不思議な話を紹介してきましたが、今回は私自身がこの夏に体験したちょっと不思議な体験をお話させてもらおうと思います。
私は現在40歳なのですが、大学在学中に実父を亡くしています。あれから今年で19年。実家で暮らしていた頃は母とともによくお墓参りに足を運んでいたのですが、結婚して家を出てからはその機会もめっきり減ってしまっていました。
とてもとても罰当たりな話なんですが、実はこの10年ほどは法事のタイミングでもないと墓参りをしていないような状態でした。供養に熱心な母に丸投げしたまま、親不孝な娘だなあとは思いつつ、日々の忙しさにかまけていたのです。実際、今このことはめちゃくちゃ反省しております。
しかし今年、コロナウイルスという未知の禍が世の中を襲いました。70歳を迎えたうちの母はすっかりコロナ鬱になってしまい、家から外に出ることもままならない状態に。そんな中、7月7日に父の命日があったんです。毎年欠かすことない墓参りに今年は行けないという母からの要請で私が代役を務めることになったのです。
持っている線香から炎が上がった
法事以外で、しかも一人でお墓のあるお寺に行くのは実に10年ぶり。正直、お墓の場所もうろ覚えでした。お墓は父が亡くなった時に建てたのですが、当時は区画整理されたばかりの場所にあったのでわりとよく目立ってたんですよね。今はさすがに年月が経って周囲の墓の数が増大していたので「マジでどこなの」と本気で途方に暮れてしまいました。
それでもわからないなりに探してみようと墓をウロウロ。そして、あまり見覚えのない階段を上ろうとした時のことです。突然、手に持っていた線香から炎が上がりました。それはもう、本当に急に。細い煙をたなびかせていた線香が、ボワッと燃え上がったのです。
「え。これってもしかして、場所が違うってこと……?」

父の墓の場所を間違えるたび燃え上がった
そうなの?お父さん、と頭の中でその辺にいるかもしれない父に語りかけつつ。来た道を引き返すと、線香の炎は落ち着きました。
その後も私が場所を間違えるたび、叱咤するように線香は派手に燃え上がりました。それを頼りに探し続けると、目的のお墓にどうにかこうにか到着。もしかしたら、父はなかなか顔を出さない娘に呆れながらもナビゲートしてくれたのかもなぁと思っています。
ちなみにこの時、お参りをしながら「そういえば、うち去年マンション買ったんだよー。今年のお盆は実家じゃなくてうちに帰省すればー」とお墓に語りかけたんですよね。そしたら、本当に来たっぽいんです。まさにお盆に入る直前に。
耳元で名前を呼ばれて目が覚めた

深夜2時、内容はよく覚えていないのですが、私は悪夢にうなされてたんです。すると突然私の耳元で「○○っ!(筆者の本名)」と男の人から怒鳴られて、その声で目が覚めました。悪夢から助けてくれたんでしょうか。
その日からお盆中は、夫が出かけている家の中で男性のくしゃみがしたり、やたら物音がうるさかったりしたので、しばらく滞在してたんじゃないかなと思います。そしてこれからはお墓参りもちゃんと行くように。改めてこれまでの自分を懺悔したいと思います……。
―シリーズ「怪談・ゾッとする話/不思議な話」―
<文/もちづき千代子 イラスト/カツオ>
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もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。度を超したぽっちゃり体型がチャームポイント。
(エディタ(Editor):dutyadmin)
