
今まで何回もダイエットをしたけれど、なぜかいつもリバウンドをしてしまう……。
そんな悩みを抱えている人は少なくないのでは。
ダイエット経験者のうち、6割以上の人はリバウンドの経験があるといわれています。
せっかく頑張ってダイエットをしても、リバウンドをしたら努力が水の泡。
それどころか、ダイエットとリバウンドを繰り返すうちに痩せにくい体質になることも。
今度こそリバウンドしない痩せ方ができるように、まずはどうしてリバウンドしてしまうのか、そのメカニズムをしっかりと理解してから臨みましょう。
リバウンドの原因1:体のメカニズム

そもそもリバウンドとは、ダイエットをやめた後に、ダイエットをする前の体重に戻ったり、ダイエット前よりも体重が増加したりする現象です。
では、なぜリバウンドするのか……。
リバウンドとは単に体重が元に戻ってしまうのではなく、実はホルモンや体内の環境を一定に保つ体のメカニズムが関係しているのです。
■ ダイエットと停滞期
ダイエットを始めて、順調に体重が落ちていき喜んでいるのも束の間、「停滞期」に突入することがあります。
停滞期とは、いくら食事制限や運動をしてダイエットしても、体重が落ちない時期のことです。だいたいダイエットを始めて数週間〜1か月くらいで、停滞期を経験する人が多いようです。
停滞期の期間は、個人差で異なりますが平均的に見ると約1か月ほど続きます。
食べたいものを我慢しているのに、1か月も体重に変化がないなんて……と考えるだけでも辛いですが、_この時期に我慢してダイエットを続けられるかどうかが、リバウンドしない痩せ方の秘訣のようです。
ある程度は体重が落ちても、それ以上に体重の変化がない場合、もうダイエットをやめてしまおう、と思う人も少なくないでしょう。
実際、停滞期にダイエットを諦めてしまう人が多く、これがリバウンドにつながってしまう原因に。
ダイエットにおける停滞期は、人間が生きていくうえでむしろ「必然」ともいえる現象で、それには体のメカニズムが関係しています。ここから体のメカニズムについて、くわしく見ていきましょう。
■ 体内の環境を一定に保つ「ホメオスタシス」

高校で生物を選択していた人は、「ホメオスタシス」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
このホメオスタシスは、ダイエットにも深く関係していますので、今一度、おさらいをしてみましょう。
□ ホメオスタシスとは?
私たち人間の体には、「ホメオスタシス(恒常性維持)」という機能があります。
これは、体の状態を一定に保つ機能のことです。
例えば、あるホルモンが分泌されると、今度はそのホルモンが多くなり過ぎないように、ホルモンの分泌が抑制される機能がはたらきます。
また、寒い場所や暑い場所に行っても体温が一定に保たれるのは、ホメオスタシスのはたらきによるもの。
ホメオスタシスのおかげで、ホルモンの濃度や体温が一定に保たれるわけです。
□ ホメオスタシスとダイエット停滞期の関係
ホメオスタシスは、体内で良いはたらきをてくれるばかりではありません。ダイエットにおいては、停滞期の原因になることもあるのです。
食事制限をして、摂取カロリーが減り体重が落ちることで、私たちの脳は「飢餓状態」だと判断します。

そこで発動されるのが、ホメオスタシスの機能。
これ以上、体重が減少しないようにエネルギーの消費を抑え、食事から少しでもエネルギーを摂取しようとはたらきかけます。
体重に変化が見られない停滞期は、まさにこの状態なのです。
【停滞期でダイエットを諦め食事量を元に戻した場合】
しばらくはホメオスタシスの機能がはたらいているため、エネルギー消費は抑えられている状態です。
そこに、食事量が元に戻ると通常よりも栄養吸収が高くなり、脂肪が蓄積されやすいという結果になります。
これがリバウンドの起こる原因です。
■ 食欲抑制ホルモン「レプチン」
ここで、もうひとつ忘れてはいけないのが、「レプチン」というホルモン。
あまり聞き馴染みのないホルモンかもしれませんが、食欲に関係する重要なホルモンです。
□ レプチンとは
肥満細胞から分泌されるレプチンには、さまざまなはたらきがありますが、ダイエットに関係するおもなはたらきは以下の2つです。
【食欲を抑制】
レプチンが分泌されると、満腹中枢が刺激され、満腹感を得ることで食欲が抑制されます。
【エネルギーの消費を促す】
筋肉や肝臓などにエネルギーの消費を促すようはたらきかけ、脂肪が蓄積されることを防ぎます。
□ レプチンの分泌量が減少
ダイエット時に食事を制限すると、その分レプチンの分泌される量が減少します。
また、一度レプチンの分泌量が減ると、通常量のレプチンが分泌されるようになるまで、およそ1か月ほどかかってしまうのです。
停滞期に体重が落ちないからとダイエットを諦め、ダイエット前の食事量に戻しても満腹感がなかなか得られないため、余計に食べ過ぎてしまう結果に。
また、レプチンの減少でエネルギーの消費量が低くなるため、リバウンドしやすい体になってしまいます。
体のメカニズムを知ると、リバウンドしてしまう理由がわかりますね。
リバウンドの原因2:ストレス

