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「犬猫のエサに肉食はダメ!ビーガンを」「愛猫の病気にパワーストーン」飼い主につけ込

時刻(time):2023-12-13 15:39源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
―連載「 沼の話を聞いてみた 」― ペットの病気をパワーストーンで手当する――そんな話を聞き、つい「さすがはコロナ禍でも好調だったペット産業ですな!」と思ってしまった。 犬猫もヒトと同じく高齢化する昨今、健康問題にトラブルが生じがちで、こうした類のものが参入してきても何ら不思議はないだろう。 ※写真はイメージです(以下同) 今回お届けするのは

―連載「沼の話を聞いてみた」―

ペットの病気をパワーストーンで手当する――そんな話を聞き、つい「さすがはコロナ禍でも好調だったペット産業ですな!」と思ってしまった。

犬猫もヒトと同じく高齢化する昨今、健康問題にトラブルが生じがちで、こうした類のものが参入してきても何ら不思議はないだろう。

ペット自然派202312

※写真はイメージです(以下同)

今回お届けするのは、かつて一般的な医療に不安を覚え自然療法などにハマっていた女性の、ペット事情である。現在は一般的な暮らしを送っているものの、ペットかわいさから冷静さを失うと、昔の知識が顔を出すという。

50代の里中美香さん(仮名)は、腎臓(じんぞう)が悪い愛猫のために、パワーストーンを使った療法を試そうと考えた。






「琥珀(こはく)は肝臓のお薬です」


「うちの子、すごい病院嫌いなんですよ。だからひんぱんには動物病院へ連れていかれず、改善しているのかどうかわからなくて不安に……。そんなとき目にとまったのが、SNSでよく見かけていたパワーストーン屋です。私の周りで少し人気だったので、興味を持ちました」

パワーストーンを販売していた女性は自信に満ちあふれ、雑貨の販売だけでなく心理カウンセリングのようなサービスも行っていたという。美香さんは、悩める人たちに寄り添う、博識で温かい人柄にも魅力を感じた。

パワーストーンの販売を行っているという女性のブログを見てみると、なるほどこう書いてある。

「琥珀(こはく)は、昔は魔女のお薬として使われていた、肝臓のお薬です。ネコの肝臓の弱さをカバーできます」

一般的なパワーストーン販売のサイトを見ても、琥珀は腎臓や肝臓を活性化させるという説明がたくさん出てくる。「目にご利益のある神社・仏閣」といったノリの願掛け・お守りの類と考えればいいだろうか?






かつての沼体質がうずく


しかし美香さんは「治療効果」を求め、購入を検討した。石で体をマッサージしたり、首輪にチャームとしてぶら下げたりして使うらしい。

ペット自然派202312
「私は昔、この手のものにさんざんハマって人間関係や職も手放してしまい、おかしな教祖を信じたことを後悔しています。だからもう手は出すまいと思っているのですが、ネコかわいさについ心が動いてしまった。根拠のないものも簡単に信じてしまう、沼体質は変わりませんね」

石に何かを期待するのは、これがはじめてではない。3.11の東日本大震災当時、「被爆に効果的」だと噂が流れた「薬石」なるものがあり美香さんも大量に取り寄せたという。








「スピ寄りの知り合いに、『これで被爆を防いで!』と配って歩きましたね。知人が同じ石を『シニアペットの健康にオススメ』ってやっているのを最近見かけて、少しなつかしい気持ちになっちゃいました」






過激自然派をひと通り経験


美香さんは10年以上前、医療への不信感や食の安全への疑問から、陰謀論の沼にハマった過去がある。そして「闇の権力に支配されてはいけない」と、一般的な経済活動から少しでも離れられるよう、自給自足の自然派生活を目指した。

スマホとPCだけは手放さないものの、電気を極力使わないように電子レンジや洗濯機、冷蔵庫を捨て、炭火で調理。暗くなったら極力寝る。

自家栽培や野草採取に精を出す。保存食である発酵食品にもハマる。服は手作り。体調を崩せば、植物を患部に張り付けたり砂に埋まったりなど自然療法を試す。その他、各種民間療法や自己啓発も、ひと通り経験した。


美香さんの言葉を借りると「過激自然派」である。

紆余曲折(うよきょくせつ)の末、現在はそうしたつながりとは縁をきり、再婚した夫とふたりでコツコツと働き、長年憧れだったネコとの暮らしを楽しんでいる。






自然派の「ペット論」あるある


ところがそのペットへの愛が、再び怪しげな世界を引き寄せるのだ。

「最近、クマの駆除に対して抗議をする森熊協会が何かと話題になるじゃないですか。恥ずかしながら、当時あの団体も応援していたんですよね。だからクマのニュースを目にすると、生き物に対する昔の思想が、次々思い出されてしまって。私の黒歴史です」

ペット自然派202312
かつて所属していた陰謀論を軸とする自然派コミュニティでは、環境問題の延長として動物(ペット含む)に関してもよく論議されていた。そしてこんな主張に、心から同意していたそうだ。※カッコ内は著者の意見です。

・野生動物の駆除(くじょ)は人間の都合でしかなく、自然に反している。
(野生動物の被害者になっても、同じことが言えるのだろうか?)

・ペットのワクチンも人間同様に、製薬会社のビジネスでしかない。狂犬病ワクチンの義務は日本だけだからおかしい。
(それなら義務のない国でイヌとの暮らしを楽しんでいただければ……)








・飼い主は、ペットにもホメオパシーなど自然な療法を選択すべきだ。
(代替だろうが標準だろうが動物がどちらを望んでいるかはわからないが、ヒトと暮らしている時点で少なくとも自然ではないので、自然に近づけることが幸せなのか?という疑問)

ペット自然派202312
・イヌやネコもヴィーガン生活にすれば、肉の消費量を減らして環境の負荷を減らせる。
(ヴィーガンフードなるものが存在しているが、少なくとも肉食であるイヌやネコをヴィーガンペットにすることは基本的に無理があると思う)

・ペットが癌(がん)になるのは、超加工食品であるドライフードを食べているから。
(ウェットフードならいいのか? という話ではなく、新鮮な肉や野菜を調理すべきというお話のようです。つづけられればそりゃいいけど、かぎられた環境&経済力の人しか飼えなくなりそうですね)






もの言えないペットを想う


「いまはもう、一切こうした考えは持っていません。それでも動物はもの言えぬぶん、苦痛を伝えられませんから、つらそうにしているとつい苦肉の策で、昔取った杵柄(きねづか)……代替療法に手を出してしまいがちです」

ペット自然派202312
これまたモノ言えぬゆえ、何がペットにとって本当に幸せかどうかは誰にもわからない。病気になった動物をどうするかの是非は、飼い主にゆだねるしかないだろう。

幸い美香さんのネコはその後、動物病院通いで一般的な治療を行うことによって、小康を保ち元気に暮らしているという。






愛情ゆえにいつか暴走するかも…


「ヒトと同じく、スピリチュアルグッズや代替療法を取り入れるなら、医療も平行して行うのが一番安心ですね。平凡ですが、あらためて実感しています。でもこの先、医療でどうにもならなくなったとき、暴走してしまう瞬間が来るかもしれません」

根拠のないアイテムを売る業者は確実に、そのような「簡単には割り切れない想い」を狙ってやってくる。ペットにパワーストーンを買うも買わないも飼い主の自由であるが、美香さんとネコの健康が損なわれない範疇(はんちゅう)であることを、祈るばかりである。

<取材・文/山田ノジル>
山田ノジル
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru




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