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乳がん入院中、看護師さんに怒りが湧いてしまった瞬間。“がん友”に励まされ | ビューテ

時刻(time):2023-11-22 09:12源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
2016年、42歳のクリスマスイブに突如乳がん宣告。(ステージⅡB)。晴天の霹靂だった「がん宣告」から約1年間、泣いたり笑ったり怒涛の日々を駆け抜けた、私のがん治療ドキュメンタリーを連載でお届けしています。 【過去記事】⇒ 連載「乳がんドタバタ体験記」記事一覧を見る 今回は、リハビリが始まる手術翌日をふりかえります。 翌日からスパルタ!地獄のリハビリ

 2016年、42歳のクリスマスイブに突如乳がん宣告。(ステージⅡB)。晴天の霹靂だった「がん宣告」から約1年間、泣いたり笑ったり怒涛の日々を駆け抜けた、私のがん治療ドキュメンタリーを連載でお届けしています。

【過去記事】⇒連載「乳がんドタバタ体験記」記事一覧を見る

 今回は、リハビリが始まる手術翌日をふりかえります。






翌日からスパルタ!地獄のリハビリがスタート


手術直後の私

手術直後の私

 術後すぐから絶対安静で過ごした、しんどい夜が明けました。

 朝からさっそく、「今日は歩行まで行きますからね」と看護師さんより予告。術後すぐに始まるリハビリがきついのは、息子を帝王切開で出産したときに経験していただけに、恐ろしい……。

 手術後って、しばらく安静にしているイメージがあると思いますが、最近は術後すぐに動いたほうが予後が良いとのことで、傷口ほんとにふさがってるの? という時期から歩き出し、リハビリを開始するのが通常らしいのですが、これが本当に痛いのです!

 まずはマッサージャーを取り外し、ほっとしたのもつかの間、次はベッドを徐々に起こしていきます。10度くらい角度をあげたら5分放置、そこからまた10度……と、いきなり上げずにじわじわ上げるとのこと。

 せっかちなわたしからすると「面倒くさいから一気にグイっとあげてくれたほうが良いのに」と思いますが、実際にベッドの角度を上げてみて、その理由が分かりました。






地球には重力があった


 当然ですが、地球には重力があります。平らな場所で手術をされ、それからずっと横たわっていたので気づきませんでしたが、ほんの少しベッドが持ち上がるだけでも、傷口に重力がかかってめちゃくちゃ痛いのです!

 じわじわ、少しずつ慣らしていかないと無理! 今までの人生で、重力をここまでリアルに感じることもなかったので、宇宙人になった気分でした。

 そうやって、重力に慣れながら、ベッドは最大で80度くらいまで上がりました。なぜか90度にはならず、次のハードルはそこから上半身を自力で起こして、ベッドから降りること。

 この、ほんの少しの10度を、自力で起こす。これがもう痛くて痛くて悲鳴を上げてしまいます。

 なんでベッドは80度までしか上がらないのか。90度にして、すっと身体を起こせるようにしてくれればいいのに!! と、ベッドを恨みました。たぶん理由があるとは思いますが、それどころではありません。

 けれど、ここで身体を起こせないと、ベッドから降りることもできません。意を決して「いてぇ!!」と悲鳴をあげながら身体を起こしました。

 それだけでつらいので、またベッドに寄りかかりたくなるけど、寄りかかるとまた地獄の痛みで起き上がらなくてはいけないので、仕方なく体を起こしたままキープするしかありません。













看護師さんに怒りが湧いてしまう


病院

※イメージです(以下、同じ)

 次にそこから自分の足でベッドから降りなくてはいけません。身体を10度傾けるだけで痛いのに、降りるなんて狂気の沙汰。

 看護師さんの肩を借りてベッドから降りようとしましたが、腕に力を入れると胸の傷に激痛が走るので、いったいどこに力を入れればよいのか分からない。

 とにかく一回ギャーと叫びながら足をつき、よろよろとベッドから降りて立ち上がりました。可愛くはないけれど、ヨロヨロとした立ち方は生まれたての小鹿のよう。

 立っているのがやっとなのに、看護師さんは「はい、じゃ立てたんで尿管抜きますね。抜いたら自分でトイレなんで」と塩対応。

 今度は、歩いてトイレに行けなんてスパルタすぎる!と、看護師さんに怒りが湧いてしまう余裕のないわたし。単純に、優しくしてほしいなぁと思いました。

 やっと立ち上がりましたが、術後すぐで体力もなく、すぐに横になりたくなってしまいます。ベッドに戻ると、またトイレに行くときは自力で起き上がらなくてはならないので嫌でしたが、そんなこと言ってられません。






20分以上座っていられない


 そのうち、胸や腕の筋肉を使わず、腹筋だけ使えば比較的ラクに起き上がるコツを発見しました。胸に傷がありますが、腹筋は傷ついていないので、ベッドから体を起こすときも腹筋を意識して起き上がり、椅子から立つ瞬間も、腹筋だけで立つ、と意識してやってみたら、意外とうまくいくようになりました。

