あっという間に、季節は夏。40℃に迫る日もある中、“ペットの熱中症”も不安ですよね。とくに普段からあまり水を飲まない猫ちゃんは要注意! 飼い主が気付かないうちに、体調を崩してしまうことも多いのです。では、愛猫を夏の暑さから守るためにはどうすればよいのでしょうか?
自ら水を飲みたがらない猫が多い
ツイッターで獣医学に基づいた猫や犬の飼い方情報を発信している、獣医/研究員のにゃんとす先生(@nyantostos)によると、猫が水をあまり飲まない理由には生まれ持った遺伝子が関係しているそうです。

「現在ペットとして飼われている家猫の祖先は砂漠に住んでいた『リビアヤマネコ』という種類で、猫たちは祖先の遺伝子や習性を今でも受け継いでいると言われています。
水の少ない砂漠で暮らしていたリビアヤマネコは、ネズミなどの小動物を通じて水分を摂取していました。獲物を食べることで必要な水分を補っていたのです。その習性を引き継いでいるからこそ、猫は今でも『喉が乾いたな、水を飲もうかな』という気持ちが湧きにくいのではと考えられています。
水を飲む、飲まないは猫の種類によって大きな違いはなく、基本的には自ら水を飲もうとしない子が多いですね」(獣医にゃんとす先生、以下同)
なんと、猫は喉の乾きや水分を摂りたいという欲求を感じにくいのだそう。しかし、そうなると心配なのが水分不足による熱中症。どうにか水を飲んでもらうために、飼い主はなにができるのでしょうか?
水分不足には、ウェットフードにする、水の器を工夫する…
「水分摂取量が少ないと夏場の熱中症はもちろん、膀胱炎や腎臓病などになりやすくなってしまいます。積極的に水を飲ますために飼い主さんの工夫が必要になるでしょう。効率良く水分を摂らせたい場合には、『ウェットフード』への切り替えがおすすめ。水分量が10%前後のドライフードに比べて、ウェットフードは70~80%の水分が含まれています。祖先であるリビアヤマネコの頃と同じように、食事によって無理なく水分を補給できますよ」

「“ウェットフード=おやつ”とイメージしている方も多いかと思いますが、総合栄養食と表示されているものであれば生きていくための栄養がまんべんなく入っているので安心です。」
猫に水を飲んでもらう方法としては、他にも
・水は室温に近い温度にする(猫は冷たい水が嫌い)
・水を入れるボウルは、高さがあって広口のものにする
・水は餌の横だけでなく、何ケ所に置く
などなどがあって、にゃんとす先生のブログ「げぼくの教科書」でも詳しく解説しています。
エアコン温度は25~28度、その子が快適な温度を探って
真夏の室温は“外気+5℃以上”にもなると言われています。猫の健康を守るために室温は何度に設定すべきなのでしょうか?

「猫の場合にはエアコンの設定温度は25~28度、湿度は50%くらいが最適。最高温度を下げてあげるイメージで、常に一定の室温にしてあげてください。
エアコンでなく『扇風機で風を当てたら大丈夫でしょ』と考えている飼い主さんも多いですが、猫は人間のように汗をかいて体温を調整する機能がありません。汗の出る汗腺も肉球にしかないので、扇風機からの風が当たっても涼しさを感じないんです。
熱中症対策、暑さ対策を考えるのであれば、やはりエアコンで室温を一定に保つのがベストですね」
猫も冷房病に?エアコン嫌いな子への対処法
エアコンの冷たい風にずっと当たっていると、人間は体のダルさを覚えることも……。同じように猫も“冷房病”になるのでしょうか?
「クーラーによって冷房病のような症状が出るかどうかは厳密には解明されていませんが、エアコンが苦手な子もいるはずです。体調を崩さないためにも、愛猫の様子をよく観察しながらら、その子にとっての快適な温度を探してあげるとよいでしょう。
猫は自分が心地良いと感じる空間に足を運ぶので、エアコンの効いた部屋を用意したうえで、お風呂場や他の部屋へ移動できるようにしておくのもおすすめです。お留守番中ケージにいれておく場合には、エアコンの風が直撃していないか注意しましょう。エアコンが苦手な猫ちゃんの場合には、ひんやりシートやひんやりベッドを用意してあげるのも一案です」
お風呂やトリミングは、あえてやらなくてもいい
水嫌いで知られる猫を入浴させるのは至難の業。引っ搔きや大暴れをどうにか収めながら、お風呂にいれた経験をお持ちの飼い主さんも多いはずです。では、夏場の暑い時期、サッパリさせるためにも猫はお風呂にいれるべきなのでしょうか?

「基本的にお風呂に入れる必要はないと思います。もともと大半の猫は水が大嫌いなので、水を少し浴びただけでも強いストレスを感じてしまいます。大きな負担とストレスを与えてしまうことなので、『暑いからサッパリさせてあげたい』という理由でお風呂に入れる必要はありません」
猫はかなりのキレイ好き。グルーミングによって自らの毛や皮膚をきれいに保っているので、よほど汚れが目立つとき以外には無理に入浴させなくてよいのだそう。
では、最近よく見る“ライオンカット”(胴体の毛を短く刈り込む)については?
「猫のトリミングについては獣医師界でも賛否両論ありますね。体温調節の関係で夏場はカットしてもいいと言う獣医もいれば、グルーミングできないことによるストレスを心配する獣医もいます。
もともと猫は1日の多くをグルーミングに費やしているので、毛を刈ってしまうとどうしても違和感やストレスを覚えてしまいます。絶対にやってはダメ!という理由はありませんが、個人的には、毛のカットはせずに部屋の温度を一定に保ってあげるだけで十分だと考えています」
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<取材・文/山本杏奈>
獣医にゃんとす
一匹の猫と暮らす獣医師。元臨床獣医で、現在は研究員。猫についての有益な情報や最新の獣医学研究を発信中。(個別の健康相談はご遠慮ください)Twitter:@nyantostos ブログ:げぼくの教科書
(エディタ(Editor):dutyadmin)
