女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「びっくり体験」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2021年10月24日 記事は取材時の状況)
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宗教の勧誘を受けたことはありますか? 友人、恋人など……相手との関係性はさまざまだと思いますが、なかには突然自宅にやってくる訪問型の勧誘を受けて驚いてしまったという人もいるのではないでしょうか。

※イメージです(以下、同じ)
進学を機に上京、そこで出会った信者の女性が…
「もう何年も前の話ですが……」と振り返るのは会社員の理沙さん(仮名・33歳)。母親がとある宗教に入信していて、子どものころから定期的に教団の集まりに通っていたそう。大人になってもその教理を勉強するのが当たり前だと考えていました。
「私は地方出身で、大学進学を機に上京したとき、引っ越し先の近くにある集会所を探してもらって、しばらく通っていました」
そこで紹介された女性信者・Aさんとともに週に1回、自宅で教理を学ぶことになりました。
「Aさんは30代半ばくらいの女性でとても熱心な方でした。高校生の時まで月に1~2回しか通っていなかった集会に、『これからは週3回で通ったほうがいい』と助言されて、『確かにそうかも』と思って、行けるときは極力行くようにしていました」
ですが、大学とアルバイトの合間を縫って週に1回の勉強会と週3回の集会……どちらも参加前の予習が必須で、理沙さんはだんだんと疲弊していきました。
「学校を休んででも集会に!」の一言に違和感
大学3年になると就職活動が始まり、さらに多忙を極めるようになった理沙さん。
「学校の授業と、アルバイトと、宗教の集まりと……心身ともに休まる時間がほとんどありませんでした。しかも就活が始まると面接に行くだけでなく、エントリーシートや履歴書を書くのにも時間がかかります。だんだんと就活やバイトが忙しいことを理由に集会を休むようになりました」
熱心な信者のAさんは、理沙さんが集会を休みがちになると、さらにしつこく誘ってくるようになりました。
「勉強会で会ったときや、電話でAさんがしつこく誘ってくるのが本当に苦痛でした。『学校を休んででも集会に来て!』って言われたこともあって……。学生なのだから学業や就活を優先するのが当然なのに、それをないがしろにしてまで集会に参加しなければいけないのかと悲しくなりました」
一度離れてしまった気持ちは戻らず…
その間もAさんから集会への参加を促された理沙さん。しかし、一度離れてしまった気持ちを戻すことはできず、集会への参加はますます頻度が下がっていったそうです。それと同時に熱心すぎるAさんに対しても疎ましいと思う気持ちが出てきました。
そして、「この世の終わりが来る」「信者以外と恋愛禁止」といった教えにも疑問を持つようになり、理沙さんは大学卒業を機に脱退を決意します。
その後、理沙さんが引っ越し先でも教理を学ぶものだと思いこんだAさんは、引っ越し先の近くに住んでいる信者の女性に理沙さんのことを紹介したそうです。
「引っ越ししてすぐ、紹介を受けた女性が自宅に来ましたが、インターホン越しにその人の話を聞くだけ聞いて集会には一切行きませんでした。彼女は何度か訪ねてきましたが、すべてスルーし2年くらいたってようやく来なくなりましたね」
「もう戻るつもりはありません」ときっぱり
それから3年後くらいにAさんから久しぶりに電話がかかってきました。
「既にAさんの電話番号を削除していたので、誰からかわからないまま電話に出たらAさんだったのでびっくり。もうそのころには別のアパートに引っ越していたので、『今自分がどこにいるか教えたくないし、もう教団に戻るつもりはありません』と伝えて、きっぱりさよならできました」
Aさんの度を越えた熱意がきっかけで脱会した理沙さん。「勉強会もなく、集会もなく、自由な時間を満喫できる今の方がはるかに楽しい」と明るく語ってくれました。
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<取材・文/林加奈 イラスト/朝倉千夏>
(エディタ(Editor):dutyadmin)