糖質制限にプロテイン摂取、もちろんエクササイズも頑張って、健康的に痩せたと思ったらルックスは不健康。こんなのあり? と嘆いているあなた。結局、大人のダイエットは正しい食事しか勝たんのです。
せっかく痩せたのに、老けた?
『食べたいものを食べて一生スリムをキープする食事のすごい黄金バランス』(青春出版社)には、ダイエットに熱中するあまりに抜け落ちていた知識がいっぱい。著者の三田智子さんは管理栄養士ですが、自らも20年間ダイエットとリバウンドを繰り返したといいます。47歳で一念発起し、一生モノのダイエット方法を編み出しました。
更年期時期のダイエットは、メンタルバランスやストレス、老化との闘い。せっかく痩せたのにシワシワよれよれ、という残念な結果だけは避けたいですよね。
注目すべきは骨。62歳の筆者の骨年齢は20代
近年、たんぱく質強化食品が脚光を浴びています。筋肉至上主義の流れかもしれませんが、本書によると注目してほしいのは筋肉より骨。もちろん筋肉も大切ですが、「筋肉が活かされるのも、丈夫な骨があってこそ」。
たとえるなら「ふにゃふにゃ、スカスカの骨組みにコンクリートがつきにくくなるようなもの」と本書。しかも「筋肉がつかない代わりにつくのは脂肪!」という悪循環に。
ただし、カルシウムだけを摂っていては効果はなし。カルシウム+ビタミンD+マグネシウムのバランスが、立派な骨をつくるのです。ちなみに三田さんの骨年齢は20代。現在62歳でアラカンの三田さんですから、これは医者も驚愕する数値です。まさに「食べ方を変えると人生が変わる」を体現した結果。さっそく今日からできる食事のコツを、いくつか伝授しますね。
糖質とたんぱく質の新常識とは
ダイエットにおける食事内容として、無視できないのが糖質とたんぱく質。糖質制限をしてたんぱく質を多く摂取すれば成功!というのは大間違い。まず「極端に糖質制限をしてしまうと、脂肪がつきやすい身体になる」さらに「むやみに糖質オフすると老ける」とこちらも悪循環。
糖質というのはエネルギー源です。やみくもに糖質を抜いてしまうと、体は入ってきた糖質を貴重なものととらえ、脂肪としてため込もうとするのだとか。次いで体内の栄養バランスが崩れ、体が甘いものや添加物を欲するようになるといいます。
そもそも人生後半戦の女性がエネルギー不足に陥ると何が起こるか、想像できますよね。痩せる前に老けてしまうのですよ。
老けないためにはたんぱく質、コラーゲン!筋肉がつけば代謝がアップ!というたんぱく質推しのあなた。「たんぱく質が体内で筋肉になれる量は、実は決まっている」のです。
本書によると「たんぱく質の1日の摂取推奨量は50g(18歳以上の女性)」。ただし、お肉を50g食べたからといって、50gのたんぱく質が摂れるわけではありません。お肉の場合は「重量の約20%が、たんぱく質の摂取量」。でも、たんぱく質はごはんやパン、野菜や乳製品にも含まれているのです。
本書を読んでいると、栄養素は「太る」「痩せる」という単純な分け方はできないというのを痛感します。絶妙なバランスで、私達の心身を作り上げているのです。
40代後半、運動なし、半年で10kg痩せた食事とは?
本書の「黄金バランス」は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を元にしているそうです。ダイエットって、どこか非日常的というかイベント的というか、「ダイエットをしている私(すごい、えらい、頑張ってる、素敵)」というような言葉の装飾で、モチベーションを上げたいんですよね。
そういう意味でいえば、本書のダイエットは「地味」で「まじめ」。とはいえ「40代後半、運動なし」で「半年で10kg痩せた」という輝かしい実績があるのです。老けることもリバウンドもなく、ダイエット及び体質改善が可能なら、試す価値は十分ありだと思いませんか。
黄金バランスとは「一汁三菜」。細かいことはさておき、簡単な目安を本書からお伝えしますね。
・主食 … ごはんお茶碗1杯、食パン(6枚切り)1枚半
・汁物 … 味噌汁、スープ(野菜、たんぱく質)
・主菜 … 肉、魚、豆、(卵でも可)のいずれかに野菜を付け合せる
・副菜 … 野菜(たんぱく質があっても可)
・副副菜 … 野菜(いも類、果物、漬物など)※なくても可
この一汁三菜を1日3食いただきます。糖質制限マジックにかかっている人にとって、つい糖質をカットしてしまいたくなります。が、ここは本書を信じでバランス重視にしてほしいです。一汁三菜を意識するだけで、「体調がよくなった」「疲れにくくなった」など、体に変化がおとずれるようです。
わかりやすい、3.1.2弁当箱法

昔ながらの知恵、一汁三菜がいいのはわかるけれど、時間がないし、めんどうくさい。私も激しく同意します。そんな方は、「3.1.2弁当箱法」(©NPO法人 食生態学実践フォーラム)を取り入れてはいかがでしょうか。つまり「主食:主菜:副菜を3:1:2の割合にする」のです。注意したいのが「お弁当箱の容量(ml)≒エネルギー量(kcal)」ということ。お弁当箱の容量が500mlの場合、500kcalになるのです。
お弁当箱が決まったら、あとは食材を入れるだけ。このやりかただと、けっこうごはんの割合が多いんですよね。でも、ごはんを減らすのは厳禁。ごはんをしっかり食べると、空腹になるまでの時間が長く、おやつに手が伸びなくなるに違いありません。
ダイエットを決意したのは、なぜ?
そもそも、なぜ、痩せたいのでしょう。なぜ、ダイエットしなきゃと決意したのでしょう。きれいになりたいから。健康的になりたいから。人によって事情は異なりますが、もともとは「痩せたい」が第一目標ではないように感じます。
健康的で肌ツヤもよく、毎日が楽しく、生き生きして、ちょうどいい体型を保っている。これがベストな状態ではないでしょうか。
「食べ方は生き方です!」と本書がいうように、正しい食生活を送って、気がついたらほどよく痩せていた、というのが理想ですよね。
「サプリメントは不要、外食も我慢しなくていい」と、潔いほど黄金バランスにこだわった本書。地味でまじめ、そして一本気。人生最後のダイエットで、人生の黄金バランスもクリエイトしようじゃありませんか。
<文/森美樹>
森美樹
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx
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