日に日に暖かさを増す春の季節。爽やかで気持ちのいい季節ですが、アトピー肌の方にとっては油断できない時期でもあります。昼夜の寒暖差の激しさや、花粉や黄砂、強さを増す紫外線など、この時期ならではの悪化要因があります。春は肌への様々な刺激が増してくる季節ということを認識し、まずは、基本のアトピーケアをしっかりおさえておくことが肝心です。
刺激から肌を保護すること、そして肌のバリア機能を高め、肌の炎症やかゆみを予防していきましょう。こちらでは、特に保湿ケアと、紫外線ケアについて、基本に立ち返りご説明していきたいと思います。
保湿ケアの基本「バリア機能を高める!」
保湿ケアは、アトピーの方でなくてもスキンケアの基本ですが、アトピーを悪化させないための重要なケアです。肌の潤いを保っている角質層は、レンガのように積み重なった角質細胞と、その間をセメントのように埋めている細胞間脂質からなっています。細胞間脂質は潤い成分セラミドからなり、セラミドが不足すると肌は乾燥し、角質細胞もはがれやすくなってしまいます。
また、外部刺激から肌を保護するバリア機能も低下するため、ウイルスや細菌などの侵入を許してしまいます。アトピー肌の方は、健康な方に比べて角質層に蓄えられているセルミド量が不足していることもわかっています。肌の乾燥や肌荒れ防止、そして外からの刺激に対して保護する意味でも保湿ケアは重要です。
「アトピーの保湿ケアは肌に合わせて柔軟に!」
保湿ケアにもいろいろありますが、アトピー肌の状態をよく見極めて、皮膚に合ったケアをしていくことが大切です。一様に化粧水や乳液を塗っていくのではなく、じゅくじゅくとした炎症を起こしていると膿痂疹(のうかしん)やヘルペスを引き起こす可能性があるので皮膚科に相談しましょう。カサカサに乾燥している部分があれば保湿ケアの最後にクリームを使うなど、適材適所で使い分けをしていきましょう。
また、低刺激のアイテムを使用することもポイントですが、セラミドやヒアルロン酸など、肌が必要としている保湿成分を補うことも大切です。肌の調子のよい時にも手を抜かず、地道なケアを続けましょう。
紫外線による悪影響とケアの基本
紫外線が肌に悪い、美肌を損ねるとはよく耳にしますが、具体的にどのような悪影響があるのか、こちらでおさらいしておきましょう。紫外線の悪影響は1つや2つではありません。正しく認識し、しっかり対策していく必要があります。

◇肌のバリア機能を破壊し、肌内部の水分が失われやすい状態になります。
→肌の乾燥はアトピー症状を悪化させます。
◇肌が赤くなる日焼けは、角質細胞や遺伝子を傷つけ、肌は炎症を起こしている状態です。遺伝子の修復が追いつかないと、癌を引き起こす場合もあります。
→日焼けによる炎症物質は、アトピー肌には大きな刺激となり、アトピー悪化に繋がります。
◇紫外線から肌を守るために生成されるメラニン色素が色素沈着を起こし、放っておくとシミやくすみになります。
◇真皮層のコラーゲン繊維が傷つき、肌の弾力性や柔軟性が失われます。
◇紫外線を目に浴びると、目の奥にある水晶体のタンパク質を変性させ、白内障を引き起こす可能性があります。
早くから取り入れたい紫外線対策
紫外線は一年を通して地上に降り注いでいます。特に春先から紫外線量は増加していきますので、春〜夏にかけては慎重な紫外線対策が必要です。不要な外出は控え、紫外線をなるべく浴びないようにするのも一つの対策ですが、外出しなければならない場合は、2重にも3重にも紫外線対策を施すようにしましょう。
◇日焼け止め
→外出先や目的によって、PA値(UV-Aを防ぐ指数)やSPF値(UV-Bを防ぐ指数)の丁度良いものを使用します。赤道付近や標高の高いところでは紫外線が強まりますし、雪上や砂浜も反射によって紫外線を多く浴びるため注意が必要です。また、日焼け止め自体も肌に刺激となるため、アトピー肌用のものや、なるべく肌に優しい成分で肌に合うものを使いましょう。一般に、日焼け止めを薄くのばしすぎて思った通りの効果が得られていない場合が多いため、気持ち厚めに、ムラなく塗り、汗をかいたりしたらマメに塗り直しましょう。
◇日傘・帽子
→日傘をさしたり、つばの広い帽子を被るのも有効です。熱さが厳しい季節では、衣類での紫外線対策は汗ばんだり蒸れたりしてアトピーを悪化させるリスクがあるため、日傘や帽子と組み合わせる方法がオススメです。
◇長袖やアームカバー
→UVカットの衣類を着用して、全身の紫外線対策をしておきましょう。ただし、繊維の詰まったものや黒い素材は紫外線を通しにくい反面、熱もこもりやすくアトピー肌ではかゆくなる恐れがあります。風通しのよい素材を重ね着するのもよいと思います。
(この記事の監修: 千春皮フ科クリニック 院長 / 渡邊千春 先生)