いくら親子の関係がよくても、子どもが思春期以降になると、その恋愛状況や性体験など、親でも知らないことは増えていくものです。もし、未成年の子どもが望まない妊娠のリスクにさらされているかもしれないとき、親は子に何を伝えるべきなのでしょうか?
筆者も実際に診療の場で、緊急避妊を希望して1人で受診された14歳の中学生を診たことがあります。普段の避妊法を確認したところ、臆するなく「いつもはコンドームで」と答えられましたので、彼女にとっては14歳でセックスをしていることも自然なことだったのかもしれません。
14歳でセックスをすることをどう感じるかは人それぞれで、国や時代によっても価値観は変わります。年齢だけで一概に早すぎると考えてはいけないかもしれません。しかし筆者も娘を持つ「親の立場」で考えると、多少なりともショックを受けてしまうと思います。
わが子に「セックスと、そのリスク」をどう伝えるべきなのか
では年頃の子を持つ親は、セックスや避妊について、子どもにどう伝えるべきでしょうか。答えはご家庭の数だけあると思いますが、産婦人科医として、また娘を持つ一人の母親としての筆者の考えをご紹介したいと思います。
まず最初に伝えたいのは、セックスは悪いことでも不潔なことでもなく、とても素晴らしいコミュニケーションの方法だということです。それを伝えた上で、それに伴うリスクについても話します。
セックスは素晴らしい面もある一方で、「安易な」方法にもなりかねません。もしほんの少しでも「まだ早いかな」「本当にしていいのかな」といった気持ちや後ろめたさを感じるのなら、流れでセックスをするのではなく、正直にその気持ちを相手に伝えることが大切だということを伝えるべきでしょう。
自分の気持ちを大事にして、自分の体や心をきちんと守る方法を学ぶことは、年齢にかかわらずとても大切なことだからです。
しっかり考えた上で「やっぱりセックスは必要」という結論になったのであれば、セックスには「妊娠」と「性感染症」のリスクが伴うことと、安全にセックスをするために必要な知識をきちんと身に付けるように伝えます。
「あなたはまだ〇歳だから、セックスをしてはいけない」という伝え方ではなく、セックスの良い面とリスクをしっかりと知り、自分の心と体、気持ちをしっかりと大事にしてほしいということを、しっかりと伝えていきたいです。
女性医療ネットワーク発起人・NPO法人ティーンズサポート理事長。日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。女性医療の先駆者の下、最先端の性差医療を学び、「全ての女性に美と健康を!」をコンセプトに現場診療にあたる。ネット・雑誌・書籍等の媒体を通し幅広く健康啓発を行っている。
執筆者:清水 なほみ(産婦人科医)