡単に死ぬわけにはいかないと思うようになりました。毎日に光を与えてくれたミィと、これからもずっと一緒に居たい」
幸せをもたらしてくれた愛猫のためにも、まずは自分がしっかり生きなければ――。そんな力強い言葉を発する飼い主さんにとって、ミィちゃんは生きる上で欠かせない存在となっています。
<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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