世の中ではソーシャルディスタンスが叫ばれていますが、人間関係でも距離感って大事ですよね。
「物理的距離はちょうどいいんですけど、問題は心理的距離なんです」
と苦々しい表情で語るのは、まだ新婚の高橋エリさん(33歳・仮名)。
夫と二人で暮らす都内のマンションと義実家とは、電車で一時間半程度の距離があります。近すぎず、遠すぎないというこの距離は、お盆やお正月に気軽に顔を出せて、なおかつ日帰りできる――エリさんにとってはちょうどよい距離。でも……「義母がやたら距離を詰めたがる人だってことが発覚したんですよ」
新婚旅行に同行しようとした義両親
エリさんは、義母の発案で作られた<義両親+エリさん夫婦>の計4人のLINEグループに入っています。このLINEグループが誕生したのは、義母からのとある提案をエリさんが退けた頃のことでした。
「義母に、『新婚旅行先が決まってなかったら、私達と4人でグアムはどう?』って言われたんです。絶対有り得ないですよ。なんで新婚旅行に一緒に参加しようとするのかわからない。断固拒否です。もちろん、言い方は気をつけて、やんわりと断りましたけど」
夫はといえば、まるで伝書鳩のように義母の発言をエリさんに伝えるだけ。「『かあさんが一緒に行きたいって。どうする?』って。脱力しました。どうする? って、いやいや(笑)」
とはいえ、あくまで義両親を嫌っているわけではないエリさんには、当然ながら義両親と仲良く良好な関係を築きたい気持ちがありました。だから、「4人のLINEグループを作りたい」という、これまた夫づてに聞いていた義母のこの希望は受け入れることにしたのです。
「4人で行く新婚旅行を断ったので、代わりってわけじゃないけど……LINEグループを作るのはいいかなって思ったんです。電話よりLINEのほうが気楽だし、連絡を取り合える状態にしておくのには賛成だったので」
義母から3日に1回は雑談LINEがくる
こうして作られた4人のLINEグループは、義母によってつけられた「高橋ファミリー」という名前で稼働開始。「何か必要なときには連絡くださいね」という義母からのメッセージに、エリさんは丁寧に返信しました。
「『はい、こちらこそ、何かあればいつでもご連絡ください。よろしくおねがいします』と。義母がかわいいもの好きだと聞いていたので、かわいいキャラクターのスタンプも合わせて送りました。そのときは、それでやりとり終わって」
夫いわく、義父は普段からあまりLINEを使わないとのこと。4人のグループLINEではありますが、実際にやりとりするのは義父以外の3人だろうと思ったというエリさん。あくまで何かあったときのためのLINEグループという認識でいたのですが……。
「そしたら、3日に1回くらい義母からLINEくるんです。雑談。写真付きで、『今日はパート仲間からこんなお菓子もらいました。ダイエット中なのに~』とか、『恋つづ見てる~? 佐藤健カッコいい~!』とか。えー、こんなLINEまでしてくるの? って感じで……」

返信が遅いことを夫に泣きついた義母
はじめはすぐに返信するように心がけていたエリさんも、次第に余裕を見つけてあとでの返信をするようになっていきました。
するとあるとき、夫から「もう少しLINEの返信早くしてあげて」と言われ、よくよく話を聞くと「母さんが気にしてるから」とのこと。なんでも、「エリちゃんに嫌われたのかな」「エリちゃんからまたスルーされてる」など、夫に泣きついていることが発覚したのです。
「そんなにマメに対応できるわけないじゃないですか、仲良い友達じゃあるまいし……。って言うと、夫も『仕方ないね』って理解してくれはするんですけど、また義母から何か言われると、『もう少しLINE返してあげてよ』って言ってきますね」

こんどは疑問文ばかり送ってくる義母
夫も板挟みで大変ですよね、とエリさんは笑って続けます。
「なので今はもう、スタンプで返すようにしてます。テキストで返すと、やりとりが続いちゃうのもあるし。スタンプならすぐ返せるので。
ただ、本当に必要な連絡の場合は、ちゃんと丁寧にテキストで返します。でも雑談LINEがきたらすぐ、基本スタンプだけ返す。そこは、メリハリを意識して」
そうすることによって、義母はというと、テキストでの返信を期待してなのか疑問文ばかりを送ってくるようになったのだそう。
それでもエリさんは、かわいいスタンプを多用し、なんとかごまかして対応しています。義母がこれ以上距離を詰めてくることのないよう、牽制(けんせい)の意味を込めてーー。
こうしてエリさんは今日も、義母との適切な心理的距離を死守しています。
―義理実家とのバトル―
<文/船田ゆかり イラスト/とあるアラ子>
(エディタ(Editor):dutyadmin)
