なぜ起こる?ハズかしい「うっかり間違い」。 ミスを減らすコツを脳科学者が解説! - ビュ

時刻(time):2023-09-10 20:41源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
思い込みが失敗を招く? 誰もに経験がある「うっかり間違い」 みなさんは、こんな経験はありませんか? ・自動ドアだと思ってドアの前に立っていたら、実は手動の引き戸だった ・いつもの醤油差しのつもりでビンを傾けたのに醤油が出てこず、よく見たらキャップが付いたボトルだった ・スマホを操作した後に、タッチ入力ができないタイプのパソコン画面を指でなぞ

思い込みが失敗を招く? 誰もに経験がある「うっかり間違い」

みなさんは、こんな経験はありませんか?

・自動ドアだと思ってドアの前に立っていたら、実は手動の引き戸だった

・いつもの醤油差しのつもりでビンを傾けたのに醤油が出てこず、よく見たらキャップが付いたボトルだった

・スマホを操作した後に、タッチ入力ができないタイプのパソコン画面を指でなぞってしまった

・子どもの持ち物に記名するときに、間違って親である自分の名前を書いてしまった

こうした日常的なミスには、「プライミング」という無意識の記憶のしくみが関係しています。

私たちは、体験したことを常に無意識のうちに覚え、次に起こることの予測をたてようとします。予測が当たれば、物事に素早く対応できるように役立ちますが、予測と違うことが生じた場合は、かえってこのしくみが邪魔をします。いわゆる「思い込み」や「勘違い」となるのです。

些細なミスかもしれませんが、ちょっと恥ずかしいですし、できればしたくはないですよね。防ぐにはどうすればいいでしょうか。

思い込みによるミスを減らす方法は「しくみを意識して注意する」こと

ヒントは、いわゆる「ひっかけ遊び」の中にあります。「10回続けて『ピザ』と言ってみて」という指示に従った後、腕の関節を指して「ここは?」とたずねられると、うっかりひっかかって「ヒザ(膝)」と答えてしまうものです。

何も考えずにやると、たいていの人がひっかかります。しかし、「これは何か罠かもしれない。注意しよう」と思いながらやると、冷静に判断して「ヒジ(肘)でしょ」と正しく答えられるのです。

つまり、「間違えないように気をつけよう」と意識して、注意を集中すると、プライミングによる「思い込み」が回避できるのです。

注意力や集中力を生み出すのは前頭前野の役割

注意力や集中力を生み出すのは、脳の中で「前頭前野」という場所です。

前頭前野は、思考、判断、理性(本能的欲求のコントロール)を担っていますが、注意力や集中力を生み出すのにも必要です。悩み事があったり、疲れていると、前頭前野がうまく働かなくなり、そういうときは注意散漫になって多くの失敗をやりがちになるのも、前頭前野が注意力や集中力を発揮するのに大切であることを物語っています。

通常プライミングは無意識のうちにできますから、「思い込み」が激しくてなかなか癖がなおらないという方も多いことでしょう。プライミングによる「思い込み」にひっかからないようになるためには、日頃から前頭前野をしっかり働かせられるようにしておくことが大切ですが、実はそれには、あるゲームが有効です。

ストループ課題とは……ストループ効果を実証する

アメリカの心理学者ジョン・リドリー・ストループは、1930年代初めごろに、ジョージ・ピーボディ教育大学(現在はテネシー州バンダービルト大学の一部)で博士号取得のためにまとめた論文の中で、文字の意味と文字の色のように同時に目にする2つの情報が干渉しあう現象について論じました。

そして後に、この現象がもたらす影響は「ストループ効果」、それを実証するために用いられたものは「ストループ課題」と呼ばれるようになりました。

「ストループ課題」は、心理学の教科書などにもよく載っていますし、最近はテレビ番組などでも取り上げられていますので、見たことがあるという方もいらっしゃるでしょう。言うまでもなくオリジナル版は英語ですが、それを日本語にアレンジした一例を、図に挙げます。

ストループ課題の一例
ストループ課題の一例


図には、色を表す漢字が違う色で記されて並んでいますね。

ではまず、図に書かれている漢字を、左上から順に、できるだけ早く読み上げてください。「みどり」「き」「あお」「あか」という具合です。はい、どうぞ。

これはきっと簡単だったでしょう。ほとんどの方が素早く、しかも間違えることなく読めたでしょう。

では今度は、図に書かれている文字に色がついていますから、左上から順番に、字を読むのではなく、その色を言ってください。「き」「あか」「みどり」「あお」という具合です。できるだけ早く。はい、どうぞ。

どうでしたか。字を読まないよう指示されているのに、早くやろうとすると、ついうっかり字を読んでしまいませんでしたか。失敗しなかった人でも、ついついひっかかりそうになり、時間がかかってしまったのではないでしょうか。

私たちの脳にとって「文字を読む」ことは「色を識別して言葉にする」ことよりも楽です。というのは、私たちは書かれた文字を必ず読みます(実際に口に出さなくても頭の中で読んでいるはず)。読むことは文字を理解するのに必要不可欠なステップだからです。

一方の色は、目で見て識別できればよく、必ずしも「〇色」と言葉にすることはそう多くありません。つまり私たちは経験的に、色を言うより、文字を読むことに慣れているのです。これは一種のプライミングです。

おまけに、「文字を読む」という課題を先にやっておくと、さらにプライミングされていたわけです。こうなると、「文字ではなく色を言ってください」と指示されていても、注意が途切れると、ついつい文字を読んでしまうのです。

注意を払ってプライミングの効果を打ち消すためには、前頭前野を働かせ続ける必要がありますが、このゲームを繰り返しやっていると、その練習になります。

最近流行の脳トレゲームの中にも、ストループ課題を応用した多種類のものが含まれているようですので、利用してもいいと思います。毎日やっているうちに、プライミングにひっかかりにくくなり、思い込みによる間違いもきっと減ることでしょう。

阿部 和穂プロフィール

薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。


執筆者:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)
(エディタ(Editor):dutyadmin)
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