一生懸命に仕事をして、お金を貯めて、自分で自分を養う。結婚の予定も、仕事が続く保障もない。わき出る不安をかき消すように、仕事をしてお金を貯めてのエンドレス。
『稼いだら幸せになれると思ってた』(はちみつコミックエッセイ オーバーラップ)を読み、私は「わかる!」と涙しつつ本を抱きしめてしまいました。著者の福々ちえさんの体験記として描かれた、人生の目的を問いただした一冊です。
子供の頃からの夢を叶え、大好きなイラストを描いて過ごす日々。仕事は途切れず、平穏無事な生活。30代、独身、フリーランス。幸せなはずなのに、ふと不安がおしよせる。なぜなら、未来が見えないから。見えない未来の保障になってくれるのは、お金しかない。そう考えてしまうのは、福々さんだけではないはず。
私達は、本当にお金が必要だからお金を貯めているのでしょうか。いったいいくら貯めたら幸せになれるのか、福々さんは疑問を持つのです。

『稼いだら幸せになれると思ってた』(はちみつコミックエッセイ オーバーラップ)を読み、私は「わかる!」と涙しつつ本を抱きしめてしまいました。著者の福々ちえさんの体験記として描かれた、人生の目的を問いただした一冊です。
私、どうして節約しているの?
子供の頃からの夢を叶え、大好きなイラストを描いて過ごす日々。仕事は途切れず、平穏無事な生活。30代、独身、フリーランス。幸せなはずなのに、ふと不安がおしよせる。なぜなら、未来が見えないから。見えない未来の保障になってくれるのは、お金しかない。そう考えてしまうのは、福々さんだけではないはず。
私達は、本当にお金が必要だからお金を貯めているのでしょうか。いったいいくら貯めたら幸せになれるのか、福々さんは疑問を持つのです。

不安を分かち合いたい
未来への不安をひとりで抱えるのはいや。もしも体調を崩したら。もしも仕事が途切れたら。起こっていない未来を想像して、また不安に苛(さいな)まれる。ある日、福々さんは思うのです。「せめて誰かが一緒に歩いてくれたら…」と。こうして福々さんは、結婚相談所の扉を叩きました。
婚活のきっかけを問われた時、「愛する人とあたたかい家庭が作りたいから」と、さもそれっぽく答える人が、いったいどれほどいるでしょう。「早く子供がほしい」「実家から出たい」といったシビアなこたえもあるかもしれません。でも根底にあるのは「不安だから」ではないでしょうか。
明るい未来よりも暗い未来を想定してしまっている。悲しいけれど、私達は皆、希望というはかなさを知ってしまっているのです。
結婚すれば幸せ?
婚活に目覚めた福々さん、当時34歳。20代が売り手市場の結婚相談所では、プロフィールを盛るのが必須。不本意ながら、福々さんも仲人(なこうど)の言うままに女子アナ偽装に奔走します。努力の甲斐あって、お見合いエントリーが殺到し、念願のプロポーズ。
しかし福々さんの心は、晴れやかになるどころか苦しいままなのです。目の前にいる相手は、不安を分かち合いたい相手ではないことに気づいたから。結局、不安は自分ひとりでしか解消できない。これこそ見たくない現実ですが、逃げられない現実でもあるのです。
結婚しても不安、だったらどうする?
たとえ愛する人と結婚できたとしても、幸せは永遠ではありません。どこまでいっても不安はつきもの。そもそも不安が生まれるのは、自分の幸せがわかっていないからではないでしょうか。世間一般の幸せではなく、自分がカスタマイズする、たったひとつの幸せです。
福々さんは、具体的な不安要素をノートに書き留めるとともに、お金の勉強に着手しました。漠然(ばくぜん)としたモヤモヤを形にして、ひとつずつ塗りつぶしていったのです。そしてさらなる気づきがやってきます。自分の人生が「お金のかかる人生じゃない」ということに。
誰かの幸せじゃない、自分だけの幸せ
“年に1回は海外旅行をしたい”、“車は絶対に外国車”、“将来は郊外に一軒家を建てる”、etc.。人にはそれぞれ願望があって、心の感度も違います。
「ああ、幸せ!」と歓喜する瞬間が、高級エステを受けた時の人もいれば、挽(ひ)き立てのコーヒーをお気に入りのカップで飲んだ時という人もいます。「贅沢(ぜいたく)に興味なし」な福々さんの不安材料は、こうして減っていきました。
お金はもちろん大切ですが、もっと大切なのは、自分の人生をどうクリエイトしていくかという点。お金や婚活に翻弄された福々さんが、「どう生きたい?」と自問自答した先に、神様はとっておきの縁を用意していました。
会社員もフリーランスも、結婚してもしなくても、人生に不安は付きもの。あなたはどう生きたいですか。あなただけの幸せは何でしょうか。不安も、幸せも、生み出すのはあなた自身だということを、本書はおしえてくれるのです。
<文/森美樹>
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx
(エディタ(Editor):dutyadmin)






