実は、精神面がリバウンドに影響することもあります。
「意志が弱いからリバウンドするのでは?」と思った人もいるかもしれませんが、私たちの体はそれほど単純ではありません。
■ ストレスとセロトニン
「セロトニン」というホルモンは、最近よくテレビなどでもたびたび取り上げられているので知っている人も多いかもしれません。
セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、心の不安や緊張を和らげてくれるはたらきがあります。
そのほかにも、セロトニンには以下のようなはたらきがあります。
セロトニンが存在している体の部位とはたらき
・消化管 : 消化管の運動を促す。
・血液中の血小板 : 出血したときの止血の作用となる。
・脳 : 不安の緩和や痛みを抑える。自律神経を整え、意欲的になる。睡眠を導くメラトニンを合成する。
仕事のストレス、人間関係のストレスなど、私たちの生活でストレスを受ける機会はたくさんありますが、ストレスはセロトニンの天敵。
ストレスが過剰になると、脳内のセロトニン分泌量が減少してしまいます。
□ セロトニン不足で起こるトラブル
脳内のセロトニンが不足すると、体には様々なトラブルが発生することに。
脳内セロトニン不足が起こす主な体のトラブル
・精神的不安定な状態(うつ病など)になる。
・自律神経失調症になる。
・寝覚めが悪くなる。
・体のあちこちに痛みを感じる。
上記を見てみると、セロトニン不足とダイエットはあまり関係がないように思えますが、セロトニンは食欲に関係しているため、不足するとリバウンドしやすいといわれています。
□ ストレスによる過食
何となく気分的に疲れたとき、どうしても甘いものが食べたくなったり、ガッツリお肉を食べたくなったりすることはありませんか?
これは、甘いものや肉類を食べることで、一時的にセロトニンの分泌が増えて気持ちが落ち着くからです。
ストレスが溜まると、体のなかは以下のような状態になります。
ストレスが過剰 ⇒ 脳内のセロトニンが不足 ⇒ 甘いものを食べることで一時的にセロトニン増加 ⇒ 気持ちが落ち着く ⇒ 一時的に増加したセロトニンが減少 ⇒ また甘いものが食べたくなる ⇒ 過食により太る
例えば、停滞期に入り、ホメオスタシスの機能が発動し、エネルギーの消費が抑えられている状態で過食に走った場合を想像してみてください。
リバウンドへまっすぐ突き進むようなものですね。
このように、ストレスはリバウンドしやすい状態にしてしまうのです!!
リバウンドしやすい痩せ方

ここからは、リバウンドしやすい痩せ方についてをお話しします。
リバウンドしないためは、以下の3つの痩せ方は避けた方が賢明です。
■ 食事制限のみ
あまり運動が好きではない人や、運動をする時間がない人は、ダイエットをするなら「食事制限するしかない」と思うでしょう。
しかし、極端に食事を制限すると、栄養不足となり、先ほど述べたように脳が飢餓状態だと感じます。
これによって、ホメオスタシスがはたらき、体のエネルギーを少しでも蓄えようと機能するのです。
また、食事制限で栄養バランスが悪いと、筋力も低下するため、基礎代謝が落ちてしまうことに。
さらには、好物をセーブすることでストレスが溜まる原因になり、我慢しきれず反動でドカ食いをする原因になりリバウンドします。
食事制限のみのダイエットは、リバウンドしやすい体になってしまうといっても過言ではありません。
■ 短期間の急激な体重減少
短期間で急激に体重を落とすと、脳がこれ以上痩せと危険だと判断し、ホメオスタシスを機能させ、停滞期を迎えることになります。
そして、急激に体重が減少したことでダイエットに満足し、停滞期を迎えるとストレスを感じて痩せにくくなり、やがてダイエットを止め元の生活へ……。
その結果、通常よりも摂取カロリーが多くなり、満腹感を得られず過食をしてリバウンドすることも。
長時間かけてゆっくり減量していくダイエットが、リバウンドしない痩せ方のコツのようです。
■ 食事回数を減らす
食事の回数が減ると、レプチンの分泌量が低下し、満腹感を得にくくなります。
そのため、満腹感が得られないことにより、1回の食事でついつい食べ過ぎてしまうことに。
こうしたことから、3食しっかり食事を摂る方がリバウンドしにくくなります。
リバウンドしにくい痩せ方

