全国各地で高温注意情報や熱中症警戒アラートが発表されるなど、猛暑が続いています。総務省消防庁のデータを見ると2019年5月から9月の全国における熱中症による救急搬送人員の累計は71,317人でした。
さらに東京都監察医務院によると、今年に入って都内で熱中症で亡くなった人は100人を超えています。
熱中症の搬送が相次ぐ危険な気候の中、「熱中対策ウォッチ」なる商品を発見。なんでも、時計のように腕に巻いておくだけで、熱中症の危険を感じるとアラームが出る商品とのことです。なんとも便利! さっそく商品を取り寄せて試してみました。
軽すぎてビックリ、これで本当に熱中症を防げるの?
届いた商品はいたってシンプルでパッと見、カジュアルなおしゃれ時計風のリストバンドです。

熱中対策ウォッチについている電池保護フィルムを剥がすと、起動音と緑のランプが点滅。マジックテープ式のバンドをペリペリッと腕に巻きつけて準備は完了です。ボタンを押して設定するなどの操作は一切ありませんでした。

めちゃくちゃ簡単! そして軽い! あまりにも軽すぎるので、これで本当に熱中症が防げるのかやや心配になるほどです。
熱中対策ウォッチに内蔵された「熱ごもりセンサー」が、体内にたまっている熱を感知して、熱中症のリスクを感じたら光と音でアラームを出してくれるとのことです。
装着をしたまましばらく過ごしてみることにしました。3ヶ月使い切りで税込3,300円。期待が高まります。
アラームが鳴らずにやや物足りなさを感じる
熱中対策ウォッチをしたまま屋外で洗濯物を干したり、炎天下の中を歩いたりといつもどおりの生活を送ります。誰かに、この熱中対策ウォッチの話をしたくてウズウズするのですが、あまりにも違和感のないビジュアルのため、会う人誰からも「何それ!?」と突っ込まれることもなく、話ができません。
ていうかアラームが鳴らない。でも、アラームが鳴るということは熱中症のリスクがあるということだから、鳴らなくていいのか。けれど、鳴らないとなんとなく物足りない複雑な気持ちになります。正常に起動していますよ、という合図である緑のランプは定期的に点滅しているので問題はない様子。
そんなこんなで熱中対策ウォッチを眺めていると、「そもそもこれってどういう仕組みでアラームがなるの?」「なんで使い切りなの?」といろんな疑問が湧いてきます。そこで、思いきって、熱中対策ウォッチを開発した会社に話を聞いてみることに。
Biodata bank株式会社の代表取締役・安才武志さんを取材しました。
実験では180件のアラームが鳴った
熱中対策ウォッチのことも聞きたいのですが、そもそも「Biodata bank株式会社」って、一体どんな会社なんですか。
「わたしたちは各種センサを利用した商品の開発・提供をする会社で、医師やアルゴリズムの研究者、臨床工学技士など専門分野をもったメンバーが在籍して、日々商品の開発をしています」(安才武志さん、以下同)
専門家集団のような会社なんですね。公式HPに、世界7カ国で約4,000人を対象に「熱中対策ウォッチの実証実験した」とありましたが、規模もすごいですね。
「熱中症という社会問題に対し、私たちの技術で貢献していきたいという思いで、環境省から事業を委託され、実証実験を行いました。ちょっとした外出から部活動、テーマパーク、屋内での作業にいたるまでありとあらゆるシチュエーションを想定しています。その中で180件のアラームが鳴り、その後水分補給や涼しい場所に移動するなどの対応をしたことで、熱中症を一人も出すことなく実験を終えました」
環境省の事業の委託を受けているんですか!
「環境省は、『熱中症予防対策ガイダンス』を新たに作る取り組みをしているのですが、熱中症予防対施策の一つとして、個人がウェアラブルデバイスを身につけることで事前に熱中症を防ぐ取り組みを一緒に検討しています」
どんな仕組みでアラームは鳴るの?
私も実際に熱中対策ウォッチをつけて生活をしているんですけど、全然アラームが鳴らなくて、「これ本当に鳴るのかな」って不安になるんですけど、危険になったらちゃんと鳴るんですよね?
「危険を感知した場合は、もちろんアラームが鳴ります。日常生活レベルの活動であれば、アラームが鳴ることはあまりないです」
本体があまりにも軽いので、どういう仕組みで熱中症を事前に感知してくれるのか気になってしまいます。どのような構造でアラームが鳴るのでしょうか。
最新技術「熱ごもりセンサー」で危険を感知

