電車のなかでのあるシーン。
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これはある日の出来事です。
ガタンゴトン、と電車に揺られていました。
その日は学校でテストがあって、
実はあんまり出来は良くなくて、
ちょっぴり落ち込んでしまっていたんです。
だから気分をまぎらわせようと、
いつものように読書に没頭していたんです。
■彼と目があいました。
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物語がクライマックスに入りそうな時に、
ちょっと一息って顔をあげました。
そうしたら向かいの席に座っていたひとが、
同じ本を読んでいたんです。
彼とふと目が合いました。
キュン。
あれ?なんだろう、この気持ち。
一冊の本からはじまる夏の恋。
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ジッと見ちゃうと悪いから、
本を顔の前に持ってきて、ちらっ。
彼が笑って「どこまでいきました?」って。
この本、どんでん返しが有名な本だから
そのあとも会話が弾みました。
本からはじまる恋って、変ですか?
葉桜の季節に君を想うということ/歌野 晶午
¥724
2004年のこのミステリーがすごい1位。
2004年の本格ミステリベスト10で1位。
数々のミステリー賞を受賞した本作。
どんでん返しに次ぐどんでん返しに驚きを隠せません。
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表紙のデザインからは恋愛小説のように思えますが、
実際は巧妙なミステリー小説です。
ミステリー小説の有名な各賞を総ナメにした本作。
ただ最後に大きなどんでん返しがあるだけでなく、
何度も何度も裏切られます。
「何でもやってやろう屋」を自称する俺、成瀬将虎はフィットネスクラブで体を鍛えてはまだ見ぬ理想の女を求めて欲望のまま女を漁っていたが駅のホームで飛び込み自殺しようとした女麻宮さくらを助けたことがきっかけで俺の運命は動きはじめる。
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主人公が後輩のキヨシに頼まれ、
蓬莱俱楽部の調査をメインに進んで行く物語。
そこに「俺」の過去のヤクザ事件と
久高隆一郎殺しの事件、
そして安さんの娘探しの物語が
混ざりあって最後に意外な真実に到達します。
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小説という読者の脳内でのイメージを
巧妙に利用したトリックにまんまと騙されます。
別々だと思っていた物語が、
最後の最後に混じり合い、
「え?嘘でしょ?」な展開が続々と登場します。
読んでいる途中でも、
読み終わってからでも会話が弾む一冊です。
パレード/吉田 修一
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みんながどこか「秘密」を抱えている、
そんな男女5人の共同生活。
表面上はゆる〜い日々が続いていて、
そんなとき5人が暮らすマンション付近で
連続女性暴行事件が起こり始めたことをきっかけに
物語が急展開を遂げます。
〈杉本良介・21歳・大学生〉…「一緒に暮らしているからっておセンチな自分なんか見せられない」
〈大垣内琴美・23歳・無職〉…「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」
〈小窪サトル・18歳・自称夜のお仕事〉…「こいつらと付き合ってたら、今に一流企業にまで就職させられちまう」
〈相馬未来・24歳・イラストレーター兼雑貨屋店長〉…「ありのままの人間なんて”怠惰でだらしのない生き物”としか思えない」
〈伊原直輝・28歳・映画配給会社社員〉…「相談されたところで親身になって考えてやったことなど一度もない」
素顔のままでは生きにくい。でも相応しい自分を演じれば、そこは誰もが入れる天国になる。先の見えない五人の微妙な2LDK共同生活。
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そんなサスペンス要素を感じさせないくらい、
本編はゆるやかな雰囲気。
クスッと笑ってしまうようなシーンもあり、
ほのぼのした印象を受けます。
それも終盤までのお話……
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ネットの世界をそのまま現実にしたような世界。
みんなが存在はしているけれど、
本当の自分をさらけ出す人はいない。
だからこそ私たちはその人のある一面しか知らない。
普段、自分の周りの友人のことをどれくらい知っているんだろう。
そんなことまで考えだしてしまいます。
「ラスト、ゾクゾクしたね」なんて彼に一言。
灰色の虹/貫井 徳郎
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無実の罪で服役していた主人公。
平凡な男性が生き地獄へと
落ちていく描写は読んでいてあまりに切ない。
理不尽な出来事に振り回される主人公に、
思わず感情移入してしまいます。
親しくしていた検事が自宅で何者かに殺害されたことを知った刑事の山名省吾は、7年前の殺人事件に関わった人々が次々と不審な死を遂げていることに気付く。7年前、小さな運送会社に勤めていた江木雅史は、上司を殺害した無実の罪で逮捕・起訴された。目撃証言が決定打となり懲役6年の判決が下された。江木は、自分から全てを奪った者たちへの復讐を決意する。
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真っ白に一滴の黒が混ざると灰色になる。
決して、白に戻ることはない。
登場人物たちがそれぞれ自分の信念に従って
使命を全うしていきます。
真っ白な登場人物のいない復讐劇で、
誰が灰色のまでいられるのか、
それとも黒に染まってしまうか。
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雅史の復讐は終わるのか、
復讐の後に救いはあるのか、
どうかこの人に幸せを、そう思って仕方ありませんでした。
切なく、悲しく、やるせないどんでん返しが
ここに待っています。
こんなにページをめくる手が止まらないのは、
初めての経験でした。
「少し、話さない?」
電車のなかで同じ本を読んでいた彼。
同じどんでん返しに騙されて、
「もう少し、話さない?」って。
ああ、この本読んでてよかったかも。


