
次から次へと登場する新作コスメや、便利なメイク道具。気に入ったものを見つけたらついつい買ってしまい、化粧ポーチの中身は増える一方……。
よりどりみどりの化粧品やメイク道具を使って、思うままにメイクアップするのは女性の夢ですよね。
しかし、化粧品やメイク道具はたくさんあればあるほど良いというわけではありません。なぜなら、化粧品は消費期限があり、メイク道具はこまめなケアが必要だからです。
この記事では、 化粧品とメイク道具の正しいケアのしかたを解説します。
化粧品編:化粧品の「消費期限」とは?

「消費期限」とは、「『品質の劣化のため安全性を欠く恐れがない』と認められる期限を示す年月日」のこと。
国内で販売されている化粧品には、消費期限が掲載されていない場合がほとんど。一方、海外ではしっかりと明記して売られているものの方が多いのです。
■ PAO表示の見かた
2015年より、EU圏内で販売されているすべての化粧品には「PAO表記」が義務付けられています。「PAO」とは、「Period After Opening」の略で、「開封後の消費期限」のこと。最近では、EU圏内のみでなく、アメリカで販売されている化粧品にもこの表示がついていることがあります。

(出典:https://www.cosmeticseurope.eu/using-cosmetics-colipa-the-european-cosmetic-cosmetics-association/labelling-/how-to-keep-products-/period-after-opening-pao-.html)
PAO表示は、フタの開いた容器のイラストと「数字+M」で表します。
「M」は「Month(月)」の略。つまり「(数字)か月」で消費期限が示されています。
画像の場合では、「開封後12か月」が消費期限ということ。
消費期限が過ぎた化粧品を使うとどうなる?

化粧品は消費期限が過ぎても、ほとんどの場合は見かけや質感がすぐに変わるわけではありません。だから、つい長期間使ってしまいがち。
しかし、一見変化がなくても、化粧品の成分には劣化が進行していたり、細菌の繁殖が起こっていたりします。
そもそも、化粧品は細菌が繁殖しやすい性質。なぜなら油分や水分を含むものが多く、直接肌に触れるものだから。食品のように「生モノ」とまでは言いませんが、水分や油分を含み、肌につけるものであることを考えれば、「食品に近いもの」と考えたほうが良いのかもしれません。
■ 期限切れの化粧品は肌トラブルの原因に
繁殖した細菌が含まれている化粧品が毛穴に入ると、ニキビや肌の炎症などの原因になることがあります。
ちなみに、リキッドファンデーションは、ほかのファンデーションに比べて油分が多く酸化しやすいので、特に注意が必要。
酸化すると「過酸化脂質」という物質に変化して、さまざまな肌トラブルの引き金となってしまいます。
過酸化脂質とは
過酸化脂質は、中性脂肪やコレステロールなどの脂質が老化の原因となる活性酸素と結合したときに作られるもの。過酸化脂質は肝臓で分解しきれず、体内に蓄積。この蓄積した状態を「過脂化」と呼びます。
過酸化脂質は、細胞の内部へも浸透し、やがて細胞そのものを破壊。このため、過脂化は体にさまざまな悪影響を与えてしまうのです。
過脂化の肌への影響
過酸化脂質は、シミの原因となるメラニン色素を過剰に生成する物質。肌のくすみや細かいシワなどを作り、肌の老化を進行させます。
また、皮脂の多い部分の肌に起こる脂漏性皮膚炎を誘発したり、毛穴に詰まってニキビの原因になったりすることもあります。
化粧品の消費期限の目安

