映画『雨にゆれる女』出演・大野いとの意外な素顔
理美は自分とは正反対の女性だった
半野監督はもともと音楽家として活動されている方なので、まずはこれまで制作された楽曲をたくさん聴きました。そのなかで「夢の匂い」っていう曲が『雨にゆれる女』のイメージにぴったりで。理美の役作りに活かせると思って、ずっと聴いていました。半野監督ご自身にも、セリフや行動の意味をたくさん質問して、一緒に理美という役を作り上げていったんです。
── 理美を演じるうえで、とくに難しかったところはどこですか?
発作のシーンはとても難しかったです。本で勉強したんですが、実際に発作を起こすと息ができないぐらいでとても辛いらしくて。それを表現できているかたくさん悩みました。
それと、半野監督に、理美は健次の前では素の自分を見せないから、素の理美と健次の前の理美、ふたつの人格を作ってと言われて。セリフの言い回しからささいな動作まで、素の理美ならこう、健次の前ならこう、とひとつずつノートにまとめて演じ分けました。
── かなり難しい役だったんですね。理美と大野さん自身に共通点はあったんでしょうか。
もう、皆無に等しいくらいなくて…! でも、だからこそすごくやりがいのある役でした。自分と正反対の役だからか、予告編をみた家族や友だちの反応がこれまでの作品とはまったく違って。みんな絶対観に行くって言ってくれているので、女優として少し進歩できたのかなと思います!
── 健次役の青木崇高さんとは撮影中どんな話をされたんですか?
実は撮影中、役として以外はまったく会話をしなかったんです。お互いずっと理美と健次だったので、私は青木さんに対して負の感情の方が大きかったです。クランクアップのあとに「ありがとう」とハグをしてくれていろいろお話したんですけど、健次とぜんぜん違う、ギャップがすごい!って思いました(笑)
── すごく緊張感のある現場だったんですね…! 完成した作品をご覧になってどうでしたか?
半野監督をはじめ全てのスタッフさんも、キャストの方々も、みんなが作品に対してものすごくこだわって、真摯に向かい合っていた現場だったので、完成したものを観たときは本当に感動しました。姉と一緒に観たんですけど、いつもはズバズバダメ出ししてくるのに、めっちゃよかったって言ってくれて。こんな素晴らしい作品に関われて、うまく言い表せないくらい幸せです。
ファッションはシンプルに!食べることも大好き!
はい! すごく仲良しです。でも、みんな私に対して毒舌で。Instagramの写真もアップするたびに家族からダメ出しがくるんですよ。母に変化がないとおもしろくない!って言われたのもあって、いまは髪を伸ばしてます。
── 大野さんのInstagramは、飾らない感じがしてすごく素敵だなと思います!
うれしい! ありがとうございます。でも、本当はもうちょっと飾りたいんですけど(笑) これからは、私服の写真をもっと上げたいですね。最近は帽子を集めるのにハマってるので、1番のお気に入りを載せました。でも実は、この間ご飯屋さんに置き忘れちゃって。自分で自分にちょっと呆れました…。
── ファッションやメイクにこだわりはありますか?
ファッションは、シンプルなものが好きです。これからの季節なら、ワンピースにタイツを合わせて、上から大きめのジャケットを羽織るとか。そこに、アクセサリーや小物を加えて、ちょっとかわいく仕上げるようにしてます。メイクは、ふんわりした雰囲気のものが好きです!
── 大野さんはスタイルがいいから、シンプルなものがすごくよく似合いますよね! 『雨にゆれる女』のなかでもすごくキレイで、見とれてしまいました。スタイル維持のために何か心がけていますか?
ありがとうございます。モデル時代は食事制限をしたこともあったのですが、あんまり身体によくないなと思い、今はストレッチをしたり、水をたくさん飲んだりするようにしています。食べることが大好きなんですけど、『雨にゆれる女』のときは、撮影がはじまる1ヶ月前くらいからずっと、大好きなお菓子を我慢していました…!
女優として成長して、いつかサロメを演じたい
ワークショップに参加したときに、自分の経験だけで演じられる役はほとんどないって言われたのがすごく印象に残っていて。それから本や新聞を読んでいろいろな知識を自分のなかに取り入れるようにしています。
── どんな本を読むんですか?
最近読んだなかで1番印象に残っているのは『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』っていう作品です。米原万里さんが書かれたノンフィクションのエッセイです。普通「真っ赤な嘘」っていうのに、「真っ赤な真実」って不自然なタイトルじゃないですか。その意味がわかった瞬間にぶわーって全身に鳥肌が立つほど感動しました。思い出したらまた鳥肌が立ってきた……!
── 女優としての表現力をどんどん磨いていっているんですね。今後挑戦してみたい作品や役はありますか?
私、中学生のころまで出版社で働くのが夢で。だから『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』にすごくハマってるんです。私もいつか、出版社を舞台にしたドラマに出演できたらいいなと思います。それから、舞台にも立ちたいです。いま1番出たいのはオスカー・ワイルドの『サロメ』! 残酷だけれど、とても美しい物語で、本当に魅力的なんです。
『雨にゆれる女』は切なくて哀しい物語ですが、陰鬱とした雰囲気というわけではなくて、とても美しい映画に仕上がっています。理美も哀しい運命を背負った女性ですが、それでもいまを必死に生きていて…。だから、落ち込んでいたり、悩みを抱えていたりする人にこそ観てほしいです。きっと心に響いて、背中を押してくれる作品になっていると思います。