不倫には高い代償が付きもの。しかし、盛り上がっている男女にとってそれは大きな障害にはならず、ほとんどの場合は離婚や慰謝料という現実を突きつけられてはじめて後悔します。
「冷静に考えれば、そんなことはないのですが自分は絶対にバレない。きっと夫に知られることなく上手くやっていけるはずだ。あのときは真剣にそう思っていました」

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転勤が終わる直前、不倫がバレてしまった
不倫中の心境についてそう述懐するのは、自身の不貞行為が原因で4年前の秋に離婚した高野映美さん(仮名・42歳)。別れた夫は、大手メーカーのエリート社員。ほぼ3年おきの転勤があったとはいえ、収入は親子3人が暮らすには十分すぎるほどでした。
「その気になれば子供を私立の小学校に通わすこともできましたし、ほかの家庭より恵まれた環境にあったのは今ならわかります。けど、結婚してその生活を何年も続けるうちにそれが当たり前だと思ってしまった。あくまで夫の頑張りによって成り立っているものだったのですが、それを私が理解できていなかったんです」
約3年の九州転勤が終わりを迎えようとしているある日の夜、「大事な話がある」と夫から告げられます。
目の前には不倫相手と腕を組んで彼のマンションに入る様子のほか、ラブホテルに出入りする決定的な証拠の数々。探偵事務所による調査が行われており、もはや不倫の事実を否定することもできませんでした。
「終わったと思いました。以前から私の行動や態度に不審な点をいくつも感じていたそうです。まさか探偵を雇って調査していたなんて……」
親権は手放したくないと強固に主張しますが、小学生の娘を置いて不倫相手と密会を重ねていたこと、離婚後に彼女を養っていく生活力に不安があったことから夫が引き取ることになりました。
慰謝料は両親が立て替え、月5万円ずつ返済
「離婚したとき、娘は4年生で離婚の原因をちゃんと理解していました。自分と父親を裏切った私への怒りはすさまじく、『あなたなんか母親じゃない!』って。
夫と一緒に暮らしたいと言ったのは娘で、それが決定打になりました。離婚後は義実家で生活しているらしいのですが面会をずっと拒まれており、別れてからは一度も会えていません」
ちなみに慰謝料は元夫から200万円。不倫相手は既婚者だったため、その妻からも200万円、合わせて400万円を請求されます。
「慰謝料は両親が払ってくれましたが、あくまで立て替えてくれただけ。自業自得なのは承知していますが、この慰謝料の月々の返済が今の生活を圧迫する原因のひとつになっています」
本来なら財産分与で夫婦の共有財産から400万円近くを手にすることができましたが、映美さんはほとんど受け取っていません。実は、不倫相手の彼に貢いでいたのです。
「『嫁に財布を握られて自由に使えるカネがない』と話していたから力になりたくて。専業主婦だったから穴埋めすることなんてできないし、それが破滅への第一歩になっていたのに……」
離婚して転勤先の家を追い出されましたが、実家に戻ることは許されませんでした。かといって一人暮らしを始めるだけの蓄えもなかったため、見かねた両親から渡されたのは30万円。受け取る際には父親から「実家の敷居をまたぐことを許さない」と絶縁宣言されたそうです。
専業主婦で、時給の安いパートしか雇ってくれない
「母親からはたまに連絡が来ますが、父親からは一度もありません。そういうことにすごく厳しい人でしたし、祖父にあたる人は幼い父親と兄弟を残して出ていってしまい、かなり苦労したという話を聞いているので。だから、余計に私のことは許せなかったのかもしれません」
現在はショッピングモールの大型スーパーでフルタイムのパートとして勤務。給料は手取りで月14万円弱。これが映美さんの収入のすべてです。
「夫が『家にいてほしい』という人だったこともありますが、仕事をまったくしてなかった10年というブランクはあまりに大きかったです。独身時代は美容部員の仕事をしていましたが、離婚後雇ってくれるところはありませんでした。
また、パソコンを使った仕事の経験はほとんどなかったので、派遣も含めて事務系の求人には応募することすらできなかったんです」
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●映美さんの1か月の収支
収入
14万2000円
支出
5万円(慰謝料を肩代わりした親への返済)
4万6000円(家賃)
1万2000円(光熱通信費)
2万円(食費)
1万4000円(雑費)
収支
±0円
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現在は給料から慰謝料の返済に5万円、アパートの家賃が4万6000円でこれだけで収入の3分の2が消えてしまうとも。貯金する余裕なんてまったくなく、ここ1年は洋服を一着も買っていないそうです。
離婚前の映美さんの写真も見ましたが、現在は一気に老け込んでしまったような印象があります。生きていくのに必死でオシャレに気を遣う余裕なんてないのかもしれませんが、厳しい現実を突きつけられました。
今後の生活に希望が持てない
「でも、今はまだ親に借りた慰謝料を返済するという目標があるからいいんです。問題はその後です。
もう半分以上を返済して、残りは150万円ほどなのですが完済してしまったら私には目標がありません。子供と会うことも叶わず、女としても旬を過ぎてしまっています。何を張り合いにして生きていけばいいのかなって」
立替分の月額5万円という慰謝料の返済がなくなれば生活自体はラクになるでしょう。結婚中とまではいかなくてもオシャレや趣味にだってそれなりにお金を使うことはできるはずです。
しかし、彼女自身はそこに希望を見出すことはできないようです。
「今の生活は、自分が体調を崩したり病気になれば即破綻してしまう。さすがにそのときは両親が手を差し伸べてくれるかもしれませんが、自分ひとりではちゃんと立ってあるくことさえできないのが今の私なんです。結局、私は離婚するまで何もわかっていなかったんだと思います」
失って初めて気がつく不倫の代償の大きさ。彼女にとってそれはあまりに大きすぎたようです。
<文/トシタカマサ>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
(エディタ(Editor):dutyadmin)