国内メーカーの化粧品にはほとんどの場合、消費期限は記載されていません。これは、日本の医薬品医療機器等法で「製造後3年以内で変質する化粧品を除き、使用期限を表示する必要はない」と定められているため。
ただし、過脂化が肌に与える悪影響を考えると「どの化粧品も3年間は使って良い」ということにはなりません。つまり、自分で消費期限を判断しなければならないのです。
そこで、いくつかの海外のサイトを参考に、化粧品の消費期限を独自にまとめてみました。実際は使用や保管のしかたにより化粧品の状態は異なりますので、あくまでもひとつの目安として参考にしてください。
なお、オーガニック化粧品には防腐剤が含まれていないため、消費期限はさらに短くなります。
化粧品の消費期限の目安
リキッドファンデーション:開封から約半年
パウダーファンデーション:約半年〜1年
フェイスパウダー:約2年
コンシーラー:約8か月
アイシャドウ:約1年半〜2年
口紅:約1年半〜2年
リップグロス:約1年
パウダータイプのチーク:約2年
リキッド・クリームタイプのチーク:1年
保湿クリーム・乳液・洗顔料:約半年
マスカラ・リキッドアイライナー:約3か月
マニキュア:約1〜2年
アイペンシル・リップペンシル:約3年
「水分や油分を多く含む化粧品ほど、消費期限は短い」ということを覚えておきましょう。
■ 化粧品が「いつもと違う」と感じたら、迷わず処分を
ただし、これらの期限内でも「いつもと匂いや質感が違う」と感じたら、細菌が繁殖している証拠かもしれません。
「もったいない」と思ってしまいがちですが、肌に与えるダメージを考えれば、匂いや質感が変質してしまった化粧品は迷いなく処分すべきなのです。
□ 未開封化粧品やセール購入品にも注意
未開封で長期間使用していない化粧品も、時間の経過とともに成分が分離してしまっていたり、成分にある程度の酸化が進行していたりすることがあります。
特に、セールで販売されている化粧品は製造から時間が経っていることが多いため、注意が必要です。
基本的に、化粧品は「購入後はできるだけ早く使い切る」ようにしましょう。
化粧品の正しいケア方法
化粧品は、保管や使いかたに気をつけることで、成分が劣化するスピードを遅らせることができます。
■ 化粧品の正しいケア方法1:直射日光が当たらない涼しい場所で保管
成分の劣化を少しでも遅らせるためには、高温多湿の環境を避け、直射日光の当らない涼しい場所で保管しましょう。
意外と忘れがちなのが、容器のキャップをしっかり閉めること。化粧品の成分が蒸発してしまったり、ホコリや雑菌が侵入したりすることを防げます。
■ 化粧品の正しいケア方法2:肌に直接触れる使い方をしない
チューブからクリームを出すときや、容器からファンデーションを取り出すときは、指を使うのではなく、「スパチュラ」と呼ばれるヘラ状の平たいスプーンなどの道具を使って取り出しましょう。容器のなかに細菌が侵入するのを防ぐ効果あります。
もし、容器の入り口から細菌が入ったら、またたく間に化粧品全体へ広がってしまいます。たとえば、唇にヘルペスができていたときに直接塗った口紅は、その口紅全体に菌が繁殖していると考えなければなりません。
同じ理由から、系の化粧品はこまめに削り、常に新しい面を露出して使うようにしましょう。ちなみに、スパチュラは事前にアルコールスプレーで消毒しておけば、なお安心です。
■ 化粧品の正しいケア方法3:こまめにアルコール消毒
アルコールスプレーで化粧品をこまめに消毒すると、細菌の繁殖を大幅に抑えることができます。ただし、アルコールにかぶれてしまう体質の人には適用できません。
ファンデーションやアイシャドウパレットなどには、使用前・使用後にアルコールスプレーを吹きかけて殺菌すると良いでしょう。
しかし、アルコールスプレーに含まれる成分や化粧品によっては、化粧品の成分が変質してしまう恐れもあります。必ず、事前に少量の化粧品にアルコールスプレーを吹きかけてみて、変質が起こらないか否かを確認してください。
メイク道具編

