こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

※画像はイメージです(以下、同じ)
前回、前々回と、カウンセラーの潮英子さんに、セックスレスの問題について語ってもらいました。今回は悩みを解決するための再構築について、出来ることやポイントを聞きました。
セックスの改善に役立つ「セックスの再定義」とは?

カウンセラーの潮英子さん
「夫婦のご年齢や、交際&婚姻期間の長さによって分ける必要があると思っています。まずは、皆さんが想像しやすい改善案から説明します。
若いカップルや婚姻期間の短い夫婦に有効なケースですが、セックスにドキドキ感を高める要素を入れてみる手法があります。旅行をしたり、ホテルに行ったり、各種グッズを活用してみるなどがこれに当たります。
場所や雰囲気、やり方を変えることで、セックスを盛り上げていくことで改善を図ります。またこの手法には、テクニック自体を見直すといった話も含まれます」
こうした刺激を加えるやり方は、多くの人が想像し、また失敗した経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
セックスは必ずしも「ムラムラ」から始まるものではない
実はこのやり方は、婚姻期間が長い夫婦や、中高年には通用しないのだと言います。
「長期的な交際によりマンネリ化したカップルや、家族化が進んでいるご夫婦には、今ご紹介した方法は上手くいきません。こうした相談には2つの提案をしていきます。
一つは、『セックスの再定義』をすることです。多くの方がセックスとは『ムラムラするから始めるもの』と思っているのですが、そうではなく、『セックスとは、凄く興奮しなくてもするもの』と再定義をするところから始めてみてほしいとお話します。
そもそも中高年には、ムラムラから始まるセックスは無いと思ってもらったほうがいいです。テンションは下がっているのですが、放置したら可能性がゼロになってしまう。だからこそ、ある程度意識し維持するための取り組みが必要です。
具体的には、以前もお伝えしましたが、まずはスキンシップ(ハグやキス)を積極的に取り、お互いのぬくもりを気持ちよく安心して感じられるようにしてください。
自然な流れとして、触っていると物理的な興奮も少し出てくることが多いです。『性欲から興奮する』といった従来の流れではなく『タッチから興奮を生み出す』といった流れを知っていければ、セックスへのハードルも下がると考えます」
“最後まで”でなくてもOK
ちなみにこういったスキンシップから発展してセックスになったとしても、愛撫だけで終わってもいいし、挿入や射精に至らなくてもいいそうです。
これもセックスの再定義の一つのポイントで『セックスは挿入して射精に至るもの』という従来の価値観から『心地よい体のコミュニケーションを楽しむもの』という価値観に変えていくことが大事です。
あくまでも目的は、触れ合いに安心感を持ち、セックスに過剰な期待をしないこと。まずは若い頃のセックスから、意識をアップデートすることが大切です。
「ルーティン化」することで向き合いやすくなる
「2つめは、『セックスの義務化・ルーティン化』です。こういうと、気持ち的に萎える人もいるかもしれませんが、セックスはそもそも家庭内における重要なタスクの一つです。
会社内であれば、重要なタスクはスケジュールを決めますから、家庭内でも同じスタンスで望んでみてはということです。
ただ、決めたことでプレッシャーになるようなタイプの方であれば、『毎週土曜日』と両者で決めるのではなく、片方が心の中でのみ決め、毎週取り組むといった方法でも良いでしょう。大事なのは、とにかく定期的に行為に取り組むことです」
ルーティンや義務といった、ある意味セックスとは対極にある言葉が出てきたことに、筆者は若干のとまどいを覚えました。
しかし、男性の中にはタスク化がしっくりきて、取り組めるようになる方も多いと言います。またタスクにして実行できたときは、自信や安心感の向上にもつながるためオススメだそうです。
片方に不信感や怒りがある場合は
「ご紹介した方法は、比較的夫婦関係が良好で、セックスについての問題“だけ”があるケースで効果を発揮します。
これに該当しない場合は、別のアプローチが必要です。例えばレスから夫の浮気や不倫が発覚し、妻側が傷ついているところからスタートする場合です。このような夫婦は信頼関係が崩れているので、まずは時間をかけて心から信頼出来る関係に戻すのが先です。
女性側は、帰りが遅いだけでドキドキしてつらく、また疑ってしまう自分が許せずに苦みます。セックス以前に、態度や誠意を男性側が見せることと、だんだんと関係が戻っていくことが優先されます」
こうしたご相談に、潮さんは女性には「怒っていい」と、カウンセリングを通して伝えるといいます。女性の中には、子どものことを考え離婚を踏みとどまり、怒りを押し殺してしまう人も少なくないといいます。
しかし怒りを心の中に残していると、悩んで鬱などになってしまう人もいるため、適切な怒りを感じていくことが重要になります。
「あとは、夫婦の“不公平感”が怒りとして溜まり、相手に失望しセックスに向き合えないケースもあります。こうした場合は、まず溜まっている怒りの元を見つけ、話し合う必要があります。
例えば、「大病したときに夫に心無いことを言われた」とか「義両親の対応を自分に任せっきりにされた」などです。
こうした怒りが蓄積され相手を信頼できず、気持ちが向かないことはよくありますので、話し合って関係に公平さを作っていくことが大切です」
セックスレスは、結局はコミュニケーションの問題
今回のお話から分かるのは、セックスレスの悩みは、マンネリや性欲の低下など、性に直結した問題にとどまっていないことも多いということです。
相手への失望感やコミュニケーションの不足、蓄積した怒りなどは、セックスレス解消に関係なく、取り組めると夫婦関係の改善に役立ちます。
「日常的に会話がなかったり、片方がレスの話題に逃げ腰だったりすると、そもそもの基本的な信頼関係の構築が重要になります。
またセックス自体に関心が薄い方の場合は、自分の中でのドキドキ感を高めたり、漠然とした性欲と向き合ったりすることも大切です。
40代以降のご相談者さんの中には、性器を見たことも触ったこともなく、性自体にまったく関心を持ったこともないという方もいます。
そういう方に、性欲を今からバンバン高めるというのは難しく、かといって奥ゆかしいままでは解決策に至りません。こうした場合は、性に対する危機感や関心と向き合い、うやむやにしないなども大切になります」
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正直なところ、筆者はインタビューを行うまで、夫婦のセックスレス解消は非常に難しく、一番の解決策は徹底した予防だと思っていました。
しかし「セックスの再定義」や「ルーティン化」といった意外なアプローチがあることを知り、またそうした取り組みを2人で進めるためにも、夫婦のコミュニケーション、すなわち絆をよりメンテナンスしていくことの重要性を感じたのでした。
【潮英子(うしお・えいこ)】
セクシュアリティカウンセラー、公認心理師。日本語教師や航空会社勤務を経てお茶の水大学大学院にて夫婦関係を研究。現在はセックスレスや性依存等のセクシュアリティ、夫婦関係、女性のキャリアの悩み相談に携わっている。著書『女性カウンセラーが教える50代からのhow to SEX』(光文社)、共著『雑談力』(明日香出版社)
<取材・文/おおしまりえ>
おおしまりえ
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518
(エディタ(Editor):dutyadmin)