ストレスの緩和やリラックスに最適な「ムードフード」。心身ともに健康的な生活を送るために非常に役立つと話題です。今回は、あんしん漢方の薬剤師、山形ゆかりさんにムードフードのメリットや種類、簡単にできるレシピを教えてもらいました。
ムードフードとは

たとえば、睡眠の質を高めるという乳酸菌飲料が話題になりましたが、それもムードフードのひとつです。
ムードフードを摂取するメリットムードフードのメリットには、気分を高め心身を整えたり、精神を安定させたり、ストレスの緩和が期待できるなどがあげられます。特別な食べものを用意しなくても、身近な食べ物で簡単に取り入れられることも魅力のひとつです。
<得たい効果別>ムードフードの種類以下にムードフードの主な種類を効果別にご紹介します。
・腸内環境の改善
腸内環境の改善には「発酵食品」がおすすめです。
ヨーグルトや納豆、キムチなどに多く含まれる乳酸菌には、腸内環境を整え免疫機能を高める効果が期待できます。また、乳酸菌のYRC3780株には抗ストレス作用があるため、ストレスの緩和にも役立つといわれています。(※1)
・ストレス抵抗力の向上
ストレス抵抗力の向上には「さつまいも」と「きのこ類」がおすすめです。
さつまいもやきのこ類に含まれるビタミンCには、抗ストレスホルモンを合成する作用があるため、ビタミンCをしっかりと摂取することでストレス抵抗力の向上が期待できます。(※2)また、さつまいもに含まれるビタミンCは、加熱しても壊れにくく調理がしやすいというメリットも。
・精神の安定
精神のコントロールには「発芽玄米」がおすすめです。
発芽玄米に含まれるGABAには神経を抑制する作用があるため、リラックス効果が期待できます。なお、GABAを合成するにはビタミンB6も欠かせないため、ビタミンB6を多く含むカツオやマグロのお刺身を主菜にして一緒に食べると◎。(※3)
・睡眠の質向上
睡眠の質の向上には「バナナ」と「緑茶」がおすすめです。
バナナに含まれるトリプトファンは、睡眠ホルモンのメラトニンを合成する際に必要なセロトニンの材料となります。また、バナナにはトリプトファンからセロトニンを合成するのに必要な栄養素も一緒に含まれているのもうれしいポイントです。(※4)
また、抹茶や玉露などに多く含まれるテアニンには、脳の興奮を抑制して神経を沈静化する作用があるため、睡眠の質の向上が期待できます。(※5)
ムードフードの上手な取り入れ方
ムードフードのレシピを2つご紹介します。栄養たっぷり! オーブンで作るやきいも
<材料>1人分
・さつまいも・・・中サイズ1本・アルミホイル
・竹串
作り方
1) オーブンを160℃に余熱する2) 洗ったさつまいもをアルミホイルで包む
3) 160℃で80分焼く
4) 竹串がすっと通ったら完成(通らない場合は再び加熱する)
超簡単! バナナヨーグルトスムージー

<材料>1人分
・バナナ(皮を剥く)・・・1本・ヨーグルト・・・60g
・牛乳・・・60㏄
・はちみつ・・・大さじ1
・バナナチップス・・・お好みで
作り方
1) バナナチップス以外の材料をすべてミキサーに入れる2) 材料がなめらかになるまで攪拌する
3) グラスに注いで、バナナチップスをお好みで散らして完成
主食に発芽玄米ご飯、主菜にマグロやカツオのお刺身、デザートにやきいもかバナナヨーグルトスムージーを添えれば、ムードフードを取り入れたスペシャルメニューになりますよ! 是非、チャレンジしてみてください。
ムードフードを取り入れる際の注意点
ムードフードを取り入れる際は、なるべくひとつの栄養素に偏らないようにバランスのいい食事を心掛けましょう。また、栄養素には「耐容上限量」という、健康的な摂取目安があり、摂りすぎてはいけない栄養素が存在します。たとえば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、カルシウム、鉄、亜鉛などです。ひとつの栄養素を過剰摂取しないように注意してください。
ムードフードで不調が解消されない場合は?

適度な運動を取り入れる・腸内環境を整える運動
1.イスに座って脚を組み、おなかを片側にねじりながら吸う・吐く呼吸を10回繰り返す
2.からだを正面に戻して脚を組み替え、逆側におなかをねじり、同じように呼吸を10回繰り返す
3.右手を上げ、左側にからだをやや倒したまま呼吸を10回繰り返す。左手も同じように行う。
おなかをひねる体操で、腸に刺激を与えましょう。
・集中力を向上させる運動
1.右手で頭の左側頭部を軽く押さえる
2.息を吐きながらゆっくりと頭を右に倒し、左側の首を伸ばす
3.息を吸いながらゆっくりと元に戻す
4.反対側も同じように行う
首のストレッチで、疲れや眠気を吹き飛ばし集中力を向上させましょう。
漢方薬を取り入れる漢方薬は体質改善や不調の根本へのアプローチが得意です。そのため、なかなか改善されない症状が、漢方薬で改善されるケースがあることも。
毎日ストレスを抱えていてつらいと感じる人には、以下のような働きのある漢方薬がおすすめです。
・エネルギーのめぐりをよくして、精神の緊張を和らげる
・エネルギーと栄養を補い、睡眠の質を向上する
・心身のバランスを整える
以下に、心身を整える効果が期待できる漢方薬を2つご紹介します。
<おすすめの漢方薬>・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
エネルギーのめぐりをよくすることで、気分の落ち込みやストレス、精神的な不安を緩和する漢方薬です。
・加味帰脾湯(かみきひとう)
エネルギーや栄養を補ったり、気持ちを落ち着かせたりすることで精神を安定させ、不眠にアプローチする漢方薬です。
漢方薬は、人それぞれの体質に見合った正しい服用が大切です。副作用が生じる場合もあるため、服用の際は医師や薬剤師の指示にしたがいましょう。
ムードフードは手軽に心身を整えられる!

<参考文献>
※1 北海道大学「乳酸菌YRC3780株の摂取が心理的なストレスに対する生理的ストレス応答を改善する効果があることを発見~メンタルヘルスの改善,メンタルヘルスの不調に起因する疾患を予防する食品の開発に期待~(教育学研究院 准教授 山仲勇二郎)」
https://www.hokudai.ac.jp/news/2021/08/yrc3780.html
※2 株式会社わかさ生活「わかさの秘密:ビタミンC」
https://himitsu.wakasa.jp/contents/vitamin-c/
※3 株式会社わかさ生活「わかさの秘密:GABA」
https://himitsu.wakasa.jp/contents/gaba/
※4 株式会社わかさ生活「わかさの秘密:トリプトファン」
https://himitsu.wakasa.jp/contents/tryptophan/
※5 株式会社わかさ生活「わかさの秘密:テアニン」
https://himitsu.wakasa.jp/contents/theanine/
writer / Sheage編集部
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