メイクに使う道具にもケアが必要です。
肌に直接触れるメイクアップブラシやメイクアップスポンジは、化粧品だけでなく皮脂や汗も吸収しています。これらが酸化すると、細菌が繁殖する原因に。メイクアップブラシやスポンジは細菌にとって、格好の繁殖場なのです。
したがって、長期間洗わないメイクアップブラシやスポンジを使っていると、酸化した油分や繁殖した細菌が、肌荒れや肌の老化を引き起こす可能性があります。
■ 汚れたメイク道具では、化粧ノリも悪くなる
「化粧ノリが良い」とは、ファンデーションやアイシャドウなどの化粧品の粒子が、肌にきめ細かく密着している状態を指します。
しかし、メイクアップブラシやスポンジに前回のメイクで使った化粧品の成分が残っていたり、皮脂や汗で汚れたままだったりすると、きめ細かく肌にのせることができず、化粧ノリが悪くなってしまいます。この状態では、どれほど高価な化粧品を使っていても、その良さを実感することはできません。
メイク道具をこまめにケアしてはじめて、うたわれている本来の効果が得られるのです。
メイク道具の洗いかた
メイク道具のケアといっても、特別に難しい作業は必要ありません。しかし、いくつかの押さえるべきポイントがあます。
■ メイクアップブラシの洗いかた
メイクアップブラシを洗う際のポイントは「ぬるま湯を使うこと」と「毛に含まれる油分を取りすぎないこと」。
以下のような手順で洗浄しましょう。
□ 1.洗剤を用意する
中性洗剤か固形石けんを用意します。あるいは、市販の専用ブラシクリーナーを使っても良いでしょう。
中性洗剤とは、pHが中性の洗剤を指します。食器洗い用洗剤や、衣料用のおしゃれ着用洗剤の多くは中性洗剤です。
□ 2.とかして汚れをかき出す
フェイスブラシやチークブラシといった大きめのものは、洗う前に毛の部分をクシでときます。これは、ブラシの奥に入り込んでいる汚れをかき出すため。
まず、毛の先端部分をクシで軽くほぐしたあとに、ブラシの根元から先端に向かってやさしくときます。奥の部分から汚れが表面に出てくるまで、10〜20回ほどとかしてください。
□ 3.洗剤をお湯に溶かす
次にぬるま湯が入っている小さな容器を用意。その中に洗剤入れて薄めに溶かしてください。専用のブラシクリーナーの場合は、原液を薄めずそのまま使います。
洗剤を溶かすときに、少しの油(オリーブオイルなど)を混ぜても良いでしょう。メイクアップブラシの毛から油分を奪いすぎてしまい、毛が硬くなるのを防ぐことができます。
□ 4.お湯にブラシを浸す
メイクアップブラシの毛の部分を洗剤溶液に浸します。ブラシクリーナーを使用する場合は、毛の部分をぬるま湯で濡らしたあと、ブラシクリーナーをつけてください。
注意点は、ブラシの金具と毛の接合部分を濡らしすぎないこと。何度も濡らしていると、毛と柄を接合している接着剤が徐々に溶けてしまいます。
毛の部分に洗剤をつけたら、手のひらなどで毛の部分を泡立てて汚れを浮かせましょう。
□ 5.お湯ですすぐ
汚れが十分に浮いたら、毛と金具の接合部分を濡らさないように気をつけつつ、ぬるま湯ですすぎます。
冷水では汚れが落ちにくく、熱いお湯だと毛に含まれる油分を落ちすぎてしまうため、ぬるま湯がちょうど良い温度。
すすぎの水が透明になるまで、2〜3回この作業を繰り返します。
□ 6.必要であれば柔軟剤を
毛の柔らかさを保ちたいなら、すすぎが終わったあとに柔軟剤を使っても良いでしょう。
□ 7.やさしく水気を切る
すすぎ終わったら、毛の部分をやさしく絞って水気を切ります。乾いたタオルでさらに水分を取ったあと、毛の向きを整えてメイクアップブラシをタオルに寝かせ、よく乾かしましょう。
毛が極度に乾燥してしまうのを防ぐため、直射日光を避けて陰干しをしてください。
□ 無水エタノールを使った洗いかた
メイクアップブラシの水洗いで、気になるのが「乾くまでに時間がかかること」ではないでしょうか。夏の暑い時期でも、しっかり乾くまでには1日ほどかかってしまいます。
メイクアップブラシが乾いていなければ、化粧ができなくなってしまうため、ついメイク道具の洗浄を先延ばしにしてしまう……という人もいるでしょう。
この問題を解決するのが「無水エタノールで洗う」方法。洗ってから乾燥まで、なんとわずか数分です。
無水エタノールの成分はアルコール。名前が示す通り、水が入っておらず、アルコール成分が99.5%以上を占めます。
無水エタノールは、パソコンやタブレットなど、水拭きできないものの清掃に使われるアイテム。殺菌効果はありませんが、揮発性が高いので汚れを落とす効果があります。
メイクアップブラシの洗いかたは簡単。小さな容器に少量の無水エタノールを取り、メイクアップブラシの毛を浸しましょう。毛を動かすと汚れが溶け出してきます。
十分に汚れが溶け出たら、ティッシュなどで毛の無水エタノールを拭き取り、形を整えて乾燥させれば完了。
無水エタノールでメイクアップブラシを洗う際の注意
無水エタノールはアルコール成分が99.5%以上を占めています。非常に引火しやすいため、扱う際は火気に注意してください。
また、無水エタノールを使う方法は、人工毛を使ったメイクアップブラシに限り有効。高級化粧筆には動物の毛を使ったものが多く、その成分にはタンパク質が含まれています。
アルコールはタンパク質を変性させる効果があるので、動物の毛を使ったメイクアップブラシを無水エタノールで洗うと、毛が変質してしまう恐れがあります。
高級化粧筆メーカーのほとんどは、自社製品の洗浄用クリーナーや固形石鹸も販売しています。天然毛のメイクアップブラシを長く大切に使いたい人は、そちらを使うと良いでしょう。
■ メイクアップスポンジの洗いかた
メイクアップスポンジの洗いかたは、メイクアップブラシの洗いかたと手順は同じです。
1. ぬるま湯に中性洗剤を薄めに溶きます。メイクアップスポンジを浸し、やさしく荒って汚れをもみ出します。
2. ぬるま湯でメイクアップスポンジをすすぎます。
3. すすぐ際の湯が透明になるまで、ステップ1〜2を繰り返します。
4. よくすすいだらメイクアップスポンジを絞って水気を切り、さらにタオルかキッチンペーパーで水気を取ります。
5. 直射日光のあたらない場所でよく乾かします。
メイク道具を洗う頻度は?

