【いまどきの男を知る会 ファイルNo.41 犬散歩男子】
表参道を歩いていると数年に一度、大量の犬を連れた男性とすれ違います。思わずスマホを向けると笑顔で「シックスティーン!」などと犬の数を叫んでくれるサービス精神の持ち主です。
最初は、近所に広大な屋敷を持つお金持ちなのかと思っていました。それにしては大金持ちのギラギラ感はなく、謎は深まるばかりでした。
そんなある時、「フライデー」のウェブの記事で,この男性の正体を知りました。ペットホテルの経営者で、散歩屋も請け負っているという森部暢章(のぶあき)さんです。
多くのペットホテルでは預かっている犬の散歩が足りていないと考えたのがきっかけで、預かっている犬や保護犬、自分の犬などを毎日約4時間散歩させているそうです。25匹くらいまで同時に散歩できるとか。犬に引っ張ってもらえたらラクに歩けそうです。

名前もわかったのでぜひ話を伺ってみたいと思っていたところ、ちょうど、犬の「散歩屋」と同業者的な、「散歩屋ケンちゃん」という、いしだ壱成・石田純一親子が出演する映画が公開。
私もこの作品に少し出た関係で、トークイベントに森部さんを呼んでいただくことができました。そして、高円寺パンディットにて寺井広樹監督と森部暢章さんと3人でトーク(というか公開取材)させていただきました。
当日、森部さんは犬連れではなく単身で、あふれる陽キャ感と、どことなくセレブオーラを発していました。その理由はあとでわかったのですが、犬の多頭散歩姿が世界各国で拡散され、バズっていたお方だったのです。イベントの後、夕方から犬の散歩に行かれるそうでした。
まず、映画の感想を伺うと「本当に不思議な映画で後半の漫画の部分とか感動しました。僕も子どもがいるんでちょっと父親目線で観てしまいましたね。あと散歩の仕事が一緒だったので嬉しかったですね」と、森部さん。ご家族もいることが判明。
ちなみに映画のロケ地は、ペットショップの建物を利用して、クリーニング屋として撮影していたのですが、森部さんは棚に犬のおやつが並んでいるのを見てペットショップだと察していてさすがでした。

映画の撮影では散歩のシーンで犬が逃走しかけたり、犬ではなく人間ですが、いしだ壱成さんの姿が見えなくなってしばらく連絡が取れないなどのトラブルがあったそうです。森部さんは散歩中、犬がどこかに行ってしまわないように細心の注意を払っているとか。
「基本的に犬は群れる習性を持っているので、リーダーの僕が立ち止まると一斉に止まってその場にじっとしているんですよね」
たしかに犬たちの足並みが揃っていて統率が取れていました。散歩は長い時で約4時間とのことで結構疲れそうですが……。
「真夏だと2時間半くらいなんですが、毎日3、4時間くらい歩いている生活を16年ほど続けています。もう1万時間くらい歩いて、犬業界の人でこんなに歩いている人はいないと思うんですが、めちゃくちゃ歩くことが健康につながってるんだなっていうのが発見できて。
公園で自然を感じて太陽を浴びるっていうすごいシンプルなことなんですが、犬たちも僕も全く病気しないんですよね」
普通の犬を飼っている人はそんなに何時間も散歩できないので、森部さんのような方に頼むのがベストなのでしょうか。散歩屋という仕事の認知が高まれば、世の飼い犬たちの健康状態が良くなりそうです。
表参道を歩いていると数年に一度、大量の犬を連れた男性とすれ違います。思わずスマホを向けると笑顔で「シックスティーン!」などと犬の数を叫んでくれるサービス精神の持ち主です。
最初は、近所に広大な屋敷を持つお金持ちなのかと思っていました。それにしては大金持ちのギラギラ感はなく、謎は深まるばかりでした。
犬25匹くらいまで同時に散歩できる男性の正体とは
そんなある時、「フライデー」のウェブの記事で,この男性の正体を知りました。ペットホテルの経営者で、散歩屋も請け負っているという森部暢章(のぶあき)さんです。
多くのペットホテルでは預かっている犬の散歩が足りていないと考えたのがきっかけで、預かっている犬や保護犬、自分の犬などを毎日約4時間散歩させているそうです。25匹くらいまで同時に散歩できるとか。犬に引っ張ってもらえたらラクに歩けそうです。

名前もわかったのでぜひ話を伺ってみたいと思っていたところ、ちょうど、犬の「散歩屋」と同業者的な、「散歩屋ケンちゃん」という、いしだ壱成・石田純一親子が出演する映画が公開。
私もこの作品に少し出た関係で、トークイベントに森部さんを呼んでいただくことができました。そして、高円寺パンディットにて寺井広樹監督と森部暢章さんと3人でトーク(というか公開取材)させていただきました。
当日、森部さんは犬連れではなく単身で、あふれる陽キャ感と、どことなくセレブオーラを発していました。その理由はあとでわかったのですが、犬の多頭散歩姿が世界各国で拡散され、バズっていたお方だったのです。イベントの後、夕方から犬の散歩に行かれるそうでした。
犬業界の人でこんなに歩いている人はいないと思う
まず、映画の感想を伺うと「本当に不思議な映画で後半の漫画の部分とか感動しました。僕も子どもがいるんでちょっと父親目線で観てしまいましたね。あと散歩の仕事が一緒だったので嬉しかったですね」と、森部さん。ご家族もいることが判明。
ちなみに映画のロケ地は、ペットショップの建物を利用して、クリーニング屋として撮影していたのですが、森部さんは棚に犬のおやつが並んでいるのを見てペットショップだと察していてさすがでした。