さて、ここからが本題です。
リバウンドしにくい痩せ方を知り、自分に合わせて取り入れてみましょう。
■ 運動をして筋肉をつける
理想的なダイエットには、やはり運動が欠かせません。
そのなかでも運動プラス食事制限をする場合、特に筋肉をつけることを意識してする必要があります。
それは、先ほども述べたように食事制限を行うことで、筋肉まで落ち基礎代謝が落ちてしまうから。
リバウンドしにくい痩せ方ができる、運動方法を2つご紹介します。
□ インナーマッスルを鍛える
筋肉には、体の表面にあるアウターマッスルと、体の中心部にあるインナーマッスルがあります。
インナーマッスルはアウターマッスルと比べて簡単に鍛えられるだけでなく、アウターマッスルを鍛えるよりも代謝が上がりやすくなるといわれています。
簡単かつ代謝が上がりやすいならば、やって損はないですよね!
特にお腹のまわりのインナーマッスルを鍛えると、便秘解消や、ぽっこりとした下腹の解消にもつながり、うれしいことづくし。
以下の動画は、腸腰筋のインナーマッスルを鍛えるのに効果的です。
インナーマッスル(腸腰筋)を効果的に鍛える1分美トレ!
動画に出てくるトレーナーのテンションが高く、かつ1分でできる簡単な運動なので、無理なく続けられるでしょう。
自宅で畳一畳分のスペースがあればできる運動なので、ぜひ試してみてください。
□ 有酸素運動を行う
酸素には脂肪を燃焼させるはたらきがあります。
そのため、酸素を多く取り入れながら行うウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、リバウンドしにくい痩せ方としておすすめです。
ここで東京大学大学院医学系研究科保健科学の光橋氏らが発表した、あるひとつの研究結果をご紹介します。
論文のテーマは、『短期減量指導プログラム実施後の体重変化と生活習慣要因の関係』です。
この研究では、まず地域住民に対して短期間の減量プログラムの指導をしています。
その後、参加者たちに追跡で調査を行い、一日の平均歩数とBMIの関係を調べたところ、BMIが減少しているグループとBMIが増加してリバウンドしているグループでは、1日の平均歩数に約2,000歩の差が!

(出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/50/2/50_136/_pdf)
平成15(2003)年の論文なので、やや古い研究ではありますが、まさに有酸素運動であるウォーキングを行うことが、リバウンドしない痩せ方であることを示しています。
ウォーキングは簡単に始められ、コストもかからず、いつでもどこでもできる運動です。
少しでも意識して歩数を増やすようにしましょう。
とはいえ、ウォーキングがリバウンドに有効だとわかっても、なかなかウォーキングをする時間が取れないという人も多いかもしれません。
そのような人には、自宅でもできる有酸素運動のエクササイズ動画が便利です。
下記の動画で紹介されている運動は、初心者の人にとっては少しハードかもしれませんが、広い場所を必要としないため自宅で簡単に行えます。
【自宅でエクササイズ!】有酸素運動で脂肪燃焼!
■ 急激に体重を落とさない
繰り返しになりますが、極端に体重を落とすと脳が危険を感じてホメオスタシスを機能させようとします。
また無理なダイエットは続かない原因にもなるので、ゆっくり時間をかけることが大切。
ホメオスタシスがはたらいて停滞期に入らないよう、1か月間の減量は、現在ある体重の5%以内を目標にしましょう。
■ バランスの良い食事

