女性は男性に比べると、顔や身体のパーツに強いコンプレックスを持っている人が多いと言われています。ただし、その多くは本人の主観的なもので客観的に見てヘンというわけではないのが実際のところ。

写真はイメージです(以下同じ)
長年の選手生活の影響で耳が変形
「実は、小学校のころから大学まで柔道を続けていたんです。練習では試合形式の乱取りなどを多くしていたのですが、耳の軟骨がグチャグチャになってしまい形が潰れてしまっているんです」
彼女のように耳の軟骨が潰れてしまうのは柔道やレスリング経験者の間では珍しくありません。
男子選手よりはその割合は少ないようですが本格的に競技活動を続けているとそうなってしまうリスクは高いようで、オリンピック出場歴のある有名女子選手にもそういった方は少なくありません。
「選手時代は好きでその競技を選んだわけですし、全然気にしなかったといえばウソになりますが、仕方ないと受け入れていました。当時は私の周りの女子選手も似たようなものでしたし、自分だけじゃないって仲間意識とかもあったんだと思います」

高校時代はインターハイ、大学時代にもインカレなど全国大会の出場歴を持つ美弥さんですが、日本代表になるようなレベルではなく競技活動は大学時代で引退。卒業後は一般企業に就職し、柔道とは無縁の生活を送っていました。
「年に1~2回、母校の柔道部や子供のころに通っていた道場に顔を出すことはありましたが、柔道着に袖を通すのはそのときくらいでした。運動不足解消のためにジョギングをしていましたが、引退後は柔道のトレーニングなども一切やっていませんでした」
耳を見られないように普段は隠している
会社の上司や同僚にも柔道をしていたことは話してしなかったとか。就職後は髪を伸ばし、普段は耳が見えないように隠していたそうです。
「そこは徹底しました。本当はかわいいピアスとか着けたかったですけど、そんなことをしたら耳のことが一発でバレちゃうので。やっぱり普通の女の子って、みんな耳がキレイなんですよね。だから、そういうのを見ちゃうと余計にコンプレックスを感じちゃって。
社会人になってから仲良くなった友達に旅行に誘われることも何度かあったんですけど、温泉はお風呂で耳を見られてしまう可能性があるので泣く泣く断っていました」

そのため、気に入った男性がいても積極的になれず、メールアドレスやSNSを自分から交換することもできなかったとか。しかし、そんな弥美さんの27歳のときに春が訪れます。
「同じ会社の3歳年上の方で、本社から私が勤める支社に異動で赴任してきたんです。なぜかものすごく気に入られて、告白されて付き合うことになったんです」
その人は現在の夫。恋人同士として互いの家にお泊りする機会もあり、彼は彼女の耳も見ていたはずですがそれでも何も聞いてくることはありませんでした。
耳のことを何も聞こうとしなかった彼氏
「優しい彼のことですから耳のことに触れようとしなかったんだと思います。けど、逆にそれが気になってしまい、自分から尋ねたことがあったんです。そうしたら『普段は耳を隠していたし、きっと嫌なんだろうなって』って私が抱いていたコンプレックスを言い当てられてしまったんですよ」
それでも彼は弥美さんの耳のことを気にする様子はまったくなかったといいます。
「趣味でアマチュア格闘技をしている人で、彼自身も片耳が少し潰れていたんですね。『俺も似たようなもんだから』と言った後、しまったと思ったみたいで『デリカシーのないこと言ってゴメン』と謝っていましたが、それも含めて彼の気遣いがとても心地よかったんです」
前ほど気にならなくなった
現在は2歳になる息子さんと3人で育児に奔走しながらも充実な日々を送っているとのこと。耳も昔と違って髪で隠すようなことはしていないそうです。
「ママ友たちは気づいていると思いますが、さすがに耳のことを聞いてくるような失礼な人はいませんしね。もう結婚して子供もいるし、いい意味で前ほど気にならなくなりました。こういう風に思えるまでには時間がかかりましたけど(笑)」
結婚や出産という人生の節目が心境の変化を与えたのでしょうか。幸せを掴んだことでコンプレックスが解消されたのかもしれませんね。
―私のコンプレックス―
<文/トシタカマサ イラスト/とあるアラ子>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
トシタカマサ
一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
(エディタ(Editor):dutyadmin)