映画の撮影では散歩のシーンで犬が逃走しかけたり、犬ではなく人間ですが、いしだ壱成さんの姿が見えなくなってしばらく連絡が取れないなどのトラブルがあったそうです。森部さんは散歩中、犬がどこかに行ってしまわないように細心の注意を払っているとか。
「基本的に犬は群れる習性を持っているので、リーダーの僕が立ち止まると一斉に止まってその場にじっとしているんですよね」
たしかに犬たちの足並みが揃っていて統率が取れていました。散歩は長い時で約4時間とのことで結構疲れそうですが……。
「真夏だと2時間半くらいなんですが、毎日3、4時間くらい歩いている生活を16年ほど続けています。もう1万時間くらい歩いて、犬業界の人でこんなに歩いている人はいないと思うんですが、めちゃくちゃ歩くことが健康につながってるんだなっていうのが発見できて。
公園で自然を感じて太陽を浴びるっていうすごいシンプルなことなんですが、犬たちも僕も全く病気しないんですよね」
普通の犬を飼っている人はそんなに何時間も散歩できないので、森部さんのような方に頼むのがベストなのでしょうか。散歩屋という仕事の認知が高まれば、世の飼い犬たちの健康状態が良くなりそうです。
「毎日何千人もの人にカメラを向けられる」海外でも有名人に
「アメリカでは散歩ビジネスが成り立っていて何十億も出資されたりしているのですが、日本は遅れていますね。犬の仕事をやっていく人たちが増えていけばと思っているのですが……」
人間も一緒に散歩して健康になるので、双方にとってメリットが。今まで何回か表参道で森部さんと遭遇しましたが、いつも満面の笑顔を向けてくださっていました。やはり犬たちと歩いていると自然と笑顔になるのでしようか。
「毎日何千人もの人にカメラを向けられるので、どうせ撮られるんであれば喜んでもらいたいな、というのはあります。今もう海外の観光客が戻ってきてるんで。海外の方たちに、日本人の良いイメージを持ってもらいたいと思っています。ちなみに今日もこの後オーストラリアの新聞社の取材が入ってます」
世界各国の人に撮影されている森部さん。海外でもかなり有名人になっているようです。
「中国とかのSNSで僕めちゃくちゃアップされてるみたいですね。でもあくまでも主役は犬なんで。なんでこんなたくさんの犬が仲良くしてるんだって驚かれるんですよね。犬たちは世界世界の老若男女を喜ばせる力があってすごいなと思います」
野性に近づくことを目指している
小型犬から大型犬まで一斉に歩いていますがスピードは同じでもついていけるのでしょうか。
「大きいワンちゃんも小さいワンちゃんもリーダーである僕の速度に合わせています。これはもう自然の本能ですね」
森部さんが犬の群れのリーダーだと認識させるため、初対面の犬にも15分くらい訓練をするそうです。よく、犬を溺愛してなめられたり、人間の方が犬の序列で下になったりする話を聞きますが……。
「優しすぎるのはダメですね。かわいいかわいいっていうのは、本来野性の世界にはないことなんです。犬の名前を呼ぶことも野性ではないじゃないですか。 犬の誕生日のお祝いとかも本来ないので僕はやらないですね」
たしかに野性の動物で誕生日を祝うというのは見たことないです。名前を付けるのも人間の都合です。森部さんは野性に近づくことを目指しているそうです。
「野性ではリーダーと群れの一員というシンプルな関係で。僕は散歩している間はかわいいとも言わないし名前も呼ばないです。でも僕の代わりに、すれ違う人がかわいいって言ってくれます」
散歩している間はプライドを持って犬のリーダーに徹する森部さん。でもときどき、犬たちへの歓声に混じって「お兄さんの方がかわいいよ」とホメてもらうとテンションが上がるそうです。
女子高生に負けたくない、っていう気持ちから短パン生活
本能の話でいうと、森部さん自身も散歩中にトイレに行きたくなったりはしないのでしょうか。半ズボンなので秋冬は体が冷えそうです。
「僕、今39歳なんですけど、子どもたちに元気な姿を見せたいと思って短パンはいてます。夏は大丈夫なんですけど、冬はもうめちゃくちゃ寒いんですっごいトイレ行きたくなるんですよね。本当オムツしたいくらいです。
でも、全部逆算してこの時間から水分とらない、とか準備しています。どうしても我慢できなくなったらスタッフを呼んでリードを持ってもらいます」
短パンというと日本では勝俣氏が有名ですが、もしかしたら世界的には森部さんの方が短パン有名人として認知されているのかもしれません。毎日の犬の散歩に、短パンという要素を加えることでさらに健康になることを発見した森部さん。
「女子高生が短いスカートをはいてるのに、なんで大人になってそういう格好ができなくなるんだろう、女子高生に負けたくない、っていう気持ちから短パン生活。風邪ひかなくなりますよ」
健康、知名度、モテ……犬の恩返しで全てを
トークイベントのあと、原宿に向かい、森部さんの散歩姿を見学しました。16匹の犬のリードを持ち、カメラを向けると満面の笑顔に。群れのリーダーとして犬たちに見上げられ、頼られていました。
海外メディアのカメラマンが同行し、森部さんを撮影。時折海外の方や日本人に囲まれたり「かわいい~!」と声をかけられたりしています。健康、知名度、モテ……犬の恩返しで全てを手に入れた森部さんは、また今日も満面の笑顔で表参道を歩いています。
<文・イラスト・写真/辛酸なめ子>
(エディタ(Editor):dutyadmin)