栄養不足で脳が飢餓状態と感じないようにバランスの良い食事を心がけ、適度に運動を取り入れるのが、リバウンドしない痩せ方としては理想的です。
もし食事制限をする場合は、炭水化物を少し減らし野菜中心に。
また、タンパク質は筋肉量を保つためにも必要なので、イワシやマグロ、アジなどの魚類を意識的に摂取するよう心がけましょう。
■ 停滞期中の食事を変えない
ダイエット時に停滞期が訪れても焦りは禁物です。
体の現象としては自然のことですので、体重が減らないと落ち込み、ダイエットをあきらめないようにしましょう。
レプチンが減少している状態でダイエットを諦め、食事を元に戻すと太りやすくなり、悪循環になってしまいます。
停滞期が来ても1か月は食事の量を元に戻さないようにすることが、リバウンドしない痩せ方です。
■ 日々の生活で工夫する
□ エスカレーターを使わず階段で
代謝を上げるためには日々の生活を変えることが大切です。
今まではエスカレーターを使っていた場面でも、意識して階段を登るようにしてみましょう。
□ よく噛んでゆっくり食べる
日々の生活が忙しく、早食いの習慣がついている人もいます。
レプチンが満腹中枢を刺激するのにおよそ20分くらいかかるので、レプチンが分泌される前に食べ過ぎないようゆっくり噛みましょう。
ダイエットの味方「セロトニン」に着目

幸せホルモンといわれる「セロトニン」はダイエットの味方でもあります。
過食を防ぐために、セロトニンを増やしてリバウンドしない痩せ方を身につけましょう!
セロトニンを増やすのに効果のある方法は、次の6つです。
■ 朝日を浴びる
太陽の光を浴びることで、セロトニンは活性化されます。
特に朝日を浴びると体内時計が調整され、睡眠の質を改善してくれます。
またセロトニンは、日中に太陽の出ている時間に生成されるので、昼夜逆転の生活を送るなど睡眠時間が不規則な場合は要注意です。
早起きは三文の徳。早寝早起きをして、しっかりと朝日を浴びましょう。
■ 食事とセロトニンの関係
セロトニンの原料である「トリプトファン」を含む大豆製品や乳製品などを摂取すると良いそうです。
また、セロトニン生成時に必要なビタミンB6を含む肉類は、欠かさず食べておきましょう。
■ リズム運動

運動不足はセロトニン不足を招きます。
セロトニンにはリズム運動が有効とされているので、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行い、セロトニンを活性しましょう。
■ しっかり噛む
食事をするときに、しっかりと噛むことは口のリズム運動にもなり、セロトニンの分泌を促します。
例えば、間食がしたくなったときにガムを噛むなども有効ですが、ガムに含まれる糖分には注意が必要です。
■ よく笑いよく泣く
最近、思いっきり泣いたり、思いっきり笑ったりなど、感情を表に出していますか?
大人になると、どうしても感情を抑えることを覚えてしまいますが、感情を表に出すことでセロトニンが活性化されるのだとか。
感情を溜め込まず、心のメリハリをつけましょう。
■ スキンシップをする

日本人にとって、スキンシップは少し恥ずかしいことかもしれません。
しかし、スキンシップをすることで「オキシトシン」というホルモンが増加します。
オキシトシンが増加すると、脳内のセロトニンが誘発され増加する仕組みになっています。
オキシトシンは本来、授乳中のお母さんに多く分泌されるホルモンとして知られていますが、老若男女問わず分泌されることがわかっています。
さらに、先述のセロトニンだけでなく、オキシトシンもストレスを緩和するはたらきがあります。
ハグをすることが苦手という人でも、家族や友人の肩もみをしたり、ペットを撫でたりするだけでも効果があるそうです。
リバウンドしない痩せ方の秘訣

無理なダイエットはリバウンドしやすい原因となります。
ダイエット停滞期が訪れる仕組みを理解し、時間をかけてダイエットをするよう心がけると、リバウンドしない痩せ方ができるようです。
ストレスを溜めない生活を意識し、適度な運動とバランスの良い食事、そして、セロトニンの活性も忘れずに!
参考文献:光橋悦子・李廷秀・川久保清(2003)「短期減量指導プログラム実施後の体重変化と生活習慣要因の関連」第50巻 『日本公衛誌』 第2号 p136-145 日本公衆衛生学会