理想は、使うたび洗うこと。1度でもメイクに使えば化粧品の成分や皮脂、汗がメイクブラシやスポンジに付着し、細菌の繁殖が始まるからです。
「忙しすぎて毎日洗う時間がない」という人でも、できれば3日に1回、最低でも1週間に1回は洗いましょう。
それでも、毎日洗う時間なんてない!」という人のために、メイク道具ケアを日常に取り入れるための工夫を2つ提案します。
■ メイク道具洗浄の工夫1:メイクに続く一連の作業として習慣づけてしまう
私は、メイク道具を使うたびに洗っています。「メイク → メイク道具の洗浄」というように、一連の作業としてすでに習慣になっているので、面倒に感じません。
普段からこまめに洗っていればメイク道具に汚れが蓄積していないため、1回の洗浄は短時間で済みます。洗浄にかけている時間は、約5分ほど。
たったこれだけの方法で肌の健康を保つことができ、メイクのノリも良くなるのであれば、あえてかけるべき手間だと言えます。
■ メイク道具洗浄の工夫2:メイク道具を「ローーション制」にする
「毎日洗うのは難しいけれど、常に清潔なメイク道具を使いたい」という人におすすめの方法は、同じメイクアップブラシやメイクアップスポンジを何個かそろえておくこと。また、数日おきに汚れた分のメイク道具をまとめて洗う「ローテーション制」を導入するのも良いでしょう。
洗ったメイク道具を乾かしている間も、常に清潔なメイク道具を使うことができます。
■ メイク道具は、使う前にはアルコール消毒を
メイクアップブラシやメイクアップスポンジ、ペンシルシャープナーなども、メイクに使う前にアルコールスプレーで殺菌しておくのも効果的。ただし、アルコールで肌がかぶれる方にはおすすめできません。
なお、動物毛のメイクアップブラシには、アルコールスプレーは使わないほうが無難です。
メイク道具の寿命の目安

メイク道具は、汚れたまま使い続けるより、大切にケアをしていたほうが長持ちします。
どんなにメイク道具にケアをしても、使うたびに少しずつ磨耗してしまうもの。メイクアップ ブラシは、毛の材質や使用頻度によって差がりますが、毛がすり減ってきたり、粉の含みや肌への感触が以前より悪くなってきたら交換のサインです。一般的な目安は、3~5年ほど。ちなみに、メイクアップスポンジは「ゴワゴワして使いにくい」と感じたら、買い換えましょう。
■ メイク道具は「消耗品」
動物毛を使った高級化粧筆や高価なメイク道具を使っていたら「頻繁に洗うと傷めてしまうのでは?」と心配になる人もいるでしょう。
しかし、メイクアップブラシやメイクアップスポンジは基本的に「消耗品」。
汚れたままのメイク道具を使い続けると弊害が大きくなることは、前述の通りです。
良いメイク道具を揃えることの目的は、あくまでも「良いメイクをすること」。
メイク道具を傷めたくないがために洗わずに使い続けた結果、化粧ノリが悪く、肌も荒れてしまっては本末転倒です。
そのうえ、高価なメイク道具を使うと必ずしも良いメイクができるとは限りません。安価なメイク道具のなかにも、便利なものはたくさんあります。
メイク道具は、マメにお手入れすることをはじめから考慮して選ぶのが正解。コストパフォーマンスの良いメイク道具をそろえ、消費期限が切れたら、潔く処分しましょう。
少しの手間プラスで、メイクの仕上がりと美肌に差ができる

化粧品やメイク道具のケアは、一見面倒に思えるかもしれません。しかし、ほんの少しの手間をプラスするだけで、肌の健康やメイクの仕上がりに差をつけることができます。
ぜひ、できそうな部分から日常生活に取り入れてみてください。