
SNSで世間からの心ない言葉に傷ついた女性や、悩みを抱える女性に優しく寄り添い、鼓舞するような言葉を掛けているインフルエンサーの“まゆ姉”こと、まゆさん。
まさに女性の味方のような存在で、9月には『「1日1つ」で人生が変わる 幸せメンタルをつくる100チャレンジ』を上梓したばかりの彼女だが、実は最初からポジティブに生きられたわけではなかったそう。
「ブス」という言葉がきっかけで踏み出した整形。変わりたいのに変われずに悩んだ過去。
話していくと、女性としてぶつかることの多い外見に対する悩みを当事者として乗り越え、ゆっくりと時間を掛けて前向きに考えられる思考に至ったという。
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最初の整形は「満足できなかった」
――学生時代の摂食障害になった経験を聞き、もともとご自身の容姿に対してこだわりが強い印象を受けました。整形をしたいと思ったのも、学生時代だったのでしょうか。
まゆ姉:そうですね。高校時代でした。高校生の頃はいじられキャラだったので「アイプチ見えてるよ」「作り二重」ってアイプチしていてもいじられたり、「目つき悪い」「怖い」と言われていて。
そのときに“私の目って変なんだ”って思うようになって、コンプレックスになっちゃったんです。それで、自分でお金を貯めて、親に話して同意書も書いてもらって、高3の終わりくらいに埋没法で目を二重にしました。
――最初の整形の満足度はどうでしたか?
まゆ姉:二重になれたこと自体は嬉しかったんですけど、正直満足はできませんでした。整形を受ける前は「二重になれば可愛くなれる」「180度人生が変わる!」と思っていたのですが、実際はかわいくないままだし、全然理想の顔にはなれず。劇的に変わったとは思わなかったですね。容姿のことをいろいろ言われてきたので、容姿コンプレックスみたいなものが自分の中で育っちゃってたんだと思います。
毎日「ブス」と言われたキャバクラ時代
――容姿コンプレックスが育った原因というのはなんだったのでしょう。
まゆ姉:学生時代の経験もあるのですが、キャバクラで働いていた頃に加速した気もします。地元を出て東京の大学に進学し、過去の自分を知る人がいないので精神的に落ち着いたのですが、当時バイトをしていたキャバクラで、毎日のように「ブス」って言われて。

――ひどい…。
まゆ姉:自分から容姿で判断される世界に入ったのでしょうがないんですけどね。当時は奨学金を借りて大学に行っていたので奨学金も返さなきゃいけないし、もっと整形したい気持ちもあったので、バイトは続けていたんですけど、辛かったです。それこそ、田舎から出てきて、東京で働いて、可愛い子がいっぱいいて、「自分ってこんなにブスだったんだ」って…。その上、当時付き合っていた彼氏が「ブス」とか「太った?」とか言うような人で。
――ええ!それは落ち込みますね。
まゆ姉:今思うと、一回りくらい年下の彼女にそんなこというなんて、大した大人じゃないんですけど、そのときは「私ってそうなんだ」ってそのまま受け止めちゃうような性格だったんですよね。それで頑張っても、頑張っても「ブス」「デブ」って言われているうちに「私ってまだブスなんだ」ってどんどん拗らせちゃったんです。
全切開をしても自信は持てなかった
――そこから、どうやって変わることができたんですか?
まゆ姉:二重の埋没が取れちゃっていたので、今度は切って二重にする全切開しました。当時、憧れていた幅広のハーフっぽい二重にしたくて。
ただ、正直、全切開をしても何をしても自信は持てず、そう簡単に理想の顔になれるわけじゃないんだなと悟りました(笑)。結局自分の内面だなと思って、じゃあコミュニケーション力をつけようとか、私は顔じゃなくてしゃべりで勝負しようとか思うようになったんです。そこからいろいろなことに挑戦できるようになりました。
――具体的にどんなことに挑戦したのでしょう?
まゆ姉:自信がなくても自信のある振る舞いだけでもしようと思って努力しました。
二重全切開をしても自分の顔には自信を持てなかったけど、それをきっかけに内面だなって思えて、振る舞いが変わり、本当に自信がついていったんだと思います。
容姿への考えが変わったコロナ禍