 それでも立つ瞬間の激痛はしんどかったのですが、徐々に慣れてきました。

 そんな試行錯誤をしているうちに、夫と小学生の息子、そしてわたしの母が面会に来てくれました。わたしがいた病棟は小学生の入室禁止で、わたしが面会室に行きました。息子はなんだか照れ臭そうにしていましたが、わたしは「再会できた!」という喜びでいっぱい。

 けれど術後すぐでも面会室はベッドがなく、座っているのは20分が限界。だんだんフラフラ、クラクラしてきてしまいました。まだ麻酔が抜けきっておらず、頭痛もひどく、体力が戻るまでしばらくかかることをと痛感しました。

 一日で、自力でトイレに行くのにだいぶ慣れてきました。














私にはリハビリを頑張らなきゃいけない理由があった


フラメンコ
 翌日からはいよいよリハビリが始まります。

 乳がんの全摘手術をした後にきちんとリハビリをしないと、腕が上がりにくくなってしまうそうで「リハビリは必須」と言われていました。

 痛いのは大嫌いなわたしでしたが、わたしにはリハビリを頑張らなくてはならない大きな理由があったのです。

 わたしは10年以上前からフラメンコをやっていて、数か月後に発表会も控えていました。大好きなフラメンコを絶対に続け、そして発表会に出るという思いが強くて、痛くたってリハビリを頑張って、元通りに腕が上がるようにすると決意していました。

 フラメンコの先生の紹介で、乳がんを経験したフラメンコダンサーの方を紹介してもらい、話を聞きました。その方は「とにかく毎日リハビリ頑張れば、腕はちゃんと上がるし、元通りに踊れるから頑張って!」と励ましてくれました。

 実際に彼女は今もフラメンコを踊っているし、実際に経験した方の話を聞くと、本当に勇気がもらえます。





見事に腕を上げているセンパイを発見!


 リハビリはお昼すぎからスタート。乳がんの手術を終えた患者たちが病棟の廊下に集まって、看護師さんの指導のもと、みんなで少しずつ壁に指を這わせ、少しずつ手を上に上げていく練習をします。

 ですが、まだ術後2日目。やっと歩けるようになった程度で、さらに超痛がり怖がりのわたしは、裂けそうな傷口をのばすなんて、怖くて仕方がありませんでした。

 周りを見回すと、ふと、同年代と思われる人が目に入りました。その人は、腕が見事に肩の上のまでほう上がっていて、リハビリでここまで戻るんだ!と感動するほどビシっと腕を伸ばしていました。

 何日くらいで上がるようになるんだろう?と思い、その人に「リハビリは何日目ですか?」と聞くと、ちょうど術後1週間目とのこと。ほかの人は、ここまで腕が上がっていません。

 わたしが目指すのは「元通りにあがる腕」。彼女を目標に頑張ろうと思い、どうやったらこんなに上がるのかインタビュー。




















センパイ患者をナンパしてみた


 すると、こともなげに「痛いけど、まぁ大丈夫かなって思ってエイッと、グイッとやってたらできちゃった」と言うのです。わたしが裂けそうで怖いと言うと「とりあえず私は裂けなかったから大丈夫じゃない?」とあっけらかんとした答えが返ってきて、思わず笑ってしまいました。

 このアッサリと男前な雰囲気がたまらなく面白くて、もう少し彼女と話したい! と思い、この後少しお話しできないかな? と誘ってみました。病院内ナンパです(笑)。

 彼女にも快諾をもらい、レインボーブリッジが見える夜景のキレイな病院の休憩室で、お茶を持ちより、どこから来たか、趣味は何か、など話に花が咲きます。

 彼女はゴスペルをやっているそうで、わたしも以前、ゴスペルサークルに行っていたことがあったのでさらに大盛り上がり。

 わたしはフラメンコをやっていて、数か月後の発表会に出るのが目標だというと「素敵! 絶対に観に行くから頑張って!」と応援してくれました。

 入院中なのにパジャマパーティーさながら、手術の痛みも忘れてあれこれ語り合い、あっという間に消灯時間。あまりに楽しいひとときで、病気になるのも悪くないなと思ってしまうほど。






かげがえのない“がん友”に


談笑する二人の女性
 全摘手術をし、リンパも切除したという彼女とは、がんの大きさや状況が似ていました。治療方針も抗がん剤もほぼ決定しているとのこと。これから始まる長い治療も一緒に頑張ろうね、と話し合いました。

 彼女は1週間前に手術したので2日後には退院してしまいますが、わたしはあと1週間ほどある入院生活。彼女が先に退院して寂しくはありましたが、まずはこの新しくできた友人を目標に、腕のリハビリをバッチリやるぞ!と気合十分です。

 これが、今後の抗がん剤治療も、ともに励まし合って過ごした、かけがえのない「がん友」との忘れられない出会いの瞬間でした。

<文/塩辛いか乃 監修/石田二郎(医療法人永仁会 Seeds Clinic 新宿三丁目)>
塩辛いか乃
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako




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