「わたしたちの体は通常、体内に熱がこもると汗をかいたりして、体の中の熱を外に出しています。熱中症は体内にこもった熱が、うまく放出されない状態で起こるのですが、熱中対策ウォッチに内臓されている『熱ごもりセンサー』は、体にたまった熱が危険値に達するとアラームが鳴る仕組みになっています」
「熱ごもりセンサー」とは初めて聞きました。
「はい、わたしたちが新しく開発したものです。身につけることで体の熱を検知できる、今まで世の中になかった新しいセンサーなんです」
“3ヶ月使い切り”に込められた意味
こんなに軽量なのに、すごい技術がつまっているんですね。3ヶ月使い切りというのがもったいなく感じてしまいます。
「お年寄りから子どもまで、誰でもどこでも、簡単に確実に使える製品にすることが、一番重要なことだと考えてシンプルな設計にしました。永久に使える製品にするとなれば充電式にしなければならず、充電中は使用できません。
さらには操作も複雑になり、万が一充電が切れてしまったり誤操作をしてしまっては、使いたいときに使えず意味がなくなります。その結果、3ヶ月使い切りという形になったんです」
たしかに、電池保護フィルムを剥がして腕につける以外、なんの操作もしていません。使う人のことをとことん考えた製品だったんですね。
コストを抑えるメリットもある
「気軽に使ってもらうためには、購入のハードルを下げる必要があると考えていました。一夏使えるように3ヶ月という使用期間に設定して、使い切りにすることでコストもおさえています」
たくさんの人に使ってもらって、熱中症で倒れる人をゼロにしたいという熱い思いを製品から感じます。ちなみに今年は梅雨が長かったのですが、商品の売れ行きはいいのでしょうか。
「おかげさまで、ここ数年の猛暑で需要はどんどん増えています。建設現場などで働く方を中心に、法人から個人まで多くの方に使用していただいています」
最初は「体内に体温計を埋め込むしかない」と言われた
腕にまいて熱中症を予防するという、今までにない形の製品ですが、なぜ熱中対策ウォッチを開発しようと考えたのですか。
「暑さ対策について調べていたときに、『塩飴をなめる』『水分を摂る』といった対策が主流であると知りました。熱中症で搬送されたり亡くなる人が増えている中で、私たちの技術を応用して、新しい切り口の熱中症対策の商品を開発しようと思ったんです」
たしかに、熱中症はなってしまってからでは手遅れなものの、予防するのが難しいです。
「開発当初は、専門家の先生に『熱中症を予防するためには、体内に体温計を埋め込むしかない』と助言をいただいたんです。それから3年間実験や実証を重ね、無事商品化することができました。
未知の商品の開発だったのですが、熱中対策ウォッチが誰かを救う、誰かの役に立つ。メンバー全員その思いでここまでたどりつきました」
身につけることで、個人で熱中症を予防できる新しい熱中症予防対策。驚くほど軽くシンプルなビジュアルにつまった、開発者の熱い思いと最先端の機能に脱帽です。身近な人にちょっとしたプレゼントとして送るのにも最適かもしれません。
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Biodata bankの「熱中対策ウォッチ」とは暑熱下のリスクを検知し、暑熱下で一大事になる前にアラーム&LED表示で知らせする使い切りのウェアラブルデバイスです。“一大事”になる前にリスクがあることをアラーム&LED表示でお知らせし、水分補給や涼しい場所での休息を促します。
<文/瀧戸詠未>
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瀧戸詠未
ライター/編集者。趣味は食べ歩き・飲み歩き。
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