――それ以降も、さらに整形はされたんでしょうか。
まゆ姉:メスを入れるもので言うと目尻目頭切開やグラマラスラインはしました。実はもともとは輪郭の整形をしようと思ってお金も貯めたのですが、コロナ禍に入って韓国に行けなかったり、夜の世界を離れたことをきっかけに「もう(切る整形はしなくて)良くない?」って思ってしまって。
ヒアルロン酸や定期的なボトックスなどの注入系は欠かさずしていますが、もう大きく変わるような整形はあまりしていないです。内面を磨こうと思えたことも大きいです。
――「もう良くない?」と思えたのは環境の変化が大きかったからですか?
まゆ姉:大きいですね。自分の容姿にコンプレックスがあるのに、容姿で評価される世界に飛び込んでしまったので、そこからなかなか抜けられなかったんです。夜の世界なので美的感覚も少し違っていて。
お客さんって普通の子にお金を払わないというか、“普通にはいない子だからこそお金使う”ので、やっぱりちょっと派手な子の方が稼げる。でも、いざ離れてみると、あれは夜の世界での美の基準だったし、「なんであんなに整形にこだわっていたんだろう?」って思えるようになりました。
自分に自信を持つための整形は良いけど…
――今のまゆさんが思う整形に対する考えを知りたいです。
まゆ姉:整形をして気持ちが前向きになって、自信を持って生きていけるなら、私は全然整形をしてもいいのかなと思っています。
ただ、他人の評価基準とかで“しなくちゃいけない”ということは絶対にない。整形が目的なのではなく、自分が幸せになる手段の1つとして、使っていけたらいいのかなと思います。

――外見に囚われていた過去のことを振り返ってみて、今思うことがあれば教えてください。
まゆ姉:やっぱり辛かったこともたくさんあるけど、経験を元にこうして今発信できていることはすごく良かったなと思うんです。整形や拒食症・過食症に限らず、自分が辛かったことって武器になるっていうか、誰かのためになれたりする。
例えば、「ブスが悪いんじゃないんだよ。言う人がおかしいんだよ」とか、経験した今だから分かるんですよね。当時の私と同じように自分の顔が悪いって思っちゃっている人がいるのなら、そう思わないように「そうじゃないよ」とたくさん伝えていきたいです。
――なるほど。
まゆ姉:「ブス」って言われて悲しい思いをしたことがなかったら、もしかしたら人の容姿を馬鹿にする人になってたかもしれないし、自分が今最もなりたくないって思っている自分になっていたかもしれない。今の自分があるのは、辛かった過去のおかげでもあるなって思います。
経験と努力の小さな積み重ね
――お話を聞いてみると、今のポジティブさも後からついてきたように感じました。
まゆ姉:「自分で仕事をしたい!」と思ったときに、このままの考え方じゃダメだなと思って、まずは口に出す言葉を変えようって決めたんです。ネガティブな言葉を言わないようにしようって。
もし言ってしまったら、「でもこういう見方もあるよね」って自分で自分の考えを訂正したり、とにかく日常の中で小まめに意識するようにしたりしていました。20年もネガティブ思考だったので、そんなすぐに変わることはできなかったんですけど、ちょっとずつちょっとずつですね。
――そうだったんですね。
まゆ姉:でも、あえて転機を言うなら、YouTubeを始めて、自分が見せたくないような嫌な部分も見せれるようになったこと。田舎のボロい家に引っ越したことがあったのですが、自分の悪いところも全部赤裸々に見せなければいけない状況に追い込んだことによって、いろいろと吹っ切れました(笑)。
――最後にこれからの展望を教えてください。
まゆ姉:自信を持って生きられる女性を増やすために今年の1月に会社を作ったんですが、その信念を元にいろいろな活動をしていきたいなと考えています。
9月からは“みんなで運動習慣を身につけよう”ということで、お家でピラティスをする「ボディメイク部」を発足したんですが、まずはそれを盛り上げていきたいですね。
まゆ姉:“女性を勇気付ける発信”というのは、この先、形が変わっていっても、ずっと続けていきたい。同じ出来事でも捉え方次第で人生を変わっていくので、「こういう捉え方もあるよ」とか「私はこういう捉え方をして変わったよ」とか、そういうのを伝えたいと思っているし、それで自信を持って生きられる女の子が増えたらいいなと思っています。
――ありがとうございました。
<取材・文/瑞姫>
【まゆ姉】大学卒業後、20代前半はキャバ嬢として働き、No1となる。引退後「女性応援インフルエンサー」としておよそ3年間活動。2023年会社を設立。オンラインフィットネス事業をはじめ、女性を元気づけることを目指した事業を多数展開している
書籍:『「1日1つ」で人生が変わる 幸せメンタルをつくる100チャレンジ』
YouTube:mayunee_fem
Instagram:mayunee.fem
瑞姫
1994年生まれ。奈良県出身。エンタメメディアでの芸能ライターとしての経験を経て、フリーランスのライターに。主にエンタメ・トレンド系の取材・インタビューを中心に、恋愛コラムの執筆を行っている。フォロワー数4.5万人のTwitterでは恋愛・美容系について発信する、インフルエンサーとしても活動中。漫画と散歩と猫が好き。
Twitter:@mizuki32k
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(エディタ(Editor):dutyadmin)



